2013年08月11日公開|BMW
こちらのお車実は施工前に大変なことが起きてしまいました。
ご予約に弊社に訪れる道中に,わき見運転のトラックとあわや正面衝突・・・
すんでのところで正面衝突は回避されましたが、後部側面は犠牲となりました。
走行可能程度の事故で済んだのは、オーナー様の運転技術の高さと、
反射神経の高さでしょう!
あとでお聞きしたことですが、幼少時代は競技スキーを長らくやられ、現在は自転車(ロード・マウンテン)などを鍛錬されていらっしゃるとのことでしたので、
運動神経・動態視力などが訓練されているおかげだったと思います。
事故前になぜ弊社にお越しになろうとされたか?
DIYでスポットリムーバー(水染み取り)を市販品(通販)をお求めになられ作業をされたそうです。
しかし、その結果は悲惨・・・
ボンネットは傷だらけになり、さらに真っ白になってしまっています。
見た感じでも明らかにクリアーは酸により溶かされています・・・
艶が戻るか試し磨きをしてみると、艶は戻りますが、何か変?
念のため膜厚計で測ってみると驚きの膜厚、50μくらいしかありません・・・
ほかのオリジナル塗装のパネルは120μ以上ありますから、
70μくらい塗装が溶けていることとなります。
これでは磨きは無理・・・
ということで、事故の板金修理と合わせてボンネットの再塗装も行うこととなりました。
しかし、お客様はしきりにおっしゃいます、
「買ったリムーバーには、塗装への影響はありませんと書いてありますよ!」
これ大きな勘違い・・・
このようなスポットリムーバーは、確実に水染みが除去できるような強い商品は、
強酸か強アルカリです。
取扱説明書通りに施工しなければ確実に塗装は傷みます!
事実、ワイパーアームトレイやフロントガラス、さらにはヘッドライトカバーのクリアーやフロントバンパーまで変色を起こしています・・・
このような商品は本来市販するべきものではありませんが、使用方法の注意書きもきちんとしたリスク説明が不足しているのも事実です。
弊社の使用しているスポットリムーバーは、
プロショップでありながらも使用・管理承諾書が必要となり、
当然エンドユーザーへの転売は禁止されています。
つまり、相当危険なケミカルということです!
十分気を付けて施工してください。
ではなく、このような作業はDIYでは施工しないでください!
BMW伝統の直6NAエンジンです。
231ps・30.6kg・mというスペックですが、多少の非力感はありますが,
フィーリングはとても良いセッティングだと思います。
エンジン形式は違いますが、直6にターボを装着した135iなどもありますが、確かに速いかもしれませんがBMWとしても本来のフィーリングとしてはバランスが取れていないと感じます・・・
これは私の主観の部分もありますが、
本来BMWのシャーシ剛性はベンツやアウディに比べ低く、
あえて低い剛性に依る粘りのあるシャーシ特性にしているはずですが、
ここにただハイパワーエンジンを搭載してもバランスは悪くなるだけ。
実際M3やM5などの限界コントロール性は欧州での評価は非常に低く、
パワーだけが先走った直線番長的評価が強いようです。
BMWはあくまでスポーティセダンの延長であり、スポーツカーではありませんから、
ハイパワー化は改悪と私は感じています。
だから、BMWを楽しむにはこのような伝統的手法のお車が一番楽しいのでは?
アルカンターラとファブリックによるセミバケットコンビシートですが、スポーツ志向の強いタイプのお車はこのようなタイプのシートのほうが実用的ですね!
最近は猫も杓子もレザーシート、
中には合皮にしてまで高級感?
を、出そうとしている車ばかりですが、スポーツ走行時にはこの手のシート向いていないと思うのですが?
シート形状とは別に素材が滑り安いのではだめでしょう・・・
カーボン調フィルム?
の、内装材が随所に使われていますが、おそらくMスポーツの特別内装なのでしょうが、大分使い込まれて傷みが目立ち始めると、逆にやつれ感が目立ちます。
新車時は結構素敵だったのでしょうが・・・
いまどきのカーボン調と比べると淡色部分が目立ちすぎ、かつ素材表面が平らすぎることがフェイク感を強調してしまっています。
私は好きではない内装ですねー
すでに走行距離14万キロ超!
