2011年12月16日公開|ポルシェ
まあでかいです!
お引き取りに伺っての施工でしたので、キャリアーで積載してきましたが両サイド5cm程度の余裕しかありません・・・
とはいえパナメーラのように車幅が後輪のほうが広いということはないだけ怖くはありませんが、荷台をスライドさせていくとキャリアの前輪が思わず浮きそうになるのにはちょっとびっくりです。
もっとも総重量が2.4tを超えるのですから当然といえば当然ですか!
お引き取りしての帰り道は登り道となりますからこれはかなり車は重く大変だろうと思っていたら、さに非ず!
確かにこれだけの重量ですから軽い訳はありませんが、コーナーでのロール・路面による跳ね・登坂での加速 どれを取ってみてもここまでの重量の車を積載しているとは感じさせません。
フィーリング的に言えば1.5tクラスの車を積んでいるかの如くです!
この感覚は多くの輸入車に共通する部分で、
前後の重量配分の良さとサスペンションの設定の良さが如実に表れてきます。
反して国産車の場合には1.5tしかない車を積載しているにも拘らず、
2tを超えるかのような重さや車の不安定さを感じさせます。
これは輸入車とは逆で、前後の重量配分の悪さとサスペンションの設定の悪さを如実に表しています。
実車を運転する以前の問題として根本的車のつくりの良し悪しが此れだけで判断できてしまうほどの差が手に取るようにわかってしまいます。
確かにポルシェというもともと生粋のスポーツカーメーカーが、SUVであるカイエンや、4ドアセダンのパナメーラなどを作ること自体が“邪道”であるとの意見も多くあるのは事実ですが、各々そのカテゴリーの中の他社と比較した場合異次元の性能を持ち合わせていることを考えれば、
“ポルシェだからこそこのカテゴリーですらこれだけの性能を作りえた”
ということは紛れもない事実ですから、一概に否定することはできないのもしかりです!
ただしSUVや4ドアセダンにここまでの高性能な高速走行性能は必要なのか?
という疑問は確かにありますが、AMGにもセダンやSUVもありますからこれはこれでこの様な所の購買層が存在しているのですから、必要なところには必要なのでしょう・・・
庶民である私などからすると、何も1.000万円以上のお金を出してこの車を買わなくてもと思ってはしまいますが、それも庶民であるがための感覚でしょうねー
車体もでかいですが、キャリパーもあり得ないでかさです!
確かに2.5t近い巨体でしかも400psのパワーですからこれくらいのブレーキは必要でしょう。
国産輸入車含めブレンボがついているから必ずしも制動能力が優れているとは限りません。
ブレーキはマスターシリンダーを含めたトータルでのバランスですのでそこまで徹底した作り込がされているのはやはりポルシェが1番でしょうね!
よく大径ローターに変え6ポッドや8ポッドに変更している車もありますが、確かに効きはある程度変わるかもしれませんが、
費用対効果で考えた場合はショップのカモにされていることのほうが多いでしょう・・・
使用スピード域におおじてパッドだけの変更でも公道使用の範囲であれば問題ないはずです。
まあ見たくれだけで100万円出すのもそれはそれかも知れませんが?
ポルシェのエアーサスペンションは、車高調整や乗り心地だけではなくハイスピード時のコントロール性能も並はずれた能力を持っています。
そこが他社のエアーサスペンションとの大きな違いです!
何せこの超重量級の車体をスポーツカーの様な速度でコーナリングさせてしまう技術は今のところ他社の追随は許しません。
それだけのスポーツ走行性能コントロール機能を持ちながら、SUVとしての機能としての車高調整機能もきっちりと持ち合わせています。
これだけのコントロール幅があればオフロードもかなり本格的に走行可能です!
しかしカイエンでそこまでしてオフロードを走る人は(勇気のある人)まずいないでしょうが・・・
メーター周りはいかにもポルシェです!
ただし個々のメーターのカバーのプラスチックの質感はがっかりですが・・・
このような部分を見るとやはりガチャポンの大量生産車なんだなー
と感じてしまいます。
このような部分はやはり高級SUVの代名詞レンジローバーにはかなわないところです。
このセンターコンソールのあたりのつくりはいかにも今のポルシェらしさが出ています。
かなりパナメーラと似ています!
