2011年12月11日公開|トヨタ
問題児202の登場です!
しかし今回はクラウンですからプリウスなどとは色は同じでも塗料材質が違うためまだ磨きやすいのが救いです。
先日某大手外車ディーラーの幹部の方とお話しした際、
「クラウンはいい車だよ、特にアスリートに関しては高速域での安定性はAMG並みだね!」
「アンダーパネルの整流効果が端的に表れているし、制動力も国産車とは思えない。」
「ただしあくまで高速域の直線での話だけどね・・・」
と富士スピードウェイで多くの国産輸入車を集めた比較試乗の際の感想をおっしゃっていました。
正直この発言は驚きでした!
確かにクラウンは乗りごごちの良さと内装の作り込みの良さには定評があり、私自身もそれに関してはその通りと思ってはいましたが、
まさか走りに関してほめ言葉が“この人から”出るとは思いもしませんでした。
走りに関してのイメージは、高速道路のカーブはおろかレーンチェンジすら恐ろしく、峠道ではカローラのほうがましでしょうくらいの認識でしたから・・・
ゼロクラウンのころからそうとうの進歩をしたのですね!
トヨタもやればできるじゃないですか。
さすがにクラウンはトヨタの看板車種!
“いつかはクラウン”
ですからね!
私も25年ほど前には所有していたことがありますが、当時の社長がクラウンに乗っておりそれにあこがれて購入しました。
当時仕事場も遊び場も六本木、時はバブル真っ盛りです!
されど周りのようにベンツやBMWなどは手が届きません、ちょっとやんちゃだったこともあり睨みも効かせるためにクラウンとなりました。
かなり動機は不純です!
ガキがいきがってまさに“身分不相応”。
今思い返せば恥ずかしい限りです。
車は身の丈が一番!
やっと今になり身に沁みます。
しかしこちらのオーナー様は、奥様とご一緒に2回も来店していただきましたが、
ご夫婦ともに物腰もやわらかくとても気さくな方でまさにクラウンオーナーという感じでした。
高級車に乗る以上こうじゃなきゃね!
いきがってガキがシート倒して横向きながらローダウンしてスモーク貼って乗る車じゃないですよ!
よくまとまった感じのメーターですが、どこかで見たことあるよーな?
昔からトヨタ日産の高級車はパクリのにおいが付きまといます。
だけどメーターの刻むスピードは180km/h!
良くまとまったつくりになっています!
レグサスみたいなごちゃごちゃ感もなく王道の高級車の作り方レイアウトです。
質感もあえて高く見せよう的なところもなく、逆に好印象です!
フーガなどと比較すると非常に基本に忠実な作り方で、飽きがこないいいつくり方です。
ですが、このつくり方Sクラスそっくり・・・
確かにシンプルにしようとするとこうなりますよねー
そこに鎮座するクラウンのエンブレム!
これはいいですねー
このような部分もレグサスのように、“どうだ”的なところはなくさり気なく高級感が醸し出されています。
購入層が実際身の丈であるならば、このようにシンプルでありながら良質な作り方のほうが好印象でしょうね!
見栄でクラウンなどを選択していた層はレグサスに移動したでしょうから、
本来の良質を求める方にはクラウンは今が旬ですね。
このフロントシート背面についたハンドルは、国産車独特ですね。
欧州車ではめったに見かけません!
デザインよりも機能を優先しています。
このクラスですと確かに後部座席は年配の方が乗られる機会が多いでしょうから、実に実用的です。
助手席のシート側面部には後部座席からシートを操作できるスイッチがついています。
左側後部座席はVIPシートですから、ここ等辺の装備は高級車らしいですね。
ただアスリートにはいるのかな?
V6 3.5Lで315psのパワーは余裕の性能でしょう。
あえてV8を使用しないのは上級車種との差別化でしょうが、できれば3L位でV8積んでくれるとなお高級感出るんですけどねー
しかしエンジンルームはカバーに覆われ何も見ることができません。
こうゆう部分だけは輸入車よりもシンプルです!
ていうか、コストダウン?
されどこのクラウンエンブレムはいいですねー!
ボンネットとトランクはすさまじいまでの傷に埋め尽くされています!
