2012年04月20日公開|BMW
若い女性のお客様です!
友人の知り合いのお子様ですが、お父様からのプレゼントらしいです。
まさか免許取り立てでいきなりBMW?
しかもかなりの車高短・・・
車高調入りのきちんとしたローダウン車です。
この車高では女性にはかなり無理があるような?
しかもガチガチに硬い乗り心地、タイヤとホイルがノーマルでこれですから扁平タイヤにでも換えようものなら私でもかなり乗っていて不快感を感じるでしょう。
エンブレムはすべて外されMスポーツのペダルがついていましたので、まさかMかと思いきや違いました。
スポーツタイプのアルミペダルはいろいろありますが、このBMWのアルミペダルはスポーツ性と高級感を両立しています。
この型でしかも320でiドライブ装着車は非常に少ないようです。
そのおかげでスイッチパネルはここまで簡素化されています!
国産車からすると軽自動車以上のシンプルさですが、このくらいすっきりしていると飽きは来ないですね。
たしかにこれではあまりにもつまらない内装と感じる方もいらっしゃるでしょうが、
BMWのクールな印象にはこれくらいのほうがバランスは良いでしょう。
ご入庫いただく前に一度販売店で拝見させていただいた時は、夜間の露天で蛍光灯の明かりの下で拝見しましたが、その時はそれほど程度は悪くないような気がしてみてきましたが、弊社の磨きブースに入れてみると愕然としてしまいました・・・
スクラッチ傷に覆い尽くされています・・・
しかも手洗い洗車でつけたと思われる深い線傷もかなり随所に散見されます。
リアガラスには前オーナーが施工されたガラスコーティングのステッカーがあるのに?
にも拘らずここまで傷だらけ・・・
洗車してみてもすでにガラスコーティングの跡形は無し!
完全に剥離しているので、この傷はすべて塗装についているようです・・・
膜厚は112μまだありますので、以前の磨きではでたらめなことだけはされていないようですが、いざ表面のスクラッチ傷を軽く研磨してみると、その下にはポリッシャー傷が相当量隠されていました。
おそらく磨きで傷を入れてしまいその傷を磨きとれずに傷隠し樹脂で埋めていたのでしょうね!
このBMWが発売された当時よく磨き屋さんたちからは、
「まったく磨けない、塗装が硬過ぎて通常の使用しているコンパウンドでは歯が立たない。」
などのお話はよく耳にしていましたが、おそらくそのような状態に陥り使うべきではないような粒度のコンパウンドを使い傷を入れてしまい、その傷が処理できずに隠す手法を取ったのでしょうね・・・
このようなことは決して珍しいことではありません・・・
ある意味多くの磨き&コーティング屋さんたちの常用手段となっています。
このような施工がなぜ起きるのかは簡単な理由です。
経験・知識などが全く不足しているにも関わらず安易に開業してしまう店舗が多いためです。
この業界の特徴として、メカニックなどとは違い業界内の横のつながりは非常に少なく、かつ非常に秘密主義な閉鎖的な業界です。
つまりトラブルが発生しても誰かにその対処補法を教えてもらうことすらほとんどできないのです・・・
仮にフランチャイズグループに属していたとしても、その本部の人間すら磨きに対しての経験や知識・技術に関しては所属店舗とそれほど変わりはないために、磨きのトラブルに対しての適切なアドバイスはできません。
これが磨き&コーティング業界の9割がたの現実です!
一度磨き&コーティングを施工されて、それによりインチキ・詐欺だとの印象をもたれて2度と施工をされなくなる方が多くいらっしゃるのはこのような業界体質が原因でしょうね・・・
更にルーフの状態は大きな水染みが進行したイオンデポジットのクレーターに覆われています。
特にひどい部分はルーフ中央の一番平らな部分です。
たしかに平らで水が流れにくいので、水染みができやすい部分ではありますが、ここまで大きな水染みは既存で施工してあったガラスコーティングが撥水のようですので、
コーティングの機能が機能していたならここまでの水染みはできないのでは?
