2011年02月10日公開|トヨタ
実はこちらのお客様はマイスターブログで“塗装が剥がれてゆく?”で黒のハリアーをご購入された方ですが、お車の納期を急がれているとのことでしたので仲間の車屋さんに頼んで大急ぎで探していただいたお車です。
お客様のご希望でオール黒か白とのことでしたが、これがほとんど市場には玉が無くなかなか見つからないらしいのですが、幸運にも当日に見つけることができ納車されて見ると、年式からするとかなり状態はいいお車でした。
とわいえ10年以上経っているお車なので傷は驚くほど少なかったのですが、塗装表面はそれなりにくすみ艶はだいぶ減退してしまっておりましたのでこれを回復させなければいけません。
“嫌な思いをされているだけにがんばらなければいけません”
専門学校の生徒さんでまだ未成年の方なので、このようなドレスアップにも興味があられるようで、ドアミラーウインカーを付けられ同時点灯といたしました。
それなりに古い車では有りますが、これだけでもかなりイメージは変わります。
ノーマルのテールレンズでは年式の古さを感じますが、ホワイトレンズに変えることでかなりシャープな雰囲気になり今時な感じです。
フロントグリルもメッキのアフターパーツに変えるだけでだいぶイメージが変わり精悍な顔つきになります。
但し最近のドレスアップ用アフターパーツは東南アジア製が非常に多く、いいものはいいのですが品質の低いものも非常に多いので価格だけで選ばれないようにして、できれば物を確認されてから購入されるほうがよいと思います。
中には数ヶ月でプラスチックにひびが入ったりメッキがはげてしまうようなものも売られています。
“ご注意を”
このようなところはさすがにモデファイするにはお金がかかりすぎますので現状維持です。
このころのトヨタの車に共通するデザインコンセプトですが、当時はかなり高級感も感じたのですが国産車のパターンとして時代の流行に乗りすぎるため、2世代くらいが経過するとかなり古さを感じさせます。
この時代のハリアーはトヨタの中でも高級車の部類に属していたのか、モケットのシートもかなりいいものを使用しているようです。
走行距離も8万キロ近いお車ですが、シートのへたりや痛みはほとんどありません。
このころまでのトヨタのモケットシートは輸入車に比べ非常に質感も高く良い作りでしたが、現在のもはパット見はいいのですが10年後の状態はここまでしっかりした状態を保てるほどの材質なのかは疑問です。
後部座席の分もフロントセンターコンソールにカップホルダーが配置されていますが、無いよりはいいとは思いますが使いやすさには疑問を感じます。
プラスチックの質感的にもいまいちです。
国産車は輸入車に比べ今でもプラスチックの質感の作り方が下手なようです。
このころから国産高級車もウッドパーツを多用するようになりましたが、上級車種のセルシオなど見ても輸入車に比べるとまだまだウッドの質感は低いようです。
輸入車に比べウッドの色や模様などが明るくそれが質感を低く感じさせるのではと思います。
周りの素材のシボなどももうちょっと工夫するとだいぶ全体のイメージは変わると思うのですが、なぜか国産車はそこまで内装にこだわりませんそこは不思議なところです。
悪く取れば日本人にはこれくらいで十分といわれているような気もしてしまいます。
ライトカバーは国産・輸入車どちらもほぼ同じようにくすみが発生します。
今まで見てきた中ではフォルクスワーゲンが一番劣化し始めるのが早い印象があります。
初期の段階ではライトカバーに新車の段階で施工されているコーティングだけがくすんでいるのですが、長期間放置しているとコーティングもライトカバーも素材が同じようなものを使用しているため劣化したコーティングとライトカバーが同化して、ライトカバー自体までもがくすんでしまつたりひどいものはひび割れができたりしてしまいます。
このようになってしまうと事態はかなり深刻で、ライトカバーの深いところまでくすみが進行してしまうと磨きでは修復不可能となりユニットごとの交換となってしまいます。
車種の中には片目で30万円近いものもありますので予想外の出費となることを覚悟しなければならなくなります。
今回はライトカバーまでは劣化していなかったですが、コーティングは完全に劣化してしまっていましたので、ペーパーをかけコーティング全て落とすヘビーポリッシュとなりました。
ライト前面の曇りは完全に取り除くことはできましたが、ライト内側に曇りができてしまっていたために新品のようにとまでは残念ながらいきませんでした。
しかし施工前と比べれば明らかにライトは明るくなり車全体のイメージもだいぶシャキッとした感じになりました。
水銀灯を当てずに蛍光灯だけで見た場合は年式の割には傷も少なく多少塗装の艶がない程度にしか見えませんでしたが、水銀灯で確認をしてみるとこのように何か細かな点があるように見えます。
この点が艶がなく感じた原因でした!
