2012年07月11日公開|BMW
昨年03コース磨きで施工したばかりのお車ですが再入庫です!
いつも使われている修理工場で洗車の際、なんと鉄粉の付いた“雑巾”で洗ってしまいボデイ全体が傷だらけになってしまったそうです・・・
そんなことあるの?
と多くの方は思われるでしょうが、似たようなことよくあるのです。
私も数年前ジャガーXJ-Sコンバーチブルをいつも修理をお願いしている輸入車専門工場で、磨き&コーティング施工直後に洗車で傷だらけにされてしまったことがあります。
整備終了後水をかけずに濡れタオルで洗ってしまったのです・・・
意外と修理工場やディーラーマンなどは、
どうすると洗車で傷が入るのかを理解していない方は多いのです。
整備や車検などで入庫する際は、きちんと洗車をしてから持込、洗車をしてもらわずに引取るようにしたほうが無難です。
今回は修理工場の工場保険での賠償修理となります。
東京のお客様ですので引き取りに伺うって現車確認をしてみると、
フロントバンパーとボンネットは飛び石のダメージですごいことになっています。
10月より車両保険の仕組みが変わり、
飛石補修など今まで等級変動がなかったものも等級変動をするようになってしまいますので、今回一緒に再塗装することをお勧めしました。
Sタイヤが装着されています!
この車には不釣り合いなタイヤですが、サーキット走行もされ弊社バトルツーリングにもご参加されている方ですのでこのようなタイヤを履かれています。
しかしタイヤの溶け方が尋常ではありません・・・
御客様から
「試走してみて!」
とのお言葉がありましたので、いつもの試走コースで一本走ってみましたが、
このお車問題点が山積みです。
ピロ足が組んであるのですが、レーシングピロのためすでにボールジョイントは傷だらけのようでガタが出てしまっています。
本来ピロは1走行毎交換もしくはオーバーホールが必要なものですから、普段使いののお車では無理があります。
強化ブッシュに交換したほうが良いでしょうね!
ブレーキ関係もフル交換されローター・ベルハット・キャリパーともに高性能タイプに交換されていますが、これが問題です・・・
たしかに制動力はすごくいいのですが、フル制動時点で異音と振動がかなりします。
考えられるのはローター及びキャリパーの芯が出ていないのか、ベルハットがアルミのため歪みを起こしているかと思われます。
数キロ全開にしただけでホイルも異常加熱して、そのせいかSタイヤも恐ろしく高温となり溶けています。
おそらくアライメントももかなり狂っていると思われ、高速コーナーを加速状態で抜けようとすると恐ろしいアンダーステアが出てきてしまい車輛コントロールができません。
シャーシなどもかなりの補強パーツが組まれていますが、どうもすべてのチューニングがアンバランスになっており却って性能低下をしているような印象を受けました。
パワークリーナーがダブルで装着されています。
これ以外にもインタークーラーやオイルクーラーなどが増設されていますが、最大のチューニングポイントはJB4なるサブコンです!
データー上は400ps以上60kg/m以上のパワーが発揮されているはずなのですが・・・
弊社のお客様で車種は違いますが、ほぼ同じチューニングをされた同一エンジンのお車と比較すると加速力・パワー感共にかなり非力な印象を受けます・・・
基本的にはコンピューターが作り出すパワーなのでほぼ同じになるはずですが、何か違うような?
飛石部分の再塗装も終了し、03磨きコースでの施工開始です。
このように通常のマスキングとは違い、凸凹部やエッジ部分は膜厚を下げ過ぎたり磨き残しが発生したりするので、ペーパーが当たらないようにマスキングで更に保護しておきます。
このような部分の肌感の違いは、次工程のウールバフでぼかし磨きを行うことで解消させます。
使用した塗料がデュポンの耐スリクリアーのため硬いの何の・・・
ペーパーが滑って歯が立ちません。
通常の2倍くらいの時間をかけペーパーを当てました。
いよいよ修理工場で入れてしまった傷の磨き補修です。
しかしここまで傷を入れてしまうとは・・・
しかし作業を進めていってみるとその傷の1/100くらいの傷は10μを優に超える深さの傷があります・・・
此れでは03コースといえどもすべての傷は処理しきれません。
残る方法は磨きとれない傷を、1本ずつ部分傷取り磨きで処理するしかありませんが、1パネルに5本平均で9パネル45か所となり、
1か所5.250円ですから+236.250円という途方もない金額がかかってしまいます。
保険会社に相談したところ、
「その残る傷が修理工場で入れたという証拠はありません、しかしそれを言い始めたらきりがないので、過剰補修ではありますが今回は認めます。」
とのことでしたので、オーナー様にそのことをご連絡すると、
「その方法はダメでしょう!」
「必要以上に膜厚が下がってしまうので、クリアーを吹き直してください。」
とのことで再度保険会社にオーナー様の意向を伝えると、想像した答えが返ってきました。
「部分傷取り磨きを認めたこと自体が過剰修理です。」
「さらにクリアーを吹けとなると常識を逸脱した要求となります、当然認めることはできません!」
「こうなると法廷持ち込みを検討するしかありません。」
「もしくは修理工場に差額分を支払ってもらうこと位しか方法はないでしょう。」
とのことでした。
オーナー様と保険会社で修理工場に交渉を開始すると、
これが双方に対しての返答が180度違う返答をします。
此れでは作業はしました、お金は支払われません・・・
となりかねないため、塗装工場側は作業ストップ!
