2010年09月03日公開|日産
GTーRブラックエディションの登場です。
しかし浮かれては居れません、ある程度事情はお聞きしてはいましたが、実車を見たとたん”冷や汗たらり”でした。
今回の施行はいわく付きです。
実はディーラーからの依頼なのですが、クレームによる入庫です!
新車時にディーラーで磨きを行いニッサンオリジナルのコーティングを施行されて納車されたそうですが、お客様の求めるクオリティーに達していなかったということだと思います。
すでに納車から2ヶ月がたってしまっておりますので、そのときの状態はわかりませんが、入庫いただいたときの状態は正直言ってこれでもかというくらい”最低”でした。
なぜ2ヶ月しか経過していないクルマなのにそれほどひどい状態なのかは想像では有りますが、大体の察しは付きます。
その経過を順に考えていきます。
おそらくこのような段階があったと予想されます。
ここで面白いのはGT-Rの場合塗料がスクラッチシールドではなく耐スリ塗料ということです。
おそらくディーラーも契約業者もソリッドブラックの塗装はスクラッチシールドになれてしまい普通の耐スリ塗料に対しての磨き方が判らなかったのだと思います。
スクラッチシールドの新車の磨きは、磨きというよりも撫でるようなものです、これで細かいスクラッチは処理が出来ていきます。
しかし耐スリ塗装の場合は、スクラッチシールドよりも硬いためこれでは細かいスクラッチは取れません。
おそらくこの段階で使われたポリッシャーはギヤもしくはダブルアクションのポリッシャーと思われますが、この際傷が取れないことから回転数を上げプレス圧を強くし粒度の粗いコンパウンドに変えて磨いたものと思われます。
これをやってしまったら耐スリ塗装は”万事休す”です。
ポリッシャーの回転運動に叩き運動が加わりコンパウンドの咬み込みが、一気に傷を入れていきます。
このように入れてしまった傷は一般の磨きでは完全に処理することは不可能です。
新車のレベルにまで戻すためにはペーパーをかけ10μ程度塗装を削らなくては深い傷を取りきることは出来ません。
残念なのはこの段階でご依頼いただけばまだかなりの対処は出来たと思います。
しかしその後ディーラーもオーナー様も悪あがきを繰り返すことで更に事態を深刻な状態にしてしまったと思われます。
更にこの状態に至る大きな理由があります。
オーナー様の手に渡ってからの管理状態です。
おそらく駐車は露天もしくはカーポート程度と思われます。
たかが2ヶ月ですがすでにイオンデポジットが出来始めています、これはディーラーで施行されたコーティングが大きな要因ではありますが、ソリッドブラックの塗装では屋外駐車は根本的に無理があります。
もっと大きな問題は洗車です。
ポリッシャーが入らない形状の部分などにかなり深い線傷が満遍なく入っていました。
これは洗車の際スポンジやクロスにか見込んで汚れを引きずることで付くものです。
ポリッシャーのはいらないところでこの傷を入れてしまうと、磨きでは傷を取ることはソリッドブラックの場合手磨きでは出来ませんので、後は最塗装しかありません。
洗車は車をキレイニする行為だと多くの方は思われていると思いますが、実は全く逆の場合のほうが多いのです。
手洗い洗車をすれば傷がつきにくいとお考えだと思いますが、これはやり方がきちんとしている場合のことで間違った方法で洗車をすれば、かえって洗車機のほうが傷はつかないことのほうが多いでしょう。
GSや洗車屋さんに依頼されるときも同じです。
お金を払ってプロにやってもらっているのだから大丈夫だとお考えでしょうが、大きな間違いです。
私も過去に何回かとんでもないことをされ、大事にしていた車が傷だらけにされた経験があります。
これを防ぐには2つ方法があります。
2番の場合はお店にとってはいやな客でしょうが、大事な車に傷をつけられ後で哀しい思いをするよりはましだと思います。
私も出先でどうしても洗車をしなければいけない時は、必ず実行しています。
このような話ばかりではつまらないので、せっかくのGT-Rをご紹介します。
これを見る限りニュルでポルシェターボに買ったエンジンとは思えませんが、紛れも無い事実です。
エンジンルームをもう少しおしゃれに作ってほしかったです。
この棒は無いでしょう!
