2011年03月20日公開|ランチア
昨年施工させていただいたLancia ランチア デルタ HF Integrale 16v Evoluzione IIです。
前回施工の再に膜厚が薄く一部サフェーサーが露出してしまうことになってしまいましたが、
お客様が側面部分の膜厚が薄かった部分を全て再塗装してくださり再度施工することとなりました。
今回の再塗装はかなり予算を絞っての塗装だったことと、磨きコーティングに出されることが決まっていたので塗装の仕上がりとしてはかなり粗い塗装ではありましたが、04コースでペーパーをかける前提での塗装でしたので、
クリアーの厚みを十分に確保することに重点を置いた塗装をしてきていただきました。
クリアーを3回重ね塗りしてあるそうですが中砥ぎはおそらくされておらず、仕上げの磨きも行われてはいないようですので、“すごい柚子肌”です。
未塗装のトップ部分はほとんど柚子肌は無い状態ですので、このままの側面の状態では塗装のバランスがめちゃくちゃになってしまうため、
トップ部分の塗装状態に肌感を近づけるため柚子肌を整えていきます。
磨き前膜厚は200μ、以前の膜厚の2倍以上の膜厚ですので安心してペーパーからの施工が可能です。
傷は再塗装後ですからほとんどありませんが、このきつい柚子肌を整えるにはおそらく10μ程度の研磨は必要と思われます。
左上の矢印の部分はクリアーの物噛みの部分です。
この物噛みもきれいに処理していきます。
白くなっている部分が柚子肌の凸部分で赤い部分が凹部分です。
まずは#1000のペーパーで極端に凸になっている部分だけを切っていきます。
全てにペーパーをあてないのは少しでも研磨厚を少なくするためです。
#1000施工後の膜厚は198μです。
研磨膜厚は2μとなります。
#2000ペーパー施工後の状態ですが、この段階でほとんど全ての塗装面にペーパーがかかりました。
上の写真は物咬みしていたところの部分ですが、ほとんど物噛みはわからなくなっています。
見た感じではマッドレッドの塗装のようです。
#2000ペーパー施工後の膜厚は196μです。
研磨膜厚は2μ、総研磨膜厚は4μとなります。
#3000ペーパー施工後の状態ですが、あまり見た目での変化はありませんが#1000~#2000で付いてしまったペーパー目をウールバフでの研磨で処理できるようにより細かなペーパー目に置き換えるための作業となります。
エッジ部分や凹部分にペーパーがかけてないのはこの部分は研磨が強く当たりすぎてしまったり、周りの部分に必要以上にバフが当たってしまうことを避けるためです。
このような部分はこの次のウールバフの研磨でも柚子肌は取り去ることが可能です。
ここで手を抜いてしまうとこの後の作業も非常に大変となり、さらには仕上がりの光沢にも大きな影響をしてしまうため、“非常に大切な工程”です。
04コースの磨きの超鏡面の仕上がりの是非はここでほぼ決定します。
ここで問題発生です!
クリアーの中にごみが入っていてペーパーにより掻き出されてしまいました。
下地までの大きなごみだったので完全にわからないところまでは復元できませんがかなり判らなくすることは可能だと思います。
塗装の際には必ず物噛みやごみの混入は避けることはできませんが、本来の塗装方法であれば重ね塗りの工程で中研ぎをしながら塗装しますからここまでのごみの咬み込みはほとんどありませんが、今回の塗装はただ重ね塗りを行ったためこのような大きなごみが塗装に残っていたようです。
#3000ペーパー施工後の膜厚は195μです。
総研磨膜厚は5μとなりました。
補修に使用されているクリアーが国産クリアーで硬化剤比率も少ないため比較的柔らかな塗装ですので、ここから研磨厚に気を付けながら施工する必要があります。
第四工程のウールバフに因る施工後の状態ですが、この段階でペーパーに因る傷は全て取りきります。
それにより赤の鮮やかな色が戻ってきました!
この工程が一番研磨厚が多くなってしまう工程ですが、
逆に不必要な傷を入れてしまう可能性も高いのであまり研磨力の強くないコンパウンドを使用して丁寧にペーパー傷を処理していきます。
ウールバフ施工後の膜厚は193μです。
ウールバフに因る研磨厚は2μでペーパー目の処理ができました。
“上出来です”
総研磨膜厚は7μとなりました。
ウールバフで付いてしまった細かな研磨傷をここからスポンジバフで取り去り超鏡面の塗装肌に作りこんでいきます。
ここまでくればかなり塗装に艶も復活してきて柚子肌の処理も終わっています。
この後2回のスポンジバフの処理で細かなポリッシャー傷を取り去っていきます。
3回のスポンジバフ終了後の膜厚は190μでした。
予想どおりの10μの総研磨厚となりました。
Lancia ランチア デルタ HF Integrale 16v Evoluzione II
コーティング終了
磨きを行っていない部分との肌感もばっちりあわせることができ04コースの磨きは無事終了しました。
フラッシュライトの写りこみもきれいにぼけずに写っています!
光沢も申し分ない仕上がりです!
磨き前の肌感とは大違いです!
当然写りこみのシャープさも天と地の差があります。
これがペーパー施工の効果です。
今回の磨きは塗装による柚子肌を直すための04コースの磨きですが、
柚子肌をよりきれいに見せたいとのご要望であれば03コースの磨きで対応が可能です。
イタ車やイギリス車などは車種によりわざと柚子肌を強調しているものもありますので、そのオリジナリティーをさらに引き立たせるためには03コースの磨きは非常に効果があります。
ドイツ車の場合には柚子肌を嫌います!
しかし最近のドイツ車は粉黛クリアーを使用しているために以前に比べ柚子肌が見る角度によってはかなり目立つようになってきてしまいました。
特にポルシェはその兆候が顕著のように感じます。
柚子肌は見た目に柔らかい雰囲気を作り出しますが、ドイツ車の場合人間的というよりもエンジニア的な冷たい雰囲気が今までのイメージですので,
カッチとした艶感のほうが似合います。
ガラスコーティングの艶でそれを作り出すことも可能ですが、
04コースで作り上げられた冷たいカッチとした艶感にはなりえることはできません。
傷を取ってきれいになることだけではご満足できないというこだわりのオーナー様にはこの03・04コースのこだわりの磨きはきっとご満足いただけると思います。
但し卸したての新車に施工することはあまりお勧めはできません。
まずは新車の艶の醍醐味を堪能されてから新たな艶を求めての施工がお勧めです。
このたびは1年に3台4回もの施工をさせていただきましたありがとう御座いました。
最後に残った取って置きの1台の施工もお待ちしております。
車両クラス:クラスM
施工コース:マーベラスフィニッシュ・スノーガード ガラスコーティング(側面のみ)+04磨きコース(側面のみ)
施工料金:89.250円税込み(補修基本施工料15.750円・輸入車割り増し磨き10%・ソリッド割り増し磨き10%・お持込お引取り割引10%・リピーター割引20% 適応)
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