1週間待っても確実な返答は出てきません。
塗装工場との協議の結果、現状の状態で保険会社に対して車輛の引き取りを要請しました。
オーナー様には申し訳ないのですが、支払の無い可能性の高い仕事をするわけには来ません。
すると、1時間もしないうちに保険会社からTEL、
「修理工場が支払うそうなので勧めて大丈夫です!」
だったら初めから認めてよ!
という訳でクリアー作業も終了し、磨き仕上げ再開です!
やはり硬いデュポンの耐スリクリアーに苦戦しながらも何とか作業は終了しました。
これはお客様からのご依頼で、革の汚れを落とすための車内丸洗いクリーニングを施工します。
写真はクリーニング前の状態です。
このような御色のシートですからちょっとした汚れも目立ちます・・・
1年前にも施工したばかりなのにもったいない気もしますが、確かに気にはなりますね!
これ以外にもシートのホールド部分の革がささくれてしまっている部分がありましたので、
その場所はプロダイにてパテ入れ再塗装で補修をいたしました。
引き取り後直接プロダイに持ち込んだため写真はないのが残念です・・・
弊社では革のクリーニングはイタリア製のクリーナーを使用して汚れを落とします。
3種類の強さの異なるクリーナーを使用して革を痛めないようにできる限りのクリーニングを行います。
最近風呂掃除用のすり減るスポンジなどを使用してクリーニングするところもあるようですが、これは非常に危険です!
その場は革は傷んでいないように見えますが、確実に革の寿命は縮めてしまっています・・・
本革はかなりデリケートなものです。
良い革・鞣しほど弱いことをご承知おきください。
ちなみに、
合成革やヌバック・バックスキン・アルカンターラなども専用クリーナーによりクリーニング可能です。
更にはインディゴやインク汚れなども程度問題はありますが、専用クリーナーでクリーニング可能です。
クリーニング作業終了後は、保湿クリームを塗り込み革の状態の再生保護を行い作業終了となります。
クリーニングにより革の油分が抜けてしまうので、この作業は必ず行わなければなりません!
弊社は通常マッドクリームと言って、滑りを抑える肌触りになるクリームを使用していますが、ご要望があればベントレークリームでも施工可能です。
ベントレークリームとは、ベントレー純正の最高級艶出し保湿クリームです!
BMW ビーエムダブリュー Z4 sDrive 3.5i コーティング終了
今回の03磨きコース今までで一番きつかった…
何せデュポンの耐スリクリアー全塗装ですから、硬いのなんの!
国産の補修用耐スリクリアーとは全く違います。
表面はガチガチに硬いのですが、塗装したてのためまだ完全に乾ききっていないので内部まで完全に硬化してはいません。
たしかに今までも補修塗装直後の施工は行っていますが、所詮は数パネル・・・
大変といっても所詮知れています。
しかしこれがボデイ全体となるとここまで労力と時間が必用とは・・・
今回学んだことは、外国性の耐スリクリアーで全塗装した車の場合、少なくとも1か月、できれば3か月くらい完全硬化させた後に磨きを行ったほうが良いですね!
1か月ぶりに東京の街中に納車に伺いましたが、天気は非常によく熱いのなんの!
わずか数分の作業で汗だくです・・・
やっぱり田舎が快適です!
オーナー様は事務仕事が主ですから熱中症の危険は低いでしょうが、くれぐれもお気を付け下さい!
おなかもだいぶ目立ってきましたから、ビールの飲みすぎもご注意を!
車輛クラス:クラスM
施行コース:マーベラスフィニッシュ・チタンコンビネーション ガラスコーティング×光触媒ボデイコーティング+03磨きコース(鏡面磨き)+車内丸洗いクリーニング+プロダイ・シート補修(1脚)
施工料金:50.925円税込(車内丸洗いクリーニング+プロダイ・シート補修代 コーティング&磨き=保険対応のため非公開)
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