2012年10月27日公開|ロータス
栃木県よりわざわざお持込いただいたロータスヨーロッパSPです!
お兄様が常連のお客様で弊社ツーリングにもご参加いただいていますが、今回は弟様をご紹介いただきご入庫いただきました。
栃木からの自走は疲れるからとのことで、なんと自前の大型セルフで陸送されてきました。
此のお車は今年の春先に、群馬県のケントスピードさんからのご購入ですが、前オーナーがフルレストア済みの車両とあって特に内装などは全く新車の様なコンディションです。
更にはエンジンミッションも今まで多くのヨーロッパSPを見てきましたが、これだけ吹け上がりも良く安定したエンジンは初めてです。
特にミッションはリンゲージもしっかりしていて、ヨーロッパの多くの場合あるシフトのストレスも全く感じさせません。
私が今まで見てきたヨーロッパの中ではベスト1ですね!
オーナー様は此のお車のご購入に際してこだわりがあられました。
それはボディ色。
白でなければいけなかったのです。
なぜ?
私と同年代の方は思い出せるはず・・・
サーキットの狼の風吹裕矢のロータスヨーロッパが白だったでしょうー
そう、長年の夢・・・
子供のころからのあこがれの車を探し、ついに手に入れたのです!
多くの皆さんから見れば、40年も前のクラッシックカー、いくら程度が良いといってもまともに走るのか?
などと思われるでしょうが、この当時のロータス、
特にヨーロッパとエランに関しては現代のスポーツカーですらかなわないくらいの性能を維持しています。
さすがにエンジンパワーの問題はありますので、富士スピードウェイの様な高速サーキットは別として、ショートサーキットや筑波の様なテクニカルコースであれば、
現在生産中のエリーゼとほとんど変わらないタイムで走ることが可能です。
つまり、峠道ワインディングなどで無敵を誇る、
エリーゼやエキシージと変わらぬスピードで走り回ることが可能なのです!
「ロータスとはいっても所詮は旧車・・・」
などとなめてかかれば、あっという間にぶっちぎられますよ!
しかしすごいのは、40年前にこれだけの運動性能を持った車を作れたロータスの技術力です。
当然今の車の様なハイテク装備など一切ない中で、軽さを最大の武器としてこれだけの性能を引き出してしまうのですから驚きです。
F1というと立役者はフェラーリとお思いの方が多いでしょうが、
実はハイテク化する前のF1の技術進化は多くの場合ロータスが牽引してきたといっても過言ではないのです。
ただしその進化は、カミソリの刃を渡る様な危険な冒険でもありましたから、
多くのF1ドライバーの命を奪いながらの進化であったことも事実です。
実際、
「ロータスF1は走る棺桶、安全性を捨てて速さだけを求めている・・・」
といって、ロータスF1に乗ることを拒絶したドライバーも多くいます。
しかしこのような危険を顧みない開発から得たノウハウの代償として、
現代のロータスは非常に安全な車となっています。
バスダブアルミフレームにより、コックヒットはシェルの様な構造になっており、サブフレームやオールFRPボディは衝突の際の衝撃を吸収してくれます。
ロータス乗りである私の知り合いの中には、車がばらばらに砕け散る様な大事故を起こした方が数人いらっしゃいますが、致命的大怪我になった方はいらっしゃいません!
ただし、車体はちょっとした事故でも数百万の修理代は覚悟しなければなりませんが・・・
ちなみに私のエキシージ、今回飛石事故でフロントカウル・ルーフ・ウインドウ・リアウイングの修理で修理代170万だそうです・・・
車両保険は欠かせません!
サーキットの狼を読まれたことのある方は思い出してみてください。
よくスタビライザーが壊れてまともに走れなくなるシーンがたびたびあったことを・・・
この白丸の部分なのですよ問題は!
車体パーツの中で一番低い位置にあります。
10cm有るか無いかでしょう。
此処をぶつけてスタビライザーを壊してしまうのです・・・
ロータスにとって大変重要なパーツなのです!
私のエキシージは調整式のスタビライザーが装備されていますが、これを硬くするか柔らかくするかでまったくコーナリング特性は変わってしまいます。
ライトウエイトなだけに、
コーナリング性能におけるスタビライザーの担う役目は大きくその影響も絶大なのです!
1.6Lのフォード製エンジンをベースにDOHCヘッドをロータスが製作し、ビックバルブ化しヨーロッパ史上最高の最高出力の126PSを引き出しています。
こちらのお車はフルオリジナルのため、デロルトのキャブレターが装備されています。
更にはオプション設定であったゴルディーニ製の5Fミッションまで組み込まれたお車です。
チョークを使用して始動して、多少の暖気運転をしてしまえばよほど下手な人でない限りかぶる様な事もなく、一気にレッドゾーンまで吹き上がります。
とても40年前のエンジンとは思えません!
エクゾーストマニーホールドは純正のままですが、それでも非常に気持ちのいい排気音を聞かせてくれます。
たこ足入れたらどうなるのかな?
と、人の車でありながら興味津々!
ボデイサイドにあるエンブレムですが、F1のワールドチャンピオンを勝ち取った年度が記載されています。
此のお車の場合1973年が大文字となっていますので、ワールドチャンピオンを取った年に生産されたということなのかな?