840万円もする車にアブソーバーが無いとは!
これでニッサンもスーパーカーとは言ってはいけません!
このブレーキは素直に認めます!
6ポットの大径ローターで国産車初の本物のブレンボブレーキといえるでしょう。
ベルハットの作りもサーキットユースにも耐えるすばらしいつくりです。
きちんとブレーキの放熱用スリッドが付いています。
以外と国産車の場合にはカッコだけのものが多いですが、さすがGT-Rきちんと機能もあるつくりです。
非常にユニークなつくりのドアノブです!
はじめはナンダこれはと思いましたが、おそらく空力を考えたデザインではないでしょうか?
ドアカップも無いですから傷もつきにくく良いと思います。
ハンドルはちょっとボテッとした感じがしてもうちょっとスリムなほうがスポーティーでいいと思います?
メーター上のダッシュパネルは一様革張りなのですが、人工革(たぶん)なのは結構がっかりです。
メインメーターはごくごく普通です。
しかしこれは普通ではありません!
なんとナビ画面がサブメーターになってしまいます。
これには驚きです。
アナログ的な表示の仕方が泣かせます、出来たら本物のアナログメーターならもっと良かったのにと思います。
操作パネルも以外と普通です。
ただし輸入車の同価格帯のスポーツカーと比較すると、正直アメ車レベルでしかない印象です。
シフトゲージの操作性はプリウス並みに判りずらい感じです。
センターコンソールの作りもやはりスーパーカーというには程遠い感じです。
シートのデザインはかなりいけています!
ただカタログでは本革シートおなっていますが素材感的には人工革にしか見えないのは残念です。
このクオリティーでは海外ではなかなかエクステリアの質感を認めて貰うのは難しいでしょう!
このリアシートに座るにはレッグスペースに足を出して座るのは、まずほとんど無理でしょう、しかし座面が広いので座面の上に胡坐や正座ならば座ることは出来そうです。
ポルシェのように座れないシートを残すよりいっそ2シーターにしたほうが本物のスポーツカーらしく高級感もでると思います。
シンプルなのは非常にいいのですが、いかんせん素材感が全くありません。
スーパーカーのなんたるかをもうちょっと勉強してほしいです。
早いだけではス-パーカーとはいえません!
この電動シートのスイッチは文句なしに最高です!
はじめはアレッと思いましたがつかってみると非常に使いやすいです。
ニッサンが言うとおりGT-Rがスーパーカーだとすると、スーパーカー最大のトランク容積なのは間違いありません。
おそらく2番手にダブルスコアー位の大差だと思います。
大きなお尻と引き換えのトランクです。
磨き前膜厚は129μでした。
現行の水性塗料車としてはかなり膜厚は厚いほうです。
サーキット走行も念頭に置いた高性能車ですので、クリアーは硬く厚めに塗装されていると思われます。
塗装肌の状態も水性塗料に出やすい柚子肌も押さえられていてほかの日産車とは格の違う仕上がりになっています。
現状での傷はかなり深いものが多い為、本来であればある程度粒度の粗いコンパウンドを使用し研磨厚を稼ぎたいところですが、ソリッドブラックの場合それでコンパウンドの咬み込み傷を入れてしまうと大事となってしまうため、粒度の細かいコンパウンドで慎重に磨いていきます。
1回目の磨き後の研磨厚は127μでした、研磨厚は2μです。
2回目の磨き後の膜厚は125μでした、3回目の磨き終了後の膜厚は124μでしたので、総研磨厚は5μでした。
納車後2ヶ月のお車としては完全に磨きすぎなのですが、これでも深い傷はかなり残っています、おそらく後10μは研磨しないと傷はとりきれないと思います。
それより重症なのは納車時の磨きでつけたコンパウンドの咬み込み傷とポリッシャーの叩き傷ですが、こちらはあと20μ近く研磨しないと完全にとりきることは無理だと思われます。
現実問題として新車にそれほどの研磨をすることはできませんのでこの状態を我慢するか、線傷だけでも取りきるために1000#からのペーパー磨きをするかということになってしまいます。
磨き前に比べれば明らかに磨き後は傷も目立たなくなり艶も復活しました。
しかしせっかくのGT-Rなのでできれば完璧の仕上がりにしたかったのですが残念です。
ディーラーさんから今日オーナー様に再度納車されるようですが、ご納得いだだけることを切に願います!
