2011年10月23日公開|トヨタ
こちらのお客様は、新車購入前の時点から色を何色にするかのご相談をお受けしておりました。
ご本人としては202に思い入れがありできれば202がいいと思われているご様子ですが、磨き屋に何色がいいかとご質問されれば、
「パールホワイトかシルバー!」
迷うことなくこうお答えいたしました。
しかしそれからしばらくしてご連絡があり、
「202にに決めてきた!」
“ガーン”です。
せっかく202という塗装は憧れてみているのと、実際所有するのとでは大違いであることをかなりきちんとご説明したにも拘らず、現実所有していないので其の忠告の現実味がお判りにならなかったようです。
いよいよ納車になられてお持込いただくと、見るも無残な状態です!
“え、これで新車”
というレベル、車磨き研究所での施工では国産車・輸入車含めて今までで最悪の新車としては塗装コンディションです。
すべてのパネルに線傷がくまなく入っています!
どう見ても新車のレベルではなく、3年以上経過した中古車の程度の悪い車と同等のレベルです。
しかも傷は軽いものだけではなくかなり深い傷も100本程度は楽にあります。
しかも一部には水染みがイオンデポジットに進行してクレーターが塗装に食い込んでしまっているところまである始末です。
このような状態は輸入車では長期在庫車などではたまに見られることですが、現在トヨタは生産が間に合わずフル操業状態のはずですからプリウスが在庫車のはずはありません。
あまりにもつじつまが合わないためトヨタの本社勤務の知り合いに問い合わせしてみたところ、
「震災の影響でパーツが間に合わず組み立てが出来なくても、プレスだけは先行して在庫していた車種もあるとは聞いている、これ以上は教えられない。」
との情報を頂納得です。
ボディだけ先行して塗装され野ざらしで放置された期間がかなりあった可能性があるということです。
確かにトラックでは当たり前に行なわれていることですから、乗用車でも場合に因ればあることでしょう。
しかし信じられないのがこの状態でメーカーから出荷され、ディーラーのPDIを通過してディーラーがお客様に引き渡しているということです。
更にお客様も納車時に傷が多く、かなり目立つ傷があるにのかかわらず、
そのまま受け取ってしまったことは取り返しの付かないミスです!
おそらくこれから磨きコーティングをするから問題ないと考えあられていたのかもしれませんが,
新車で202の塗装がここまでのダメージを受けてしまっていてはリセットはまず無理です。
磨きのご依頼内容は02コースの磨きですが、この状態を完全な状態に戻すには、03コースの磨きで一度耐擦り塗装の表面を削り取ることから始めないと完全な状態には戻りえません。
しかしできる限りのことはして見なければいけませんが、どこで妥協するかという判断が難しいところです。
磨き前膜厚は104μでした。
普通の新車磨きのゆうに2倍は時間がかかりましたが、
何とか見られるレベルまでは傷をなくすることが出来ました。
トヨタ耐擦り塗装はクリアー表面に復元性のある樹脂を配合することで自然に傷が復元する構造になっていますが、
これはあくまでもかなり浅い傷スクラッチのレベルに限定されます。
しかし今回付いてしまっていた傷はかなり深い傷が多く、
耐擦り効果の得られるレベルを超えてしまっています。
こうなると耐擦りクリアーを研磨して落とし、その下のクリアーまでを磨く必要が出てきてしまいますが、新車で其処までして傷を完全に除去することはいいこととは言えません。
仮にその様な方法で磨くとすれば03・04コースでの磨きが必要となってきてしまいますので、価格的にも2~3倍近い費用も掛かってしまいます。
そのため今回は02コースでできる限りのことをしてみましたが、
通常の自然光では傷はほとんど気にならないところまでは回復できたと思います。
但しGSなどの強い水銀灯や、太陽光でも斜めからあたる強い光に照らされた場合はある程度傷の存在は確認できてしまうと思います。
磨き後膜厚は99.4μ、新車としてはかなりきわどい研磨厚の4.6μの研磨となりました。
TOYOTA トヨタ プリウス S コーティング終了
磨き上げコーティングを施工することで、施工前と比べれば格段に艶があがりいかにも新車のクオリティーにはなりました。
しかしプロとしては決して満足いくレベルには到達することは出来ず、
正直不満足な出来ではあります。
今回の場合お客様はディーラーでの納車の際ボンネットやその他の部分にも、かなりの傷があることを確認してはいらっしゃったそうですが、
其のことには一切触れずにお受けとりになられたそうです。
しかしこの時点でこれだけの傷があることに納得がいかないと受け取りを拒否していたとしたらどうなっていたのでしょうか?
