2011年02月07日公開|ポルシェ
ここのところちょっとご無沙汰だったポルシェにご入庫いただきました。
新車から数年が経過してはいますが、走行距離も1万キロ以下のためほとんど傷らしき傷もありませんでした。
というのもこのお車スポーツクロノパッケージ装着車の為かなり足回りは固く、さらにガチガチのデフもはいっているために気軽にドライブというようなお車ではないためになかなかお乗りになる機会が無いことが理由だそうです。
確かにキャリアへの乗せ降ろしや工場内の移動程度でも足回りの硬さとデフのきき具合ははっきり認識できるほどの硬派なスポーツカーです。
さらにこのお車はカレラSパワーキットという408ps仕様のポルシェ純正のパワーアップキットまで装着されています。
確かにこれでは気軽にドライブというよりは、常に戦闘モードのようなものですから乗る機会が限定されてくるのは分かります。
しかし最近のスーパースポーツは馬力は過激な馬力ですが、乗り心地や操作性は格段に向上したために、女性やあまり腕に覚えがない方でもそれなりに楽しんで乗れるようになってしまったため逆にスポーツカーとしてのスリルに欠けた車が多くなってしまったことを思えば、このような過激な車にはかなり魅力を感じてしまいます。
996から大幅に変更となったメーターデザインですが、個人的にこのメーターレイアウトはかなり好みです。
中央にタコメーターが配置されアナログメーターが並んでいる様はいかにもスポーツカーらしくて素敵です。
ステアリングも昔の4本スポークのものはあまり良いイメージはありませんでしたが、このステアリングは結構かっこいいです。
シフトスイッチなどが装備されているために社外品に買えることは難しいですが、これならばあえて交換する必要も感じません。
ドリンクホルダーの収納の仕方は工夫されています。
右の写真のシルバーの部分が蓋になっていて、ここをあけると左のように二つのドリンクホルダーが現れます。
このスペースにこのような機能をスマートに作るところはさすがはポルシェです!
今まで見たドリンクホルダーの中で一番おしゃれだと思います。
スポーツクロノパッケージだけに付くストップウオッチです。
なぜストップウオッチが必要なのか?
と思われる方もいらっしゃると思いますが、スポーツクロノパッケージの本来の意味というか使用場所はサーキットを前提にされているためこのような装備が付いています。
もっともサーキットを走るほとんどの方の車には、P-LAPが装着されていますからこれを使用する方はいないと思いますので、あくまで雰囲気だけのものではあります。
ただでさえよく構造が分かりにくいポルシェのエンジンですが、カバーが付いたことで余計に何がなんだか分かりません。
エンジンフードの開口が狭いために整備性の悪さは想像できますが、そう簡単に壊れるものでもありません。
このエンジンの外観から408ps最高速度305km
0-100km/h 4.2秒の性能をたたき出すようにはとても見えません。
そこがポルシェ伝統の水平対向6気筒エンジンのすごさです。
磨き前膜厚は120μでした。
昔のポルシェは300μ近い膜厚でしたが、さすがに最近では水性塗料となることにより他のメーカーと同じような膜厚となっています。
左の写真を見ると水性塗料による柚子肌がはっきりと判ります。
正直塗装肌の状態は欧州他社のほうが格段に優れていると思います。
ベンツなどでも当然柚子肌はありますが、柚子の大きさがこれほど大きくなく高低差もこれほど無いのでここまでは目立ちません。
内装などの質感は非常によくなっているだけにこの塗装の質感の低さは目立ちます。
1.500万円~3.000万円する車ですから塗装もそれなりのクオリティーで仕上げてほしいものです。
右の写真は水銀灯の周りに雨染みができ始めているのがわかります。
まだ初期の症状なので軽い磨きでも処理できると思いますが、この状態をこのまま放置しているとイオンデポジットへと進化してしまいクリアーにクレーターができるようなことになってしまいます。
こうなってしまうと普通の磨きでは対処できないためにペーパーを使用した03・04コースの磨きが必要となってしまいます。
すでにこの状態ではDIYでの処理は不可能です!
中にはこのような状態ななったときに水垢取りWAXなどでDIYされる方もいらっしゃると思いますが、確かの水染みは取れるかもしれませんが同時に細かいスクラッチを入れていくことになるのでおやめになったほうが無難です。
一度この水垢取りWAXのスパイラルにはまると抜け出すことができなくなるどころか、どんどんとそのサイクルは短くなっていきます。
その理由は水垢取りWAXには必ず研磨剤が入っています。
つまり研磨剤の力で水染みなど頑固な付着物を削り落としているので、その研磨剤により細かなスクラッチが入ることになります。
傷がつくということはどんな細かな傷であっても汚れが引っかかるためのハンガーになってしまいます。
水垢取りWAXを使えば使うほど傷が入っていきますからそれに比例して汚れや不純物がつきやすくなっていくことになります。
“水垢取りWAXは百害あって一利無し”
3回のスポンジバフに因る磨き後の膜厚は117μでしたので、研磨膜厚は3μになります。
写真であった水染みと、写真では白のため見えなかった洗車機によるスクラッチ傷を落としたので、予想よりも研磨は多くなってしまいました。
さすがに02コースの磨きでは柚子肌を消すことはできませんでしたが、だいぶ目立たなくはなりました。
初期症状の水染みは完全に除去することができました。
ポルシェの磨きで気をつけなければいけないのはボンネットなどは当たり前ですが、フェインダー部分のこの独特のアールをいかに滑らかに見えるように磨き上げるかが一番神経を使うところです。
ポルシェの場合平面部をいくらきれいに磨いても、デザインの要である前後のフェインダーに傷が残っていたり肌感がアールの質感とマッチしないような磨き方をしてしまうと、いくら艶がある仕上がりになってもせっかくのこのグラマラスなデザインも生きてきません。
私にとってはたくさんの施工車両の中で一番難しくけれど一番磨き甲斐のある車がポルシェ911です。
特に930や964のターボなどは磨いていて夢中になってしまいます!
PORSCHE ポルシェ 997カレラS スポーツクロノパッケージ コーティング終了
ソリッドの白の塗装ですが明らかに施工前とは違う艶を放っています!
ガラスコーティング特有の固い艶感と、アールの部分を強調する滑らかな艶が良いバランスで仕上がっています。
今回使用したコーティング剤のエクセレントライトフィニッシュは基本的には固い艶が特徴で冷たい感じの艶になりますので、エッジラインがはっきりした直線的なデザインの車のほうが引き立ちますが、磨きの処理の仕方を工夫することでこのようなアール部分でも滑らかな仕上がりにすることができます。
あえてこのコーティング剤を選んだ理由は、お客様のご要望に撥水でパリッとした艶でポルシェに合うコーティング剤をということと、ご予算からこのコーティング剤を使用することといたしました。
多くの方はコーティングはそのコーティング剤の性能により艶が変わったり艶の良し悪しが決まると思われているようですが、大事なのは下地の処理の磨き方です。
コーティング剤の良し悪しは機能や硬度に差がつくもので、艶を左右するものでは基本的には有りません。
確かにシリカの純度により透明度の差は出ますが、その差よりも磨きで作り出す艶の差のほうが大きいのです。
コーティングで肝心なのは磨きです!
車両クラス:クラスX
施工コース:エクセレントライトフィニッシュ ガラスコーティング+02磨きコース(軽度の磨き)
施工料金:130.935円税込み(輸入車割り増し磨き10%・ソリッド割り増し磨き10%・車体形状割り増し磨き10% 適応)
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