2011年01月24日公開|アウディ
今回かなりレアなアウディが入庫いただきました。
150台限定のDTMの名を冠したモデルです。
残念ながらエンジンは2Lターボですのでそれほどのパワーは無く200psですが、それ以外のエクステリアやインテリアなどにはかなりのこだわりがあります。
足回りはクアトロ社製のサスペンションが装着されています。
エクステリアはフロントリップとリヤスポイラーとドアカップにカーボンが使用されています。
これだけでもただのセダンがかなりスポーティーな印象に変わります。
エアダクトなども専用設計されDTMの雰囲気を盛り上げています。
いまどきのスポーツカーには欠かせないディフューザーも当然装着されています。
細かいところでは牽引フックが赤に塗られレーシングフックのようです。
このDTMエンブレムはただのA4ではないことを主張しているかのようです。
エンブレムのデザインもシンプルで良いセンスです。
S4同等のレカロのアルカンタラとレザーのコンビシートが使われています。
色合いもシックにまとめてあるあたりがかえってスポーティーな雰囲気に仕上がっています。
インテリアにも随所にカーボンが使用されていて、普通のA4とはかなり違う雰囲気を味わうことができます。
ペダルの雰囲気もかなりスポーティーではありますが、AMGなどに比べると重圧に作りすぎているように感じます。
エンジンパワーの割りに重量が重いのがアウディの欠点ですので少しでも軽量化することで、本来のDTMのネーミング通りの走りも追求していればもっとすばらしかったと思います。
エンジンだけは残念です。
日本だけでの限定生産車ですので特別のチューンナップは望めないのは仕方が無いですが、せめて設定を2Lではなく3.2Lにしてもらえれば加速感もDTMの雰囲気を楽しめたのではと思ってしまいます。
そうするとS4と価格や性能がかぶってきてしまうのでそれもむずかしのかもしれません。
このコックスのシリンダーカバーはオリジナルではないと思いますが、内装の雰囲気とあっていて良いセンスのドレスアップだと思います。
このような何気ないところのこだわりが輸入車オーナー独特のセンスのよさだと思います。
パット見は結構きれいに見えましたが、水銀灯で照らしてみるとかなりの傷の量で曇りもだいぶ出てきています。
ガラスコーティングは過去に施工されているとのことでしたが、これだけ傷が入っていることと曇りが出ていることから考えると、ほとんど膜は存在していないか劣化が進み製膜硬度が維持されずに曇り始めていると考えられます。
磨き前膜厚は180μで、年式からするとかなり厚い塗膜で塗装されています。
磨き屋としてはこのくらい厚い塗装をしてもらえると安心して磨くことができるのですが、年々塗膜は薄くなっていく傾向にあります。
省資源化と軽量化は避けられないことなのでこの動向はさらに進むと思われます。
磨き屋の技術ハードルはますます高くなる一方です!
磨いていってみるとやはり既存のガラスコーティングはすでに存在していないか、劣化して膜強度が無いかという状態でポリッシャーのスポンジバフで簡単に塗装を磨くことが可能でした。
一般の方の中にはガラスコーティングを施工すれば傷がまったく入らない状態が数年続くとか、ガラスコーティングは半永久的な持続性があるように思われている方がいらっしゃるようですが、これはいくつもの条件をクリアーした場合であって全てにあてはまることではありません。
まずは施工するガラスコーティング自体が純度が高くsi-o-siの分子結合が途切れることなく連続して膜を形成していて最低でも5H以上の硬度があることが必要です。
かといってあまりにも硬い膜も塗装や鉄板の伸縮についていけなくなりひび割れ等を起こし剥離の可能性が出てきます。
ある程度の硬度が必要なのは、車は常に走行状態では摩擦にさらされていますので、走るということは空気の中に含まれる塵や埃で常に摩擦にさらされていてほんのわずかずつでも磨り減っていくこととなります。
また洗車もかなりの摩擦が発生しています。
洗車をすることで傷が入っていくことがその良い例です。
つまり使用頻度が高い車はそれだけ摩擦にさらされるのでガラスコーティングの残存率は低くなっていくこととなります。
またほとんどのコーティング剤は酸に対しての防御性を持たないために、酸性雨や水道水のカルキ 潮風さらに最大の脅威は冬のエンカルなど酸によっても徐々に溶かされていってしまいます。