1973年というとポルシェも73カレラRSなど名車がありますが、熱い年だったのですね!
燃料の給油口が二つあります?
この時代結構このような作り多いのです。
ミニとかダイムラーとか、理由はそれぞれなのでしょうが、ロータスの場合はスペースと重量バランスが理由でしょうね。
何せ600kgちょっとしかない車ですから、それだけでもかなり走行バランスに影響はあるでしょうね!
ロータスヨーロッパというとスポーツカーとお思いの方多いでしょうが、間違ってはいませんがロータス的には実はGTカーなのですよ・・・
この時代しかもこのような車なのに、ウッドパネルも付しかもパワーウインドウまで装備されています!
今のエリーゼやエキシージと違い、フロアカーペットも全面敷きこまれ防音対策まで取られています。
それでいて600kgはすごい!
こちらのお車はフルレストア車ですが、ステアリングはモトリタが装着されていますが、これはオリジナルでなくても似合っていますからOK!
それ以外の部分はかなり忠実にオリジナルを再現しています。
ほぼ新車レベルと言えるでしょう。
此れだけきれいに仕上がったロータスヨーロッパは初めて見ました。
製作されたケントスピードさんのこだわりを感じる一台です!
先にGTカーと言っていましたが、GTカーである以上カーゴスペースは必需品ですが、これだけの容量が確保されています。
恐らく合計すれば100L以上はあるのでは?
しかしさすがにこの時代のFRPボデイの車(現在もあまり変わりはないですが)ですから、密封精度は期待できません・・・
洗車や雨天走行ではトランク内は水の侵入を受けてしまいます。
荷物はビニール袋に入れてなどの措置が必要です!
もっともロータス乗りは雨天は乗らないし、洗車もしないのでさほど問題は無いか!
遠目には非常にきれいに見えた塗装も近くで見るとこの通り、線傷で覆われてしまっています・・・
目立たないのは白ということと、ソリッド塗装、さらに柚子肌を抑えた塗装がされているために通常の状態では傷はあまり気にはなりません。
ただし、これだけ傷があれば塗装本来の色は光りの屈折によりだいぶ違ってきているはずです。
簡単に言えばくすんでしまっている・・・
この手のFRPボデイの車を磨く際の怖さ・・・
膜厚計が使えないため初期膜厚も研磨膜厚も勘に頼るしかありません。
この手の磨きはロータスなどFRPボデイの磨きになれていなければ非常に危険ですが、私自身がロータス乗り、しかも弊社のお客様はロータス乗りが多いため経験は十分04磨きコースであっても大丈夫!
今回の磨きはFRPの下地処理自体が傷み始めてパテびきも起こし始めているので、究極は求めずあくまで覆われていた傷を取り除くことを目的として02プラススタンダード磨きコースで行います。
当初2週間の予定でお預かりしたのですが、予想よりも塗装は硬くしかも傷が深い・・・
ファーストカットの傷取りウールバフが1日磨いても車体の1/3が良いところ・・・
ロータスという私が最も好きな車、しかも常連さんということもあり、
「納得いくところまで仕上げたい!」
というわがままで、1か月半近くお時間をいただいてしまいました。
いつも遊びにいらっしゃるお客様や、取引業者の方も、
「まだやっているの?」
「また買ったの、ずいぶん丁寧にやってるね!」
など大分冷やかされました。
しかし4工程の磨きを経て、
徐々に仕上がっていく姿は作業を行っていて久々に楽しみながら磨き上げることが出来ました。
本来なら磨き終了部分写真を撮るところなのですが、お客様が予定より30分早く到着してしまったためにとり忘れてしまいました。
残念・・・
LOTUS ロータス ヨーロッパSP コーティング終了
イヤー、新車とみ違うばかりの仕上がりです!
旧車でもこれだけきれいで、なおかつ機関も快調だと欲しくなってしまいますね!
お預かりの期間中何度かお電話をいただき、その都度進行具合と仕上がり程度をご報告してはいましたが、現車をご覧になってのご感想は、
「すごくきれいになったとはきてはいたけれど、ここまで変わるとは!」
「色も磨く前はクリームっぽい白だったのに、白の色がよりシャープになりすっきりした白になったね。」
とのご感想でした。
これは磨き前の状態は、
傷により光が乱反射していたため曇りが生じクリームがかった白に見えていたのですが、鏡面が作られ傷による反射がなくなることで、本来の色が再現されてきたのです。
此れでより風吹裕矢に近づきました!
あとは星のマーク入れるだけ?
来週には地元で開催されるクラッシックカーイベントにエントリーされているそうなので、そこでの注目の的となるのは必至!
ダントツきれいさでは目立ちまくりでしょうね。
お近くの方は是非ご覧になってみてください。
イベント楽しんでください!
Zのご入庫もお待ちいたしております。
春ツーリングも是非ご参加を(というかすでに参加車輛に登録していたりして・・・)!
車輛クラス:クラスSS
施行コース:エクセレントフィニッシュ・ライト ガラスコーティング+02プラススタンダード磨きコース
施工料金:100.800円税込(ご紹介割引-10%・代車未使用割引-10%・
輸入車割増磨き+10%・ソリッド塗装割増磨き+10%・車体形状割増磨き+20%・素材割増FRP磨き+20% 適応)
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