BMWとしてはかなり限界に近い走行距離でしょう。
このたび車検も取られたそうですが、50万円ほどかかってしまったそうです。
恐ろしいー
BMWはベンツとは異なり、
シャーシ剛性・エンジン耐久性ともさほど高い設定はなされていないそうです。
オーナー様の目標は20万キロあと5年だそうですが、あと2回の車検と6万キロ弱走ることになりますが、これを達成するにはまたかなりの出費は覚悟しなければなりません。
確かにここまでお金をかけて乗り続けることは、財布的にはエコにはなりませんが、あえてまだ使用可能なものを買い替え新車(エコカー)に替えることもエコではないと思います。
欧州では、旧車は税金免除とか?
日本では逆に高くされてしまう・・・
物を大切にすることより、産業振興優先!
資源もない国がこれでいいのですかねー
年式的にもヘッドライトカバーのクリアーは傷みが目立つころではありますが、ボンネットのスポットリムーバー作業の失敗によりよりヘッドライトカバークリアーの劣化を進行させてしまいました・・・
ということで、今回はヘビーポリッシュによるライトカバーの磨きを行います。
ヘビーポリッシュではヘッドライトカバーのクリアーは全剥離いたします!
今回は、#800→#3.000→スポンジバフ3段階の磨きで仕上げていきます。
お店によっては溶剤でクリアーを溶かす方法をとっているところが多いようですが、このやり方確実にヘッドライトカバー本体のポリカーボネイトを劣化させます・・・
しばらくすればさらにひどい曇りを起こします。
弊社のようにクリアーを磨きで剥離する場合は素材自体の劣化を促進はさせませんが、保護膜であるクリアーがなくなっているため、紫外線劣化や傷つきを防ぐものがなくなりますので、何らかの処置をとる必要はあります。
今回は磨き後の処置として、
エクセペル・ペイントプロテクションフィルム・アルティメットを施工いたしました。
オーナー様のご予定する使用期間はあと5年。
エクセペルフィルムの保証期間も5年。
ぴったりです!
新コースでは02ライトポリッシュより標準施工となるマフラーエンド磨きですが、ここまで放置されてしまうとかなり手ごわい・・・
マフラーエンドは排気ガスの含まれる成分の影響で、
ほかのメッキ部分に比べると非常に錆びやすい部分です。
完全にステンレスに錆が入り込んでしまっています・・・
こうなると完全回復は磨きでは無理。
完璧を期すのであれば交換ですね・・・
今回の作業は標準作業内ですので、この状態でリューター等機械が入るところまでしか磨きは行いませんが、
オプションオーダーでのご依頼の場合はマフラーエンド全周を磨きあげます。
ただし脱着工賃等が別途必要となります。
新車登録から9年走行距離14万キロとしては水染み(イオンデポジット)の状態は標準的状態ですが、傷に関してはあり得ないレベルでくまなく入りまくりです・・・
正直、どうすればここまで傷が入るのか?
と、いうレベルです。
砂をまいてタオルで擦ったかのようです。
車内はきれいにクリーニングはされていますが、内装材の傷みはかなりひどい・・・
同じ状態がボデイにも言えます・・・
オーナー様几帳面ではありますが、クリーニングの方法に問題があるようです!
今回の磨きのご依頼コースは02パーフェクト磨きコース(旧システム)、最大研磨厚5μでは傷は取り切るどころか半分くらいは残ってしまうでしょう・・・
しかし、オーナー様は、
「どうせ傷はこれからも自分でつけてしまうし、マウンテンバイク乗るために山の中も行きますから、傷はどうでもいいです。」
「とにかく艶さえ復活してくれれば!」
と、割り切っていられます。
できるだけ傷は追いますが、目的はいかに艶を上げるかの磨きを実行していきます。
当然側面も傷だらけ・・・
さらには鉄粉の食い込んだ跡のピンホールだらけ・・・
傷をできるだけ処理したいので、できるだけハードに磨きたいのですが、そのピンホールにコンパウンドが絡みその処理に時間を要します。
磨いている時間より、確実にコンパウンドの処理のほうが時間消費してしまっている・・・
悲しいかな赤字磨き・・・
そうはいっても、やれるだけのことはやらなければ!
