2010年09月30日公開|トヨタ
モデルチェンジ前のプラドです、すでにオフローダーとしての視点よりシティーユースのほうが重要視されたデザインになっています。
しかし其処はランドクルーザーなので機能的にはオフローダーとしての走行性能はきちんと作られてはいます。
しかしこの樹脂パーツで囲われた外装で泥んこ遊びが出来る勇気のある方は少ないとは思います。
4駆ブームが過ぎ去った今としては、このような生き残り方しかないのも実情だとは思いますが、本格的オフローダーが国産車にはなくなってしまったことはさびしく感じます。
この広いセンタートンネルとシフトレバーは紛れも無くクロスカントリーカーです。
ちょっと豪華すぎますが!
メーターもやはり本来の4駆のレベルから見るとかなり豪華です。
イグニッションをひねると電気的に浮かび上がる様になっています。
本物のウッドかどうかは別にしてもかなり造りこみはきちんとしています、下手な乗用車よりもいいつくりです。
シートも革シートが装着されていますが、100系のランドクルーザーと比較しても素材的には変わらないような気がします。
車高の高さと形を別にすれば、立派な高級車です。
室内が広い分こちらのほうが豪華といえるかもしれません。
中古車でご購入されたお車だそうですが、全体を見た感じはかなり程度もよく特に車内はきれいなお車でしたが、ボデイの傷と過去の補修痕はかなりのダメージを受けていました。
特にボンネットに関しては、傷により艶びけを起こしているほどの状態でした。
おそらくオークション持ち込み時か、販売をされた販売店があまりの傷の多さに見た目を良くしようと磨きをかけ、結果更にバフ傷を入れてしまいそれを隠すために傷消し剤やポリマーなどで一時的に隠して販売したものと思われます。
結果納車後時間が経過すると共に傷消し剤やポリマーが剥離し、このような状態が露出してきたと思われます。
このような手法が良いのか悪いのかは商売ですので判断は難しいところですが、お客様の立場からしてみればだまされたような気持ちになるのは当然のことだと思います。
全ての販売店がそうではないですが、現在の車業界の多くは利益とノルマの達成の為ある程度お客様を騙しても騙されたほうがいけないというような風潮があるのは日々車業界の関係者の発言を聞いていると感じます。
このようなことから車を購入される際も車屋さん任せでは無く、ネットなどで調べ自身で探して購入されたりネットオークションで購入されたりと、地元の販売店離れが進む原因になっているような気がします。
磨き前膜厚は118μでした。
かなり傷が深いものが多かったことと、新車を越える輝きをお求めになられていることから、03コース磨き3000#のペーパーからの研磨を行うこととなりました。
塗装は202ですから普通に傷を取る為のスポンジバフでの磨きでも傷が入ってしまうことから磨きにはリスクの多い塗装ですが、御覧の通りに塗装が白く見えるほどの傷がペーパーにより入っています。
今回は傷の深さから判断して10μ近い研磨をしないとそれなりの仕上がりにはならないと思います。
3000#ペーパー処理後の膜厚は115μでした、研磨膜厚は3μとなります。
ここから磨きの戦いが始まります。
ぺーパーによるペーパー目といわれる傷を消す為ウールバフによる磨きをおこなった後の膜厚は113μでした。
ここまでの研磨ですでに5μの研磨となります。
右側がペーパー目をウールバフにより処理した部分です。
あの白く傷だらけだった部分に艶と色が蘇っています。
しかし代わりにウール目と呼ばれる細かいバフ傷がついています。
磨きというのは一回の磨きで傷を処理するものではなく、傷の置き換えを繰り返すことで傷をなくしていくことですので、一回の磨きで傷を磨ききることなどできることではありません。
問題は傷の置き換えの際に如何に新しい傷を浅く済まし、無駄な研磨厚を出さないようにするかが腕の見せ所であり使用する機材や性能が試されるところとなります。
