2011年09月29日公開|トヨタ
今年の7月に施行したばかりのお車ですが、後方追突をされリアバンパーとテールハッチの修理となりコーティング補修の為ご入庫となりました。
ご入庫前に保険会社とのやり取りで大きな問題が浮上してきてしまいました。
板金補修についてはスムーズに交渉は進んだようですが、コーティング補修についてはオーナー様と保険会社との間で補修範囲についての折り合いが付きません。
通常の車磨き研究所での補修範囲 板金補修したパネルに隣接するパネルつまり5パネルについては問題なく了解は得られましたが、オーナー様の補修要求範囲は全面再施行でした。
これは通常保険会社が認めることはありません!
お客様の考え方としては、
「たとえわずかではあるが紫外線にさらされている以上は、新車時に施行したものと補修施行した部分とは意匠性に違いが出る。」
確かにそれは間違いのないことです。
しかしそれが視覚的に認識できるかは別問題で、はっきり言って電子顕微鏡レベルの話となってしまいます。
それを言い出してしまうと、塗装のほうは桁違いにオリジナル塗装と補修塗装の違いは歴然としています!
バンパーはメーカー出荷時に色つきのオリジナル塗装のものもありますが、これとて生産ロッドが違えばかなりの色の違いが在ります。
はっきり言って補修塗装で色合わせしたほうがましなくらいの色の違いが有ることはざらです。
さらにリアハッチに関しては補修塗装しか選択肢はありませんが、オリジナル塗装と補修塗装では色を完璧に合わせることは可能でも、塗料自体はまったく違う製品ですし、当然塗装方法も違います。
こうなるとコーティングの意匠性云々を言い出してしまうと補修自体が問題となり、メーカーラインで全塗装しなければ話のつじつまが合わなくなってしまいます。
しかしこれは保険会社が認める認めないとは別問題で、現実的にラインに入れて塗装することは不可能なことです。
このやり取りが何日にも及び、保険会社側も示談しなければいけない事情もありますし、最終的にはオーナー様の要求を呑むしかなくなり、コーティングの全面施行を認めることとはなりました。
しかしこれは本当によい解決論だったのでしょうか?
保険会社側はこの問題に際して、支店レベルでは結論を出せずに本社の特別の部署の扱いとなりました。
ここまで話が大きくなるとこの問題は保険会社の資料として残り、このような事例が全支店に報告されることとなります。
つまり保険会社の要注意リストに名前が挙がることとなります。
これ自体“だから何なの”と思われるかもしれませんが、実はこれは後々大きな損をこうむる可能性を含むこととなります。
というのも、車社会は何時自分が加害者側に回るか判りません。
其のとき過去のこの事例がオンラインから飛び出てきたら、保険会社の賠償請求はかなり強気の請求を返してくる可能性が出てきます。
それば自分の保険会社が対応することで自分に関係ないとお思いになるかもしれませんが、それはちょっと短絡的です。
裁判になれば代理人として保険会社が全権委任を受けることが出来ますから加害者本人に対しての直接請求は禁止されますが、それまでは被害者側は請求金額に対して保障金額に不満があれば、加害者にたいして直接請求の権利が行使できます。
このような事態が起こる可能性も否定できません!
確かに今回全面施行を保険会社は認めました、しかしそれは過剰請求を押し通したクレーマーとして相手方に認知させたことにもなります。
どっちが得だったのでしょうか?
事故板金補修パネルではないパネルに洗車スクラッチが入っています。
今回お客様にはお会いしていませんので、なぜここまでコーティングの全面際施行にこだわられたかはお聞きしていませんが、ことによるとこの洗車スクラッチが原因かもしれません。
「ガラスコーティングをしておけば傷が入らない、だからラフな洗い方でも大丈夫。」
と思われている方が多くいらっしゃるようですが、それは間違った認識です。
幾ら硬いガラスコーティングを施行しても傷は必ず入ります!
ガラスコーティングの常識的最高硬度は9Hが限界です。
この硬さはフロントガラスの硬さと同等です。
しかしフロントガラスでも傷はいとも簡単に付きます。
どんなにきれいに見えても実際には細かなワイパーによるごみの引きずり傷が入っていますが、透明な為シリコンオイルなどが傷を埋めてしまっている為に気が付いていないだけなのです。
つまりラフな洗車の仕方をすれば傷は入るという事になります。
あくまでガラスコーティング未施工車に比べ傷が入りにくいということですので、細かな洗車スクラッチすら入れないように洗車するにはきちんとした洗車方法を行なう必要があります。
施行の際訪れていただく多くのお客様に洗車方法をお聞きしますが、ほとんどのお客様の洗車の方法は私から見ると傷が入るのは当然と感じる方法をされています。
しかしこれはある程度致し方ないことではあります。
完璧な洗車を行うには、それなりの環境と道具と時間が必要となります。
しかし其の条件すらクリアーすることは難しいことです。
つまり洗車を繰り返すという行為自体が傷を入れ続けるリスクが積み重なっていっていることになります。
車は使用すれば使用しただけすべての部分が劣化していきます!
“長くきれいに使用したい”
これは誰でも思われることであるのは当然ですが、しかし劣化は避けることは出来ませんので、どこかで妥協していかなければストレスにしかならなくなってしまいます。
TOYOTA トヨタ プリウス GLE Gエディション 再コーティング施行終了
ほとんど新車に近い状態ですし、ましてやガラスコーティングが施行してありますから、部分的には多少の洗車スクラッチはありますがほぼ完璧の状態での再施行ですから、全体的にはほとんど意匠性の違いはありません。
しいて言えば先に触れた部分の洗車スクラッチが無くなったと言う位です。
しかしこれは洗車管理の方法を改めない限りいたちごっことなってしまいます。
これを防ぐにはよくお客様にも言うことですが、極力車の使用を避ける・洗車の回数を減らす・洗車管理の仕方を改める などとなりますが、この中の車の使用を避けるのでは何の為に車を買ったのかが意味がなくなってしまいます。
趣味で1年のほとんどが車庫の中で眠っている車は一部ですから。
毎日使用する中での車の劣化はどこかで妥協の必要があります。
そうしないとお金も精神的にも体力もどんどん消耗していってしまいますから!
車両クラス:クラスM
施行コース:マーベラスフィニッシュ・プレミアム×光触媒ボディコーティング+02磨きコース(軽度の磨き)
施工料金:保険会社対応の為非公開
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