2011年12月18日公開|トヨタ
今回は大きなトラブルを抱えたお車のご入庫です・・・
いわゆる新車クレーム、塗装状態のクレームです!
ディーラーよりの依頼ではありますが、オーナー様が弊社での補修を指定されたための、
ディーラーとしての見栄やプライドを捨てての外注依頼となりました。
営業マンが持ち込んできたお車を見て愕然です!
傷又傷プラス塗装ミストまで全体に付着しています・・・
この状態で納車した?
今まで色々な新車クレームも見てきましたが、
群を抜いて最悪の状態です。
事の成り行きをディーラーマンにお聞きしてみると、
「傷も塗装ミストも納車前に判ってはいましたが、ディーラーでは洗車で落ちないものはそれ以上は対処できないものとして納車してしまっています。」
「お客様もこの状態は確認されて一度はご納得の上で引き取られたのですが・・・」
「これでいいとお客様は言ったの?」
「この程度なら自分で磨いて対処できると思い受け取られたそうですが、いざ自分で磨いて直そうとしたらボンネットがさらに傷だらけになりどうにもならなくなってしまいました。」
「そこでディーラーにどうするんだ?
ということで持ち込まれたのですが、弊社ではどうすることもできず、お客様からこちらで直せるのではということでお願いした次第です。」
とのことでした。
此れにはいろいろな解釈の仕方があると思います。
まずはこの状態で、これ以上何もできないからという理由で納車してしまうディーラーとしてのスタンスはどうなのか?
一度納車を認めてしまいその後自分で手を入れてしまったものはクレームになるのか?
それを持ち込まれてクレームとして認め、補修を無償で受け付けることはいいのか?
根本的にこのトラブルの大本はどこにあるのか?
疑問は数限りなく出てきます。
この件に関しては納車になったから良かったものの、もしこれでは受け取れないとなったらどうするのだろうという疑問も感じきいてみると、
「どうしてもご納得いただけない場合には契約を白紙に戻します!」
とのことでした。
車を変えて納車するとか、外注でも使ってお客様が満足されるレベルまで補修するとかの方法ではないそうです。
此れでは、
“うちの納車レベルはこの程度”
と言っているのと同じことになってしまいます。
ただしこちらのディーラーというよりは、
店長・工場長・担当営業の方たちの誠意によって会社には内々で本来の新車クオリティーにまで回復してお客様にお返しすることを決断されたのは国産車ディーラー特にトヨタ系列のお店ではまれなことだと思います。
そもそも感心するようなことではないですが・・・
しかし今の誠意のないディーラーが多い中ではこのようなことでも感心してしまいます。
問題はどこまで回復させればお客様は納得していただけるのかが問題ですので、試しに一番状態のひどかったボンネットを磨いてみてその状態をお客様にご確認いただいてから対処方法を決定することとしました。
とりあえず02コースの磨きで仕上げてみることになり、これが施工終了後の状態です。
幸いにも傷の量は塗装すべてが埋め尽くされているような状態でしたが、深さはなく02コースの磨きでもここまで回復させることができました。
お客様にご確認いただき、
「これでどうでしょうか?」
とお聞きしてみると、
即答で、
「完璧です!
02コースの磨きで仕上げてください。」
同席していたディーラーマンも胸をなでおろしていました。
というのも、最悪04コースになるかもしれないと覚悟していましたから、そうなるとプラス10万円近い施工料金が上乗せになりますから一安心なのは当然です。
これで施工コースも決定しましたので、全体の施工に入ります。
しかしほかの部分もこのありさまです!
この塗装トヨタ202ですが、これトヨタ自慢の耐スリ塗装じゃなかったですかね?
これでどこが耐スリなのでしょうか・・・
此れでは傷を呼び込んでいるだけの塗装としか思えませんが!
普通の202塗装だった頃のほうが傷は入りにくかったと思うのですが・・・
くどいようですが、本当にこれで新車といえるのか?
信じられません!
磨き前膜厚は111μですが、今回は02コースといえどもかなりの研磨厚になることは覚悟が必要でしょう。
樹脂部分もここまで傷だらけです!
いったいこのお車はラインアウトから納車までどのような経過を辿ってここまでになったのかを車に聞いてみたくなってしまいます。
とりあえず1回目の磨き、弊社で言うところの
“粗磨き”
シングルポリッシャーでここまで傷は処理できました。
手前味噌ですが、完璧です!
あの状態からここまで回復すればさすがにお客様も満足いただけると思います。
しかしお客様も、ディーラーマンもこの202という塗装の悪魔性についての認識が甘すぎます!
街で見かける202はパッと見はきれいに見えます。
しかし近づいて光の反射を見ながらよくよく見れば、ほとんどの車は傷だらけです。
それを知らずにただ202はかっこいいからと言って後のことを考えずに買ってしまう・・・
それだけリスクのある塗装だということを説明もなく売ってしまう・・・
買うお客様もこの塗装が自身で管理しきれるのか?
日々傷がついていくストレスに耐えられるのか?
売るディーラーもお客様に202を扱いきれるのか?
クレームになったら自社で対処できるのか?
等々よく考えて売買するべきでしょう!
磨き後膜厚は101μ、研磨圧は5μでしたが、柔かい塗装のため02コースでもいとも簡単にこれだけの研磨ができてしまいます。
塗料に特殊樹脂を配合することで弾性力を持たせ傷を復元する!
確かに理屈では傷が入りにくく感じます。
しかしその弾性力は非常に弱く、
実際にはちょっとした摩擦でさえも防ぐことはできていません。
こんな不確かな耐スリ塗装などするくらいなら、欧州メーカーの耐スリ塗装のように、
“できるだけ固く”
そのほうがよっぽど傷は入りません!
しかしコスト優先のトヨタや日産ではこのようなコストの高い塗装は無理でしょうね!
売ってしまえば傷が入ろうがメーカーには関係ないことですから・・・
“低コスト=高品質”
理想であっても現実的には無理でしょう!
TOYOTA トヨタ プリウス コーティング終了
予約入庫ではなく緊急入庫でしたので、すでに予約は年内ほぼいっぱいの状態でしたから2か月近い時間の中で暇を見つけては施工を続けてきました。
時間がかかってしまった分きちんとしあげなければなりません。
だれが見ても新車以上の新車です!
ここまで完璧な202プリウスはそうはないと思いますよ!
202の塗装は漆をイメージしてできた塗装だそうです。
ですから硬い反射の光沢は似合いません!
漆には柔らかな艶が一番似合います!
今回施工させていただいたコーティングは、
マーベラスフィニッシュ・スノーガードですがまさに202にピッタリの艶を作り出しています。
しかしここからがお客様とお車との葛藤の日々が始まります・・・
逆にここまで傷がない完璧な仕上がりになると、日々の使用や洗車で着いていく傷に悩まされることとなります。
通常の塗装であればガラスコーティングに入る細かな傷はあまり見えることはありませんが、
この202だけはすべてをきちんと見せてくれます。
悪魔の塗装です・・・
202のお車を購入しようか?
とお考えの方はもう一度よく考えてみてください。
日々傷が入っていく愛車に耐えられるか?
日常使用のための車は床の間に飾っておけるわけではないことを・・・
車輛クラス:クラスM
施工コース:マーベラスフィニッシュ・スノーガード ガラスコーティング(オーナー様負担分)+02磨きコース(軽度の磨き・ディーラー様負担分)+塗装ミスト除去
施工料金:134.400円税込(耐スリ塗装割増磨き+30パーセント・濃色車割増磨き+10%・ソリッド塗装割増磨き+10%・スクラッチ程度割増磨き+30パーセント 適応)
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