つまり既存の塗装を磨く際、取り去ろうとしている傷の深さ以上にペーパー傷を入れないように処理をし、その後のウールでもペーパー傷の深さを限界としてそれ以上の傷を入れないように研磨をし、その後のスポンジのバフで肌を整えながらはじめに取ろうとした傷をほんの少し越えるところで研磨するようにすることで無駄な研磨厚を出さずに最小の研磨厚で研磨することが可能となります。
ウール磨き終了後スポンジバフでコンパウンドの粒度とバフの目を換えて三回磨きながら仕上げていきます。
左の写真はペーパー目を処理した後ウールバフによりついたウール目です。
このウール目を消す為にスポンジバフを使用して磨き上げていった写真が右になります。
3回のスポンジ磨き後の膜厚は110μでした、スポンジバフでの総研磨厚は3μです。
なぜ更に3回ものスポンジバフをかける必要があるのかということは、先にも書いた傷の置き換えによりより細かい傷に置き換えることにより、すでに肉眼では傷が無いように見える細かの傷をより細かな傷に置き換えることにより、塗装の光の反射率をより高くすることで艶を作り込んでいく為です。
かなり苦労はしましたが、ここまで仕上げることが出来ました。
艶が引けてしまっていたボンネットもしっかり艶が復活しています。
しかし8μの研磨をしてもその倍以上の深さがあると思われる傷が、ボンネットとリア左ドアとルーフには残ってしまいました。
この深い傷は、リアドア以外は洗車でつけた傷と思われます。
自然につく傷とは違い傷の残っている場所が塗装のプレスラインの下側低い部分の際に集中してありました。
この部分は洗車の際に埃などが溜まり易い部分で其処を強い力でクロスなどでこすると付く傷です。
洗車をされる際には注意して洗うべきところです。
ペーパーからの磨きの妙技はこの映り込みにあります。
今回の施行は03コースですので塗装肌の柚子は切りきってはいませんが、より柔らかな塗装波にすることで反射が強くなり映り込みがはっきりします。
反射が弱いと映り込みはしても、色まではきれいに移りこむことはできませんが、このように室内で弱い光でもはっきりと色までが移りこむ様になります。
これが04コースとなると、柚子肌を切り超鏡面状態になることから映り込みの輪郭線も直線となりより強い反射をするために移りこみの色もより鮮やかになります。
傷のつきやすいドアカップですが、これはかなりダメージは深いです。
ポリッシャーの使えない部分なので手磨きで処理するしかありませんが、所詮手磨きですから限界があります。
磨き後もまだ傷はある程度残っています。
しかしこのお車はこの部分にルーマーペイントプロテクションフィルムを施行しますので、フィルムがクリアーと同じ効果をし、残った浅い傷は見えなくなってしまいます。
プロテクションフィルムですから施工後は爪などでつく傷からドアカップを守ります。
TOYOTA トヨタ ランドクルーザー プラド TX コーティング終了
コーティングも無事終了し明日の朝には納車に伺います。
しかし残念ながら当日は出発時点で雨が降っており、途中でしぶきを浴びる為にお客様のご自宅に到着した時点ではすでに多少汚れてしまっていました。
そのような状態にもかかわらず施行前との艶や傷の変化に大変満足を頂き、かなり苦労した施行でしたがほっとすることが出来ました。
その後お客様とのお話が盛り上がり到着から3時間もお邪魔してしまいました。
お仕事中にもかかわらず大変ご迷惑をおかけいたしました!
このたびは大変高額な施行のご依頼をいただきましてありがとうございました。
施工コース:マーベラスフィニッシュ・チタンコンビネーション ガラスコーティング×光触媒ボデイコーティング+03磨きコース(鏡面磨き)+ルーマー ペイントプロテクションフィルム(ドアカップ5ヶ所)キャンペーン価格
施行料金:220.025円税込み(濃色車割り増し磨き10%・ソリッド割り増し磨き10% 適応)
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