フッ素を使用しているものは特にこれらの影響を受けやすく機能は徐々に低下していきます。
このような理由からガラスコーティングを施工しても1年足らずでコーティング効果が無くなってしまう可能性はありえます。
このような状態でなぜ保証書が発行できるかが不思議なところですが、ここに有償定期メインテナンスと保障継承というトリックがあります。
使用状況がまちまちでその実態も把握できない中で一律の保障ができるのは、このメインテナンスによる誤魔化しがあるから可能となります。
仮にまったくシリカ膜が存在していない状態になっていたとしてもメインテナンスの際に有機性のメインテナンス剤を塗りこむことでいかにも機能やシリカ膜が復活したかのように見せかけることができます。
決してメインテナンスの料金でガラスコーティングの再施工が行われることはありえません。
特にディーラーコーティングはほとんどの場合保証書を発行していますが、このような誤魔化しによりあたかも保障期間中コーティングが存在しているかのように見せかけている手法が行われています。
傷が洗車等で簡単に入るようになったり、ガラスコーティング用クリーナーを使用して洗車しても機能が回復しない場合はすでにコーティング自体が存在しないか、劣化して寿命となっているはずですので再施工が必要となります。
磨き後の膜厚は177μでしたので総研磨膜厚は3μでした。
02コースでもこれ以上に研磨は可能ですが、必要以上に研磨を繰り返し塗装に熱を加えることよりも全体的な仕上がりでバランスが取れることを優先しました。
今回は長期お預かりであったため施工時間にも余裕がありましたので、ボンネットにはかなり深い傷が多くありましたが、02コースでは取りきれない傷も傷のエッジを特殊なバフで処理することで水銀灯の下でもほとんど確認できないようにしてあります。
残存して曇っていたコーティングを取り除き塗装を磨きなおしてあげることで、施工前の艶とは色が変わったほどの艶の変化を出すことができました。
Audi アウディ A4 DTM Limited コーティング終了
ブルーの色が明らかに濃くなおかつ明るい色になりました。
今回お選びいただいたコーティング剤がハイモースコートですので、特に艶も非常に塗装の発色を引き立たせる自然な艶感ですのでアウディ本来の持つ清楚な雰囲気を生かしつつエッジラインを強調した力強い艶がとても魅力的です。
但しハイモースコートは撥水に非常に緻密なフッ素を使用しているために静電気を発生しやすいので、乾燥した状況では埃を吸着しやすい特性を持っています。
しかしハイモースコートは非常に硬いコーティング膜ですので、砂埃のように角の尖った大きな埃で無い限り毛叩きなどで埃を落としても傷のつく心配はほとんどありません。
洗車に関しても手洗いなどでごみのかみこみに因る深い傷がつくリスクを避け、逆に洗車機による洗車のほうが傷の入るリスクは低減できます。
普通は洗車機により入る細かいスクラッチの繰り返しで傷が目立ったり、曇ったような感じになったりしますが、ハイモースコートは洗車機の摩擦程度ではスクラッチはまず入ることはありませんので安心して洗車機洗車を行うことも可能です。
但し洗車機はなるべく最新のものを選び、近くに未舗装道路や農家が少ない立地のところを選ぶことが重要です。
これは洗車機が前に洗った車の汚れをブラシに残していてそれにより傷が入る可能性を避けるためです。
こちらのお客様は冬の間はお乗りになられないとのことで、あと1ヶ月以上はお預かりさせていただくこととなっておりますが、お引取りの見えられた時には久々に対面する愛車の変わりようにご満足いただけるものと確信しております。
メールでいただいたようにバッテリーあがりを防ぐためにエンジンを定期的に掛け、大事に保管させていただきますので、
“ご対面を楽しみになされていてください”
車両クラス:クラスM
施工コース:ハイモースコート+02磨きコース(軽度の磨き)+スプラッシュビューコーティング(フロントサイド×2枚+リヤサイド×2枚+リア=ヘビーポリッシュ)
施工料金:126.788円税込み(輸入車割り増し磨き10%・濃色車割り増し磨き10%・お持込お引取り割引10%・長期お預かり割引20% 適応)
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