考えられるパターンはいくつかあります。
このようなことが考えられますが、おそらく4と5はかなり難しいとは思います。
いままでの弊社でのお客様からお聞きしているパターンでは圧倒的に1と2が多いようです。
3についてもディーラーが経費の持ち出しとなってしまうので、おそらく会社内部的に支払いが生じるようなことは認めない可能性が高いと思われます。
これはそもそも新車に対しての販売利益が少ない為に持ち出しをしてしまっては、販売したこと自体が赤字となってしまう為稟議が通らないと思われます。
正直ディーラー自体が新車というもののクオリティーのレベルをどこまでの線引きでまともなものとだめなものとを区別しているかが曖昧です。
これはトヨタだけでなく国産車すべてにおいていえることですし、高級輸入車のベンツにおいても程度は違えども共通する疑問点です。
確かに構造的な機械部分の不具合とは違いますから基準が曖昧です。
基準自体が個人個人の意匠性に対してのこだわりで大きく違ってきてしまいます。
しかし今回のお車に関してはその様なレベルの問題ではないと思います。
少なくとも初見した段階で全体が傷だらけではとても新車とはいえません!
施工が終了しお客様がお引取りに見えられた際に、すべてのことをお伝えしましたが、格段に艶が良くなって傷もほとんどわからなくなっていることで満足はしていただけましたが、本当の苦悩はこれから始まるといっても過言ではありません。
お客様は202の塗装のお車ははじめてお乗りになります。
世界中の車の中でおそらく一番傷が目立ちやすい塗装であることがわかられてはいません。
つまり幾らコーティングをしたとしても洗車を繰り返すことで、微細なスクラッチが入っていくことは防ぐことは出来ません。
塗装が202でなければこのような微細なスクラッチがコーティング皮膜に付いたとしてもほとんど確認できるようなレベルにはなりませんが、
トヨタ202だけはすべての傷を正直に見せてしまいます。
傷や曇りがない202ほど美しい黒はないのは事実ですが、
痛んでいくときのみすぼらしさも同じように特別であることを覚悟しなければいけません。
私の友人で元トヨタの関係者がおりますが、202の話題となると口癖のように、
「202を選んでおきながら傷を気にするお客も間違っているけれど、そうなることが解かっていながら202の塗装色をお客の言いなりになって売ってしまう営業マンも間違っている!」
「202の車に乗るということがどれだけストレスになるかをきちんと説明して、それでのいいという納得の上で販売していくべきだ!」
確かにこれだけ特殊な塗装であれば当然のことだと思います。
個人的には、ディーラーで管理補修が出来ないレベルの塗装を幾ら人気があるからといって作るメーカーに問題があると思います。
これから202を購入しようと考えている方、特に始めて202を購入される方は本当にこの色でいいのか?
もう一度良く考えてみた方がいいですよ!
"町で見かけてかっこいいなー”
と感じることと、自身が所有して管理していくこととはかけ離れていますから・・・
車両クラス:クラスM
施工コース:マーベラスフィニッシュ・スノーガード ガラスコーティング+02磨きコース(軽度の磨き)
施工料金:69.930円税込み(お持込お引取り割引-10%・新車割引磨き-10%・濃色車割り増し磨き+10%・ソリッド割り増し磨き+10% 適応)
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