すでに艶はなく曇っているというよりは白身がかって見えるほどです!
何でそんなことに?
実はとあるGSのキーパープロで磨きとコーティングを依頼した際にこのようになってしまったそうです。
“無理もない”
今まで磨きなど全く経験もなく、1~2日の講習を受けいきなりお客様のお車を磨きだすのですから当たり前のことです。
ましてや相手は悪名高き202!
磨きどころか壊すことにしかなりません・・・
当然施工前の状態に戻すこともできるわけがありません。
結局は一応コーティングまで施工してこの状態で納車となってしまったようです。
しかしこの状態でお車に乗り続けることもできずに弊社にご来店いただいたそうです。
弊社での再施工費用は自己負担なのか、GSが負担するのかまではお聞きしませんでしたが、自社で再施工できないのであればここまで状態を悪化させてしまっているので、
本来ならば弁償は当たり前でしょうね!
再施工にあたり心配だったのは磨き倒された部分の膜厚でしたが、
幸いにも傷を入れていただけで研磨するところにすら至っていなかったようで、膜厚は145μ残っていました。
これで第一関門はクリアーです!
しかしボンネットとトランクばかりに気を取られていましたが、
側面を磨き始めてみると側面のかなりの劣悪な状況です!
ここはGSでは磨いていませんから、お客様自身かGSでの度重なる洗車などによるものと思われます。
が、約3年経過車としては傷の深さと量においては、
過去施工車のワースト3には入るかもしれません!
しかしこの塗装トヨタ耐スリ塗装ですよね?
これでは効果があるどころか逆に“来いスリ塗装”です。
今まで多くの耐スリやスクラッチシールドを見てきましたが、
国産車の塗装においてはその効果を感じたことはただの一度もないどころか、
経年することで通常塗装よりも状態を悪化させている印象しかありません。
コストダウンのための耐スリやスクラッチシールドではなくて、本来の目的が果たせるようなドイツ車のような耐スリ塗料にしましょうよ、
メーカーさん!
問題はそれだけではありませんでした・・・
左の写真を見るとわかると思いますが、白く点々が無数についています。
これ水染みです!
普通水染みは撥水コーティングを施工しても、トップ部分にはできやすいですが側面はあったとしてもかなり少ないのが通常です。
しかしこのお車の場合トップと側面の状態はほぼ同じレベルで水染みが発生しています。
キーパーコーティングを施工してありますからその上に数か月でここまで水染みができたことになります。
かなりやばいコーティング剤です!
しかし理由はほかのことも挙げられます。
まずはコーティングに関して一切鉄粉などの処理が行われた形跡がありません!
ということは傷と付着物によって塗装表面はビーバーのダム状態というか、
おろし金のような状態と思ってください。
本来であれば撥水することで水分は不純物とともに流れ落ちていくはずですが、引っ掛かりがあるために不純物をコーティング面に残し滑り落ちていきます。
その結果がこの状態だと思われます。
しかし磨き上げていくと、キーパーのコーティングの上の水染みとコーティングは処理できますが、傷がなくなっていくにも拘らず一向に消えていかない水染みがあります。
イオンデポジットができています!
しかも側面に、また珍しいことに数ミリの大きさでかなり頑固な食い込みを起こしています!
確かにこのような状態のお車は数十台に1台くらいの割合では存在しますが、お客様に過去の管理状態をお聞きすると大体がポリマー処理かWAXで管理されていることがほとんどです。
確信はありませんがそれらの成分が水の酸もしくはカルキ・カルシュウムなどと反応をおこし、通常よりも強固な水染みを作り出しイオンデポジットに成長させているのかもしれません。
磨きをしている過程ではありますが、部分的にはとりきれない部分が出て来そうな嫌な雰囲気です・・・
ポリッシャー傷に覆われていたボンネット・トランクも何とか回復することができました!
しかし鉄粉など付着物がある状態で磨きをされてしまっているので、
その咬み込み傷はかなり深いものも存在しているために、
さすがにそれは02コースでは磨きとることはできませんでした・・・
しかし磨きの最中に最悪のものを発見してしまいました!
ボンネット中央フロイントガラスよりの部分が凹んでいます!
