2012年10月21日公開|日産
スカイラインです、懐かしい車です!
と言っても、このお車は現行タイプですが、スカイライン自体に懐かしさを感じます。
というのは、私自身が一番最初に購入した車がスカイラインGC110セダンでした。
ちょうどこんな感じのソリッドホワイトの外見GTR仕様車高短で、先輩2名を経て私の元にやってきました。
当時はまだここ等辺ではチューニングカーは珍しい時代でしたが、ウェーバー・タコ足・デュアル・ロールゲージ・CDIとかなり手の入った車でした。
当時の仲間の中では、ダントツの速さを誇っていましたが、今乗ればきっとカメのように感じるんでしょうね・・・
しかしカッコ良かった!
しかしスカイラインも代を重ねるに従い、だいぶ車輛のイメージは変わり、
この当時のイメージがつながるのはR31までですかね。
R32からはGT-Rは復活しましたが、私の中ではすでにスカイラインではなくなっていました。
当時からスカイラインは高級車ではありましたが、今回ご入庫いただいたお車を見ると、
「ホント高級車だわ、まさにGTカーだな!」
変な納得がありました。
当然ですが、当時の多連メーターの面影は全くありません。
そんな時代ではありませんからね・・・
視認性は良いメーターですが、今時過ぎてわくわく感は全く感じられません。
面白いのは、チルトステアリングとメーターが一体となっておりシェル全体が動くのは驚きでした。
これは、身長などに関係なく一定の角度が確保されますから、メーター視認性は非常にいいですね!
国産車としては珍しく操作スイッチもコンパクトに集約されています。
此の様な配置の仕方ですと使いやすそうですし、飽きも来なそうです。
またシルバーのパネルも一見アルミに見えますが、実はプラスチック・・・
しかし表面加工の仕方が工夫されているために、安っぽくは見えませんし、質感も悪くありません。
国産車でこの車格、決してスポーツカーというカテゴリーには入らない車ですが、6速MTが設定されています。
スカイラインという独特の歴史を持つ車だからでしょうね。
こんなところも、スカイラインファンが根強く残っている部分の一つでしょう!
此のお車のスイッチパネルの特徴は、操作系統ごとに完全に独立したパネル配置にしていることです。
結果非常にコンパクトになりますし、何よりも判りやすく使いやすい!
ナビゲーションも操作パネルは日本語で表示されていますので、初めて使う方でも迷うことはないでしょう。
日本で作って日本で売っている車ですから本来これが当たり前なのですが・・・
時計がアナログなところもいいですね!
最近の国産車としては珍しく非常に好感が持てる一台です。
ドアの内張りのデザインや素材の配置の仕方もひじょうにすっきりしています。
国産車ではないみたい!
やはり変に飾り立てたり、しないほうが高級感を感じさせます。
欧州車の様なセンスです!
しかしこのシートはとても褒めるべきレベルにはありません。
カタログを見ると本革となっていますが、見た目も肌触りも合成革としか思えない品質です・・・
形状もサイドはサポートする様な形状にはなっていますが、あまりにも全体の幅がありすぎ、旦那様仕様みたいになってしまっています。
いくらGTカーというカテゴリーだとしても、これはあまりにもソファー的すぎ・・・
ただしステッチを白を使っているところは良いですね!
リアシートのスペースは大人が普通に乗れる広さが確保されています。
此れにはちょっと驚きです!
しかし問題が・・・
着座したときの頭の位置が、リアウインドウの下にきてしまっています。
此れでは晴れた日などは、暑いはまぶしいわでとても乗れたものではないでしょう・・・
移住性とデザインの両立、このようなクーペにとっては永遠の課題ではありますが、
ここはやはり欧州車のほうが勝っているようです。
リアシートの乗り込みは、フロントシート○の部分に可倒レバーがありますが、フロントシートのスライドは連携しておらず、レバーのわきに別のスイッチがあります。
これは一つの動作で連携したほうが使いやすいはずなのに、なぜ別々にしているのか?
壊れやすくなるのか?
コストがかかるのか?
国産車としては珍しく、大排気量NAというのは良いですね!
NA3.7Lで333psこれはスペック見ただけでかなり走りは楽しそう。
しかもこのお車は6速MTですから、ワクワクしてきます!
しかし時代の流れで、そのうちダウンサイジング過給付になって行ってしまうのでしょうか?
そしてMTもセミATとなるのでしょうね・・・
時代の流れとはいえ、哀しい・・・
ニッサンオリジナルではありますが、モノブロック4ポッドキャリパーが装備されています。
欧州車に比較して効きが悪い国産車のブレーキですが、これは効きそうです!
ホイルに付着しているブレーキダストも結構粗いダストがありますから、これから想像しても結構な性能はありそうです。
もっとも1.600kgを超える車重と、333psのパワーを持った車ですから、
ここが駄目であったら走る凶器になってしまいますからね!
これはひどい・・・
受けているダメージは相当のものです!
傷、イオンデポジットともに今までご入庫いただいたお車の中でワースト3は確実!
しかし、まだ3年半しかたっていないことを考慮するとワースト1ですね。
スクラッチシールドではなく、スーパーファインハードコートという特殊塗装ですが、このありさま。
しかも5イヤーコートまで施工されているのに?
傷に関してはお客様は、
「スクラッチシールドならここまで傷は入らなかっただろうに!」
とおっしゃっていましたが、このレベルの傷となると、塗装の耐擦り傷性能云々は関係ないでしょう。
御客様には失礼ですが、洗車の仕方が荒過ぎ!
イオンデポジットも、ボデイ色を考えた場合撥水である、
5イヤーコートを施工したことがかえってこのような状況を招いています・・・
露天駐車・濃色の場合、撥水コーティングは“百害あって一利なし”のいい見本です!