この点は何かわかりますか?
イオンデポジットでもなく傷でもありません。
劣化したコーティングがクリアーと同化し始めくすんだものです。
コーティングといってもシリカの膜ではなくおそらくガラス繊維系か有機系ポリマーだと思われます。
なぜこのような状態になったかというと、おそらく何回か繰り返し施工する際に古いコーティング層を剥離せずその上にコーティングを繰り返し施工することで、劣化したある程度の厚みのある層となっていってしまい劣化し始めたクリアーと同化し始めたものと考えられます。
さらに劣化したコーティング層がレンズ効果を起こし、コーティングとクリアーの同化に拍車をかけたのではないかと考えられます。
GSや極端に施工単価の安いコーティング専門店などではこのように古いコーティング層を磨きやリムーバーなどで落とさずに施工を繰り返すため、その場は上乗せされたコーティングの反射できれいに成ったように見えますが、実はただ古いコーティング層のくすみやボケをごまかしているに過ぎません。
最コーティングをされる再には価格だけにとらわれず、必ず古いコーティング層を剥離してから再コーティングをされるようにしてください!
このころの塗装はまだかなり膜厚も厚く、何回か磨かれた形跡はありましたがそれでも磨き前膜厚は169μでした。
本当は磨き屋としてはこのくらいの膜厚が新車でもあると安心して磨けるのですが!
磨き前に比べると明らかに塗装の肌が違うのがお分かりになられると思います。
水銀灯の輪郭や映り込みの鮮明さが明らかに差が有ります。
しかし部分的にはかなり劣化が深くなり、02コースの磨きでは完全にとりきれない部分もありました、右上の写真の水銀灯の上と下の部分には少し傷のように見えるところがとりきれなかったクリアーの劣化部分です。
しかし艶びけさせていた劣化したクリアー部分と劣化したコーティングは磨き取りましたので、光を反射する艶感は新車並です。
施工中に見学にいらしたお客様もあまりSUVには詳しくないらしく、このハリアーの年式がお分かりになられなかったらしく、隣にある新車と見比べてハリアーの新車だと間違われたほどです。
また完成間際に遊びにいらしたブローカーの方もこのお車を見られて、
「新車に乗るよりこのくらい古い車をこのくらいビカビカにして乗ったほうがかっこいいよね」
「ここまできれいにすれば市場価格より20万くらい高くても十分売れるよ!」
などご自身の商売として新しい車の売り方になると独り言を言っていました。
本来トヨタのこの塗装はそれほど硬い塗装ではないのですが、劣化したコーティングとクリアーは角質化したためかかなりの硬さがあり、かなりハードに回数も多めに磨いた割には研磨膜厚はそれほどでもなく、磨き後膜厚は166μ研磨膜厚は3μでした。
これにはもう一つ理由があり、本来この塗装を研磨するには少し弱いと思われるコンパウンドを使用しました。
それは磨き前の状態が上だけが固く下の劣化していない塗装面と極端に硬度の差が有った場合に、上の硬い部分を研磨するためにハードなコンパウンドを使用していて一気に研磨が入り下の劣化していない軟らかい塗装面に到達してしまった場合、深いポリッシャー傷を入れてしまいその傷をとるために不必要な研磨をしてしまうことを防ぐためにこのようなコンパウンドの選択をしました。
TOYOTA トヨタ ハリアー 2.4 エアロツアラー モデリスタ コーティング終了
写真では判りにくいかもしれませんが、施工前の塗装はかなりクリーム色がかった様な色に見えていましたが、施工後はパールの存在感もはっきりしきれいな白に生まれ変わりました。
当然艶も復活しとても10年以上が経過している、ましてや走行距離8万キロになろう車には見えまん。
磨き屋としてはこのような多少ダメージを受けてしまっている使用過程車をきれいにすることは、磨きの効果が一目でわかり磨きの過程でもその代わり行く様が手に取るように判るので、施工していても楽しくてしょうがありません。
今回はお車を提供していただいた車屋さんや電装屋さんタイヤ屋さん(購入したタイヤは夏タイヤのため装着されていません)塗装屋さんなど仲間の業者の方にもご協力いただき、非常に程度の良いお車に仕上げることができました。
皆さんありがとうございました!
お客様も大満足でお持ち帰りいただきました。
車両クラス:クラスL
施工コース:マーベラスフィニッシュ・スノーガード ガラスコーティング+02磨きコース(軽度の磨き)+ライトカバーコーティング(ヘビーポリッシュ)
施工料金:70.350円税込み(お持込お引取り割引10%・リピーター割引20% 適応)
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