おそらくキーパーでの磨きの際プレスを強くかけながら熱を入れてしまい、凹ませてしまったと思われます。
スチールボンネットでしたらこの程度であれば自然に回復するのですが、このお車はアルミですので、一度凹んだものは自然に治ることはありません・・・
今の車は塗装も素材も特殊なものが多く使用されています。
そのこと自体が分からず、
しかもそれに対しての対処方法も考えずにやみくもに磨きをすること自体無謀としか言いようがありません!
確かにGS自体この状況下ですから経営が厳しいので、サイドメニュー的に磨きやコーティングに手を出したくなるのはわかりますが、
せめてきちんとした教育をして専任の社員を配置して作業を行ってほしいものです。
全国規模でこのようないい加減なことをされたのでは、磨きやコーティングの信用を失っていってしまいます!
GS経営者の方もうちょっと慎重に考えてください!
側面部分の傷もほとんど処理できましたが、やはりかなり深い洗車傷おそらく砂などを咬み込んで洗ってしまったときついた傷は残ってしまいました・・・
これもある意味202というか耐スリ塗装の弊害です!
細かな傷を塗料に弾性力を持たせることで防ごうとしていますが、
結果柔かい塗膜となりますから強い力がかかれば簡単に深い傷が入ります。
しかしこれを磨きで取ろうとすれば必然的に強い磨きが必要となり、結果磨き傷を入れてしまうことになり“いたちごっこ”となっていってしまいます。
つまり耐スリ塗料(国産車)の場合深い傷を入れてしまうと、
通常の磨きでは対処は難しいということになります・・・
202なのに水銀灯の周りがメタリックのように見えるのは、
今回施工いただいたWコートの光触媒の酸化チタンの結晶です。
太陽光程度では見えませんが、このように水銀灯のような強い光を当てた場合は、
酸化チタンが光彩現象を起こします。
これは202のような濃色ソリッドでは確認できますが、
それ以外の色では全く見えることはありません。
濃色ソリッドにWコートを施工する場合は機能を優先するか、意匠性を優先するかの判断が不可欠となります!
磨き終了後膜厚は140μ、研磨膜厚は5μでしたが同じ耐スリでもクラウンの塗料でしたのでさほど苦労はありませんでした。
といってもやはり通常の塗装で淡色のものと比べると磨き工程は約2日ほど多くかかってはしまいました。
TOYOTA トヨタ クラウン 3.5アスリート コーティング終了
お持込いただいた時の悲惨な状況からすれば天と地の差があります!
施工期間中何人かのお客様もお見えになりましたが、磨きあげられ202特有の艶が出てくると、
「ここまでしてしまうとこの後どうやってこの車に乗るの?」
「怖くて乗れないよー」
また仲間のメカニックも、
「この手の車は施工してある場合は修理に持ち込まないで!」
「怖くて作業できないよー」
といっていました。
これクラウンの黒だから乗っている人が怖いという意味ではなくて、
202自体が怖いという意味です!
正直私も施工まではいいですが、其の後の管理やメインテナンスはできれば避けたいのが本音です!
ましてや自分で所有するとなると恐ろしすぎてとても耐えれませーん!
キーパープロについては多くの店は依頼することにリスクを伴いますが、
すべての店がそうというわけではありません。
私の友人のGSでも取り扱ってはいますが、
板金工場も併設しているのできちんとプロが施工しています!
このような施工店でしたらキーパーでも安心でしょう。
ブランドではなく中身、お店選びが肝心です!
リセットも終了しましたが、ここからがお客様と202の戦いの始まりです・・・
とにかく洗車の際のクロスやスポンジの管理は怠りなく!
とにかく時間をかけて丁寧な洗車を心がけてください。
水も節約せず常に流水をかけながらお願いします。
車輛クラス:クラスL
施工コース:マーベラスフィニッシュ・チタンコンビネーション ガラスコーティング×光触媒ボディコーティング+02磨きコース(軽度の磨き)
施工料金:114.651円税込(お持込お引き取り割引-10%・濃色車割増磨き+10%・ソリッド割増磨き+10% 適応 特殊塗装割増は価格改定前予約のため非適応)
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