質感も高くデザインもスポーティーさとSUVらしさをうまく融合させていますし、同じドイツのSUVのゲレンデやXなどとも全く違うデザインになっています。
ただしこのスイッチの多さはあまりいただけませんが、機能てんこ盛りですからしょうがないといえばしょうがないのかも?
しかしサスペンションの調整機能等はこの部分に集約されており、作動方法や調整の仕方は非常にわかりやすくなっています。
デザイン的にも○ですね!
勇気のおありの方はこの機能を使用してランドクルーザーとオフロード勝負してみますか?
どっちがすごいんでしょうね?
パワーのある分カイエン有利?
かな・・・
911とは違いカイエン・パナメーラは内装も価格なりの高級感があります!
しかしランド・レンジローバーと比較するとかなり無機質感が強いですが、そこがポルシェもしくはドイツ車らしさです。
ここは好みがはっきりと分かれるところでしょう。
車格の割には後部座席の開口スペースは狭く、後部座席は他車SUVと比較するとかなり狭くなっています。
これはカイエンだけでなくパナメーラにも共通する部分ですが、ポルシェというメーカーですからあくまでドライバーズカー=後部座席はおまけという考え方なのでしょうか?
ただし乗り込んでしまえば後部座席のシートスライド幅はかなりありますから、フッドスペース等で狭さは感じはしません。
SUVでありながらアンダーパネルに整流板が作られています。
おそらくダウンフォースとブレーキの冷却用のものと思いますが、SUVでこのようなものまで装備しているのはカイエン位なものでしょう。
もっとも250km/h以上スピードが出る車ですからスポーツカー並みの空力構造も確かに必要なのでしょうね!
4.800ccNAで400psのエンジンです。
このエンジンにより2.5tの巨体を8速ミッションの助けを得て0-100km/h=5.8秒で走らせてしまいます!
SUVとは言えない動力性能です!
しかもそれがトータルにバランスが取れていて、すべてにおいて高性能なことはポルシェだからこその技でしょう。
ご納車から約1年が経過しようとしているにも拘らず傷は非常に少なく、
非常に上手に管理されています。
かなりくまなく探してもボンネットやリアクオーターパネルに数本の線傷が確認できるだけです。
しかし最近のポルシェの塗装肌の特徴ですが、
柚子肌は非常に強くドイツ車の中でも特に目立つ状態です。
これは塗装の柚子肌というよりも鋼板の歪みと思われます。
というのも、膜厚は124μと決して厚い塗装ではありませんから、いくら3ウエット塗装といえどもこの程度の塗料の厚みでここまでの柚子肌は出ないと思います。
また、蛍光灯の直線ラインのぶれ方が大きなひずみを伴っていますからこれも鋼板からくる柚子肌ではないかという判断材料となります。
完全なライン生産車としては他社とは比較にならないほどの利益率があるのがポルシェだそうですから、このような部分がコストダウンをされているのかもしれません?
ルーフを見てみると水染みができ始めています!
まだ初期の段階でしたので、イオンデポジットのクレーターには進行していませんでしたから軽症です。
この程度の段階で手を入れることができれば塗装自体にはダメージを与えてしまうことはありません。
人間の体で言えば、この段階は投薬程度ですが、これ以上進行させてしまうと外科手術が必要ということになります。
どんなことに関しても早めの処置が重要ですね!
磨き始めていくととんでもないものが出現してきてしまいました。
ボンネットのちょうど中央部フロントガラスよりの30㎝四方くらいに水疱瘡のようなものができています・・・
しかもその付近は鋼板も歪んでいます!
このお車は新車納車時にポルシェセンターで内製のガラスコーティングが施工されているようでした。
とりあえずは納車されたポルシェセンターが知り合いであったため状況報告と理由を聞くために連絡してみました。
「コーティングの施工の際磨きに問題は無かったですか?」
「実はコーティングの際に磨きはしておらず、下地処理剤を塗ってそのままコーティングをしただけですので磨きによるものではないです。」
そーなんだー・・・
と納得する一方磨きもしないでコーティングしてしまうんだー?
これで一体いくらお客様から料金をもらっているのだろー?
とあきれる部分もありましたが、一方では、
磨きをしなくてもここまでのクオリティーが初めからポルシェにはあるんだー!