最大研磨5μ磨きました!
が、それより深い傷は当然残っています・・・
多少であれば傷のエッジ処理を行い、かなり傷残りもめだたなくすることもできますが、5μ以上の傷の深さどころか、20μはあると思われる傷がまだ随所に残っているために、とても1本1本の傷のエッジを処理することはできません。
エンドレスになってしまうため、あきらめです・・・
常連のお客様磨き終了のこのお車を見て、
「まさかこれで磨き終わっているの?」
「まだ傷だらけだけどいいの?」
と怪訝なお顔で聞いてきます。
「ご依頼の内容ではこれが限界、これ以上はコースを上げていただかない限り無理!」
「僕はこれではいやですねー」
「君の車ではないし、お金出すのも君ではないのだから、オーナー様の指示だからいいの!」
「それもそうだねー」
と、やっと納得。
BMW ビーエムダブリュー 330ci Mスポーツ コーティング終了
外の気温計は37℃を示す中、オーナー様はロードバイク(自転車)にてお越しになられました!
私だったら、熱中症どころか確実に死んでいますね。
しかし、オーナー様結構ケロッとしたお顔?
全然大丈夫のようです。
訓練とはすごいものですねー
さて、問題のお車をご覧になって、
「予想していたのとは違いますねー」
やば・・・・・
「ここまでになるとは思いもよりませんでした!」
ホッ!
「肌触りもつるっとするのかと思ったらキュッキュするんですねー」
「ヘッドライトもきれいになったし、全然以前とは違って見えます!」
喜んでいただけました。
ただし2週間のお預かり中に再塗装したボンネットに変化が・・・
再塗装後はきれいに仕上がっていたのですが、
時間経過とともに塗装表面に凹凸が発生してきます?
塗装前の傷んだ表面状態が表れてきているような、大きなグランドができてきているような・・・
すぐに塗装工場の責任者に来ていただき見てもらうと、
「どうもオーナー様が使用されたスポットリムーバーが、塗装内部にまで浸透していて、サフェーサーまで塗っているにもかかわらず、それらまでもまた劣化させているようです・・・」
「まさかここまで溶剤が生きているとは!」
「完全にするには、塗装の完全剥離しなければなりません。」
「これは予測不能ですので、剥離費用はオーナー様にご負担いただければ、再塗装代は弊社が見ますがどうしますか?」
とのことでしたので、このことをお伝えすると、
「あと5年乗れればいいので、その間に塗装が剥離や白濁してしまわない限りはこのままでいいですよ。」
「確かに指摘されてみればわかりますが、私にはさほど気になりませんから!」
とのことでした。
こればかりは、私も塗装工場も経験したことがないので予測はつきませんが、とりあえずは様子見ということになりました。
この状態で収まってくれればいいのですが・・・
乗ってこられた自転車をトランクに積み込み颯爽と走り出していきます。
6気筒NAエンジンの気持ちいい排気音を残して!
オーナー様がお望みになられたように、傷残りはあっても艶だけは上げてね!
は、正解でした。
走り去る後ろ姿は、夏の強い西日の中高級な艶を放ちながら走り去っていきます。
カッコイイ!
このたびは車検をはさみながら長期間のお預かりとなり、ご不便をおかけいたしました。
しかし、その代償は価値あるものであったでしょうか?
マウンテンバイクで山に行かれる時は、せっかく磨いてありますから、少しでも傷つけないようにはお気を付けください。
車両クラス:クラスM
施工コース:
コーティングコース=マーベラスフィニッシュ・プレミアム ヴァンキッシュ ガラスコーティング
磨きコース=02パーフェクト磨きコース(旧システム・軽度の究極磨き)
オプション施工1=ヘッドライトカバー磨き(ヘビーポリッシュ)
オプション施工2=エクセペル・ペイントプロテクションフィルム(ヘッドライトカバー×アルティメット)
施工料金:171.328円税込(代車使用なし割引-10%・輸入車割増磨き+10%・濃色車割増磨きランク1+15% 適応)
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