2010年06月21日公開|ホンダ
まだ新車から3年もたたない比較的新しいお車ですが、一目見た瞬間からこれは難敵相当苦労するだろうと覚悟はいたしました。
洗車を終え磨きブースにいれ水銀灯の下で塗装の状態を確認して愕然としました。
傷も確かにすごい量と深さで入っていましたが、イオンデポジットと酸による塗装劣化で白く変色している箇所が100箇所近くある状態でした。
施工依頼いただいた磨きのコースが03コースでしたのでちょっと不安になってしまいました。
車格の割に素材感のあるシートです、スウェード調のなかなかいいセンスだと思います。
5ナンバー枠にしては車内も広くしかも3列シートになっているのは驚きました。
ただフル定員で乗車した場合峠道はかなり苦しいとは思いますが、シティーユースではなかなか便利に使えると思います。
特に凝ったつくりはしていませんがまとまったデザインで機能性も高そうです。
傷もさることながら赤い丸の中が酸でやられてしまっている部分です。
大きいところだけをピックアップしてありますが、小さいものまで入れるとこの3~4倍はあります。
03コースでもイオンデポジットは軽いものは処理でき、深いものでもよく見ないと判らない程度には処理が出来ますが、この酸による劣化の白くなった部分はおそらく無理だと思います。
かなりひどい柚子肌です。
ここに今回苦労する秘密が隠されていました。
磨き前膜厚は101μでした。
国産車の膜厚としては標準的な厚みです。
この思い込みが後で大変な苦労をすることになるとは!
03磨きコースの3000#ペーパーを施工した状態です。
この状態では先ほどの白くなってしまった塗装がどのようになったかはまだわかりません。
3000#ペーパー施工後の膜厚は99.3μ、研磨膜厚は1.7μでした。
かなりきつめにペーパーをかけたにもかかわらず、以外と研磨は浅く済んでしまいました。
このあたりから何か変だなと感じ始めました。
ウールバフ施工後の膜厚は98μ、ウールでの研磨膜厚は1.3μでした。
ここでおかしいと確信しました。
何かといいますと、3000#のペーパーでついた傷はきれいに跡形なく消えるのに、はじめからある傷は何も減っていきません。
バフを換えコンパウンドを換えといろいろ試行錯誤しましたがなんら解決には至りませんでした。
ここは情報網を生かして、あらゆる方に情報をお聞きしたところ理由はわかりました。
クリアーが2層構造になっているとのことでした、下のクリアーは柔らかく比較的膜厚も有り増すが、表面のクリアーは非常に薄くなおかつかなり硬く焼かれているそうです、更に
「他社の車に比べ全体のクリアーの厚みも1/2程度しかないので無理をするとしたがでるよ!」
と非常に怖いご忠告までいただきました。
つまり3000#ペーパーでついた傷は表面のクリアーにあるため簡単に落とすことが出来はじめからの傷は下のクリアーまで到達している為に消すことが出来なかったのです。
一般の方にはちょつとピンと来ないかもしれませんが、上の硬いクリアーを磨くことにより摩擦熱が発生し下のクリアーが柔らかくなり逃げていってしまうのです。
これらのことを踏まえ残りのスポンジバフ3回で傷を処理していきます、熱が上がり過ぎないように注意をし、なおかつ固いクリアー層を研磨しきってしまわないように気をつけながら研磨をし、何とか完成することが出来ました。
磨き終了後の膜厚は94.2μ、層研磨膜厚は6.8μでした。
硬いクリアー層はぎりぎり在るか無いかの瀬戸際だと思いますが、この後7Hの硬いコーティングを施工するので塗装への影響はありません。
左の写真は右の写真の拡大です。
やはり劣化し白くなってしまっていた部分は処理できませんでした。
おそらく有色部分まで食い込んでしまっていると思われます、こうなると後は再塗装しか方法はありません。
はじめは落とせず苦労した傷も無くなりかなり綺麗にすることが出来ました。
蛍光灯のラインを磨き前と比較してみると、あれだけきつかった柚子肌がかなり解消され、写りこみのラインが大分はっきりするようになりました。
当然このようなアウターハンドル部分もきれいになりました。
ただオーナー様も、もうちょっとお車を大事に扱っていただきたいと感じたのは正直な気持ちです。
HONDA ホンダ ストリーム RSZ コーティング終了
ご入庫時と比べれば別の車と思わんばかりにきれいに仕上がりました。
作業中友人の板金屋さんが見えられましたが、
「新車のストリームか、君のところにしてはは珍しい車が入っているね!」
とプロでも遠目には勘違いするほどの艶感に復活しました。
お引取りに見えられたお客様のお顔からも思わず笑みがこぼれるのを見て苦労した甲斐があったと報われました。
問題はなぜわずか3年足らずでこのようなことになってしまったかです。
1~3はある意味しょうがない部分だと思いますが、問題は4と5です。
4は使用して汚れが塗装についた状態で長期間放置すれば当然汚れの中の成分が塗装をいためて行ってしまうので、せめて汚れを洗い流すことは必要です。
1番問題なのが5番です。
会社の車庫はコンクリートスラブで出来ているそうですが、そのひび割れ部分から水滴が落ちてくるそうです。
コンクリートスラブから染み出る水滴は、かなりの酸性になっているためこれを放置すると塗装は酸に侵されていってしまう。
これらを防ぐにはどのような方法があるのか?
1~3も当然有効ですが、これらが実行できない場合は4番が1番有効な方法だと思います。
このお車もご購入時点でガラスコーティングを施工されていればこのように塗装がダメージを受けることも避けられたはずです。
せっかく大金を支払ってお買いになったお車ですから少しでもきれいな状態で愛着を持ってお乗りいただくことが1番だと思います、予算もいっぱいいっぱいでご購入されるからこそ長持ちするに越したことは無いですから、
「ぜひお車ご購入の際にはコーティングを施工なさってください。」
施工コース:マーベラスフィニッシュ・チタンコンビネーション ガラスコーティング+03磨きコース(鏡面磨き)
施工料金:130.620円税込み(お持込お引取り割引10%・ご紹介割引10% 適応)
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