NISSAN ニッサン GT-R ブラックエディション コーティング終了
かなり苦労しながらも完成しました。
今回は苦労というよりも、ご注文の内容では完全な仕上がりまで出来ないことがわかっていての施行の為、その不満足な仕上がりでお引渡しをしなければならない心痛がかなりきつかったです。
ただしディーラー様も少しでもお客様に誠意を示す為にコーティングはオリジナルの中で1番高価なものをお選びになられたことはすごいと感じました。
少しでも損を少なく収めようとするならば、
「見てくれのいいなるべく安いコーティングでお願い!」
ということも出来たと思いますが、3段階の見積もりをお出しした中で一番高い施行をご依頼されたところは、”日産ディーラーの誠意”を見た気がします。
事の成り行きの判断の良し悪しは有りますが、このようなできる限りのことはお客様のために損を省みずにおこなう姿勢は大事だと思います。
当たり前のようでなかなか決断でき難いことだと思います!
GT-Rに関してはかなり辛口のコメントを生意気に書いていますが、初めてまじまじとGT-Rを観察した卒直な感想なのでご勘弁ください。
発売前はいろいろな憶測が飛び交い評価もマチマチでしたが、発売直前あたりからその飛びぬけた走行性能や性能からすると恐ろしく安い価格に評価はうなぎのぼりでした。
しかし発売となり試乗や購入者・ライターなどのインプレッションなどが次々と耳や目にはいるにつけ、急に辛口の評価が増え賛否両論と意見がはっきりと分かれ始めました。
私なりに判断するとこれは日産の責任で、自信でスーパーカーというカテゴリーにGT-Rを持ち上げてしまったことによるものだと思います。
私の辛口のコメントもスーパーカーとしてみてのコメントだから辛口にならざろうえません、フェラーリやランボルギーニやポルシェなどの車と性能以外の官能や妖艶さなどを踏まえた比較をすればこうならざろうえません。
スーパーカーとして世界に打って出るのであれば何も800万円台で販売する必要も無かったと思います。
そもそも800万円出してセカンドカーとして購入される方にとって後200万から500万程度高くてもスーパーカーとしての価値を見出せば購入されると思います。
逆に価格を抑える為に内装やデザインのクオリティーを落とせばこのような購買層からは目もかけられません。
事実車磨き研究所のそのような購買可能な方で興味を持たれたり、購入を検討された方は一人としていらっしゃいませんでした。
逆にスカイラインという車名を継承し乗用車の超高性能車として、無駄な豪華さを省き価格を150万円くらい下げて販売すれば恐ろしく売れたのではないかと思います。
このスーパーカーというカテゴリーを抜きでで考えれば途轍も無くいい車だと思います、完全な販売戦略の失敗だとしか思えません。
過去に日産はスーパーカーとしてではなくツーリングカーとしてスカイラインでポルシェに日本グランプリで勝利しています、それでよかったのではないでしょか?
真逆な戦略はトヨタのレグサスが販売するLF-Aではないでしょうか?
トヨタ2000GTと同じように少量生産で3000万円からの高価格で販売をするようですが、販売終了後も人気は衰えることなくダレから評価してもスーパーカーとして認知されると思います。
スーパーカーとしての定義は私のような一般人では手が出ない、憧れの車でなければいけないのだと思います!
施工コース:エクセレントフィニッシュ・プレミアム+02磨きコース(軽度の磨き)
施行料金:175.845円税込み(濃色車割り増し磨き10%・ソリッド割り増し磨き10% 適応)
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