という驚きでもありました。
ポルシェセンターもこのまま放置するわけにもいきませんから、ポルシェジャパンに問い合わせを入れPDIでの補修があったかなどこのお車の入港からの足取りを調べましたが,
“補修歴なし”との結論でした。
そうなるとあとは本国でのライン上でのトラブルか、もしくは本国で補修があったかということになります。
どちらにしてもすぐには結論は出ないようなので施工はとりあえず続行することとなりました。
ただしポルシェセンターとしては、納車後1年満たない状況でこのような塗装の状態になっているので基本的にはボンネット交換の方向でメーカーと交渉するとのことでした。
弊社のデモ車のマセラティは新車納車時にヘッドライト周りに塗装の禿があったにもかかわらず、インポーターは“塗装クレームはマセラティでは認めません”とはねのけられ、結局ディーラーの社長がそうはいかないだろうと自腹を切り再塗装していただいたこともありましたが、
ポルシェジャパンは時間経過しているにも拘らずクレームとして認めてくれそうだそうです。
ここ等辺のメーカーとしての姿勢の違いが、”ポルシェは信頼出来る”といことにつながり売れまくっているのでしょう。
それに反してマセラティは、“壊れまくって金ばかりかかる車”というイメージが定着してしまっているのでしょう、結果としてよっぽどのマニアしか買わないメーカーになってしまっています。
たまたま施工中に塗料の問屋さんが来たので、この状態を見てもらうと、
「典型的なブリスターと呼ばれる症状ですね!」
「おそらく塗装時、サフェーサーの下に不純物が入り込みそのまま塗装してしまったのでしょう。」
「一番可能性が高いのは水分ですね!」
「これは時間がたち塗料が縮むことで起きますから新車時にはなかったかもしれませんが、ただ鋼板にも歪みがありますからこれは判っていたはずでしょうけどね・・・」
との見解でした。
どちらにしても後日のメーカーからの回答待ちとなりました。
磨きはそのようなこと以外は順調に進み、
多少は存在していた傷も磨きとり、初期症状の水染みもきれいにリセットされました。
ご入庫いただいた時は地味な色だなー
というのが正直な印象でしたが、磨きあげて艶が生まれてくると全く違う塗装の色が出現してきて、さすがポルシェ紺メタでもここまで存在感のある塗装をするのだ!
と改めて感心してしまいました。
研磨膜厚は3μ、磨き後膜厚は121μでした。
とても固いクリアーですので、磨き自体はかなりコツは必要ですが、
国産車のただ柔かい塗装と比べると安心して磨くことができます。
今回のコーティングのご依頼は、マーベラスフィニッシュ・チタンコンビネーション×光触媒ボディコーテイングですが、
水銀灯の周りに雲のようなものが見えますがこれが光触媒の酸化チタンの結晶です。
ここまで強い光を当てているので酸化チタンが光彩現象を起こし反射していますが、
通常の使用環境ではこの状態は確認できません。
特にメタリックやマイカの場合その反射の一部のようになり、
一層キラキラしたメタリックやマイカの光沢を引き出します。
まあこれも好みの問題ではありますが!
PORSCHE ポルシェ カイエンS コーティング終了
ボンネットの塗装トラブルはありましたが、それ以外はばっちり仕上がりました!
細かいところも非常に程度が良いい車だったこともあり、新車以上の使用過程車となりました。
これでご納車となり問題のボンネットがどのような処理にポルシェジャパンが決定するかが問題ですが、
品質の高さを売りにしているポルシェですからきちんとした対応をされると信じています。
今回カイエンを施工してみて感じたことは、
車両の大きさの割には作業はそれほど大変ではありませんでした。
というのも、無駄なプレスラインなどがなく磨きに際してもポリッシャーの動きやプレス圧に神経をとがらせる必要があまりなかったことが大きいと思います。
言い方を変えればなんてことないデザインなのですが、それでいてほかにはない自己主張ができてしまうのですから、さすが“ポルシェデザイン”としか言いようがありません。
ここで997も新型の991となりましたが、さらなる進化を遂げているようですので、早くその姿を拝んでみたいものです!
車輛クラス:クラスX-1
施工コース:マーベラスフィニッシュ・チタンコンビネーション ガラスコーティング×光触媒ボディコーティング+02磨きコース(軽度の磨き)+ホイールガラスコーティング×2セット(使用品コース×前面のみ18インチ以内)
施工料金:213.120円税込(輸入車割増磨き+10%・濃色車割増磨き+10% 適応)
メーカー別
月別バックナンバー