仮に新車時にガラスコーティングを施工してあったとして、このレベルの水染みができてしまうまでには3年以上はかかります。
このお車は7年経過車ですので、逆算すると4年以内でコーティングが無くなっていたこととなります。
貼ってあった施工ステッカーからするとコーティング自体は4年以内で無くなってしまうようなものではありませんが、なぜそれほど耐久性がなかったのか?
想像の範囲ではありますが、おそらく磨きで入ってしまったポリッシャー傷を処理できずに、傷を隠すためにコーティング前の脱脂を行わずにコーティングを施工した。
結果塗装面とコーティング剤の間にコンパウンドの油脂もしくは樹脂が残り其れが紫外線劣化を起し、コーティング膜の密着を阻害して剥離を起こした。
この可能性が非常に高いと思われます。
ガラスコーティングにとって耐久性を維持するために一番重要なのは、
コーティング剤の性能ではなくコーティング施工前の脱脂工程です!
多くのコーティング施工店では脱脂工程の時間短縮と傷隠しのために、
洗車をせずにアルコールでの拭き上げによる脱脂のみでコーティングを施工していますが、これではせっかくのコーティング剤自体の持つ高耐久の性能は発揮されません。
くどいようですが、ガラスコーティングはものより施工方法です!
今回は本来であれば02プラス磨きコースでの施工で対応すべき状態のお車を02磨きコースで対応となりましたので、非常に苦労を強いられました・・・
スポンジバフによる3工程の通常の磨きでは、傷が残りすぎてしまいます。
かといってあまりに粒度の粗いコンパウンドとバフを使用してしまえば仕上がりの艶がいまいちとなってしまいます。
このさじ加減が非常に難しい!
取りあえず隠されていた磨き傷だけは完全に処理することを目標に、深い線傷には目をつぶることとして磨き上げました。
膜厚もそれほど余裕があるともいえないので研磨膜厚も3μにとどめました。
しかしいつもの仕上がりと比べるとやはりいまいち・・・
こういう時が施工者としては一番やりきれない気持ちとなります・・・
できればせっかくお金をかけて磨くのですからそれなりのクオリティーには仕上げたいのですが、残念ながらオーナー様のご予算の問題があります。
02磨きコースと02プラス磨きコースとではかなりの価格差がありますから、確かにしょうがない部分です・・・
そこで磨きのコースの細分化を行うことで、
今よりも低価格で個々のお車のクオリティーに合わした磨きが選択できるように設定変更をいたします。
これを可能にするのは、かねてより依頼していた新たなポリッシャーがもうすぐ完成して導入されます!
これにより個々のクオリティー状態や望まれる仕上がりレベル、さらにはご予算にもひったりの磨きのコースが選択可能となります。
新コースでのご対応は5月末ごろを予定しております。
ご期待を!
BMW ビーエムダブリュー 320i コーティング終了
経年年数からすると街で見かける同型同色車と比較したら圧倒的意匠性を醸し出しています!
傷の量・艶ともにかなりの仕上がりではあります。
しかし施工者としてはやはり満足には程遠い・・・
やれるだけのことはやったのでこれで潔く完成とします。
問題はこれからの管理次第!
若い女性なのでまだまだ車の管理経験は不足しています。
洗車のタイミングや頻度、洗車方法などによりこの状態がどこまで維持できるかが決まってきます。
手間を惜しめばそれだけ程度は悪化します、
かといって頻繁にいじりすぎればそれも程度悪化の原因にもなりかねません。
洗車のポイントは、汚れすぎにならない程度のところで時間をかけて丁寧に洗うことと、
拭き上げをできる限り短時間で行い水染みを作らないようにすることです。
丁寧なGSなどで手洗い洗車オンリーもいいでしょうね!
頑張ってきれいに乗ってあげてください!
車高が低いので、車止めなどや段差にはくれぐれもご注意を!
車輛クラス:クラスM
施行コース:マーベラスフィニッシュ・スノーガード ガラスコーティング+02磨きコース(軽度の磨き)
施工料金:87.150円税込(輸入車割増磨き+10%・濃色車割増磨き+10%・納車引き取り費用5万円以上100km以内 適応)
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