2010年07月13日公開|メルセデスベンツ
しばらくないと思っていたベンツですが急遽急ぎの施行のご依頼が入りました。
しかもW220後期のS600Lブラックカラーです。
更に施行納期は3日間と非常にタイトです、これは寝ている暇は無いかもしれません。
さすがに旧型になったとは故S600Lはオーラが違います、エンブレムチューンも多い中本物だけが放つ威圧感をひしひしと感じます。
この車にローダウンやフルスモークフィルムなどは似合いません、フルノーマルこそがS600Lの価値を引き出すスタイルです。
本当にお金のかかった内装です。
正直けちのつけようがありません、質感といい仕上がりといい素材といい何もかもが最上級です。
ここまで来るといやみなくらい豪華な装備としか言いようがありません。
シートバックのランバーサポートが自在に調節できるだけでなくマッサージ器まで装備されています。
ここに紹介し始めたらきりが無いほどのいろいろな装備が備わっています。
下手なリビングや応接間では太刀打ちできません。
超豪華なステップガードです、下手なギミックなど無くメッキ処理されているだけですが、そのメッキの艶の放ち方は尋常ではありません。
だいの大人が目いっぱい足を延ばしても余るほどのスペースがあります。
私などは背が低い為に足元でも胡坐がかけるほどのスペースです。
はじめ灰皿が無いなーと探しているとありました、ウッドの装飾に身を包んだ灰皿です。
作動の仕方もシャレています、何をとってもすごいの一言です。
でましたV12ツインターボエンジンです。
なんと500psもあります、トルクなどは80kg・mを超えるすざましいパワーです。
このうえにさらに65AMGがありますが正直全く必要の無い十二分すぎるパワーだと思います。
高速などでスポーツカーに乗っていても軽くぶち抜かれるはずです!
何をとってもこれ必要なの?
と思わせるものばかりです、庶民の僻みなのでしょうか?
いくら超高級車といえども傷は同じように入るようです。
このクラスのお車ですから当然洗車は手洗いでしょうが、6年の歳月のうちにはこのように傷はついてしまいます。
ただこのお車は何らかのコーティングを施工してあるステッカーが貼られていましたが、ネットで調べてみましたが正体は不明でした。
おそらくこれだけ傷が入っていますのでフッ素系かかなり柔らかいガラス系かと思われますが、コーティングはすでに塗装の上には存在していない様子でした。
この白い部分の真ん中にある傷はお客様がつけたものではなく、前回コーティングを施工した際に施行店がつけてしまったものです。
シングルポリッシャーによるコンパウンドの咬み込みでできるかなり深い傷ですが、ボデイ全体全てのパネルに相当数残されていました。
このままではとても納車することは出来ないでしょうから、何らかの傷消し剤を使用しその上にコーティングを施行したものと推察されます。
そのためコーティング剤がきちんと定着することができず現在のコーティングが剥離してしまった状態になったのだと思います。
そもそもなぜこのような傷がはいり残ってしまったのかといいますと、ベンツの塗装はただでさえ硬く国産車の2倍ほどの硬さがあります、さらにSクラスはその中でも1番硬い塗料を使用しているため、通常国産車で使用しているようなコンパウンドで歯が立ちません。
それでも無理に磨こうとするとコンパウンドの潤滑剤が蒸発し残った研磨剤が熱により固まり玉になり深い回転傷を入れてしまいます。
そもそも磨けないことから起きた傷ですからつけてしまった傷を落とすことは出来るはずがありませんのでこのように傷が残った状態になってしまうのです。
まだこのお車はポリッシャーによる傷のダメージも浅く全面にくまなくついていたわけではありませんので02コースの磨きで磨ききることが出来ましたが、これよりもひどい状態であればペーパーがけの03・04コースの磨きを施行しないといけなくなっていたかもしれません。
最悪磨きでは処理しきれず全面塗装ということも無いことではありません!
硬い塗装のお車にお乗りの方は、コーティングを施行される際に依頼される施行店の施行実績などをきちんとお調べになってご依頼されることも重要だと思います。
磨き前膜厚は124μでした、磨き後膜厚は120μです。
傷が多いのと深かった為02コースでも4μの研磨となりました。
スポンジバフだけでも専用のコンパウンドと優れたポリッシャーを使用することできちんと磨き上げることは可能です。
もちろん職人の技術があっての話です!
ここで恐ろしいことがおきてしまいました!
磨きも終了し脱脂も終わりコーティングをするために細かい隙間の水分をエアーブローで飛ばしていると、”クリアーまで飛んでいきます”何事が起きたのかしばし呆然です。
クリアーのはがれた下を確認してみると更にクリアーが残っています。
よくよく付近を観察してみるとメッキのモールの上に黒の塗料が淵のところに乗っていました、これは明らかに補修塗装の痕です。
かなり塗装としては低レベルの仕事です、メッキモールをはずさずにマスキングをして塗装していますがわずかにマスキングがモール側にずれていた為に、塗料がメッキモールについてしまったのです。
通常補修塗装でもクリアーは最低でも剥離し塗装するのが当たり前ですこれでは上ぶきしたクリアーがエアーの力程度で剥離するのも当たり前です。
確かに部分補修であればクリアーのボカシという方法もありますがこのクラスのお車にそのような方法をとること自体が危険極まりない行為です。
補修塗装にお車をお出しになる際には、きちんとどのような施行方法をとるのか確認されることが大事です。
何でもそうかもしれませんが、手間仕事はあまり安物買いをしたり値切りを入れるとこのようなことになりかねませんのでご注意ください。
何年か経ってこのようになってクレームを入れてみても、先ず100%認めてもらうことは出来ないと思います!
Mercedes-Benz メルセデスベンツ S600 コーティング終了
いろいろありましたがバッチリと艶々のオブシディアンブラックの出来上がりです。
黒のお車は磨き上げコーティングを施行することで重圧感もまし高級感にも拍車がかかります。
短時間のかなり苦労をした施工でしたが、睡眠時間を犠牲にして仕上げた甲斐のある仕上がりになりました。
車内清掃が終了したときには疲れもピークに達し足元もおぼつかないような状態でしたが、仕上がったお車を点検していると苦労しただけに仕上がりのレベルが満足の行くレベルだったことに疲れも飛んでいく感じを受けました。
施工コース:マーベラスフィニッシュ ガラスコーティング+02磨きコース(軽度の磨き)
施行料金:140.070円税込み(ロング割り増し20%・輸入車割り増し磨き10%・濃色車割り増し磨き10% 適応)
メーカー別
月別バックナンバー