しかも、イオンデポジットのここまでひどくなっている原因は水染みだけではなく、
どうも樹液・虫ふんなどが拍車をかけているようです・・・
というのは、フロントガラス・リアガラス共に黄色い5mm位の付着物が無数に点在しています。
完全に乾燥して固着してしまっているので、樹液なのか虫ふんなのかは判断が付きませんが、どちらにしても強酸を滲み出すものであることは同じです。
固着状態を見ても、普段の管理はかなり放置状態が長い?
ようです。
此れではどんなコーティングを施工したとしても塗装を守ることはできないでしょう・・・
御客様としては此のお車には愛着がおありで、まだまだ長く乗りたい!
そのことからリセットを決断されたようですが・・・
膜厚確認をしてみると、厚いところで114μ、これは一般的膜厚ですが、
薄いところでは89.3μしかありません・・・
これ新車時の膜厚としてはあり得ない膜厚です。
同じパネル内で25μの誤差!
しかも薄い部分は90μ以下・・・
過去日産車でこのような膜厚はみたことがありません。
お客様の磨きのご希望は03コースでこのようになってしまっているイオンデポジットをなくしたかったようですが、ダメージレベルからいって10μは研磨の必要があります。
となると、89.3μの部分は80μ以下になってしまいます・・・
此れでは短期的には良いでしょうが、長期的には塗装寿命を縮めてしまう結果になります。
相談の結果、ダメージ回復よりも膜厚優先で、02プラス磨きコースの傷取り磨きになりました。
7~8μの研磨厚を目標に研磨を行います。
当然この研磨厚ではイオンデポジットのクレーターはかなり残ることとなるでしょうが、ロングウールバフによるファーストカットを行うことで、クレーターのエッジ部分がかなり丸くなることで、残ってしまっても強い光が当たらなければ大分目立たないようにはなるでしょう。
傷に関しては、極端に深いものを除いて磨き前と比べれば1/10.000くらいまでは減ったでしょう!
別物のお車のようです。
しかしイオンデポジットは、完全除去できたのは1/2~2/3位にとどまりました・・・
磨き後膜厚が107μですから7μの研磨をしてもまだこれだけ残っている。
深さを測ることはできませんが、見た感じですとあと10μ位は食い込みを起こしているようです。
このレベルとなると磨きで処理するためには初期膜厚が150μ以上ないと無理です!
しかしこのお車の場合はこの膜厚・・・
完全な状態に戻すには再塗装しか方法はありません。
ずさんな管理のつけが表れてしまいました!
やはりマフラーエンドもだいぶ汚れて錆も発生してきてしまっています・・・
神経質な方でも、意外とマフラーエンドは手入れされていない場合が多いですね!
マフラーエンドがきれいになると、リアビューの印象はかなりシャープになりますので、
時々は磨いてあげることが必要です。
メッキ用コンパウンドが良いですが、ボデイ用でも微粒子なら大丈夫ですよ!
NISSAN ニッサン スカイライン クーペ 370GT タイプS コーティング終了
入庫された時の状態からすると、考えられないくらいきれいになりました!
丁度完成してお引き取り待ちになっているときに、群馬県よりお持込のお客様がカップルでいらっしゃいましたが、このお車をご覧になって、
「完成車ですよね?」
「新車ですか?」
とお尋ねになられ、
「いえいえ3年半の使用過程車で、ご入庫時点では傷だらけでした・・・」
とお伝えすると、
「すごいきれい!」
「傷が何にもない、こんなにきれいになるんですね!」
といたく感激していただきました。
其の後も、コーティング剤選びもこちらのお車の艶感がいたくお気に召していただき、同じコーティング剤をお選びいただきました。
いよいよオーナー様が引き取りにいらっしゃり、お車をご確認いただくと、
「期待していた以上の仕上がりです!」
「すごくきれいです!」
と満面の笑みを浮かべられていました。
このような時は、この仕事をしていて本当によかったなと思える瞬間です。
しかし辛いこともお伝えしなければなりません・・・
こちらのお車は展示車として使用されていたものをご購入されたそうですが、販売の際おそらく展示していた際に付いた傷を取るために磨きをしたのだと思いますが、
その際コンパウンドの焼き付きを起こしたらしくミミズ状のブリスターが相当数付いてしまっています。
これは何かの原因で、コンパウンドが絡みそれを除去せずに磨き続けたことでことで、その部分だけが異常高温となりサフェーサーとベースカラーの間に気泡が入り塗装を浮かしてしまっていました。
このようなことは、技術的な問題と塗装とコンパウンドのマッチングが悪いことから起きるトラブルです。
この時点までお客様が気づかなかったのは、塗装の肌が整えられておらず光りの乱反射により目立たなかったのだと思います。
しかし鏡面に磨き上げられたことで、光は正反射するようになったためこのようなトラブルが見えるようになってしまったのです。
しかしこのような症状は、磨きで修繕することはできませんので、直すためには再塗装しかありません。
これは残念ながらあきらめるしかありません・・・
しかしご入庫前とは大違い、全身フル整形レベルの美貌を取り戻しましたから、今度は傷を入れたりイオンデポジットができないようにきちんと管理してくださいね!
春のツーリングにもご参加いただけるとのことで、またお会いできる時を楽しみにしています。
PS:ツーリング情報は随時ホームページで更新していきますのでご確認ください。
車輛クラス:クラスS
施行コース:マーベラスフィニッシュ・プレミアム ガラスコーティング+02プラス磨きコース(傷取り磨き)
施工料金:148.837円税込(お持込お引き取り割引-10%・特殊塗装割増磨き+30%・濃色車割増磨き+10%・ソリッド塗装割増磨き+10% 適応)
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