2013年10月01日公開|トヨタ
常連様のお父様のお車!
さる県内では有名な法人の理事長様です。
すでにかなり高齢になられたため、このお車が恐らく最後になるだろう?
とのことで、何台も乗り継いできたセンチュリーですが、
最後に乗りたかった202をご購入されたそうです。
そこで息子さんが、
「最後になるだろう車ですから、きれいに長く乗ってもらいたいので、
コーティングをプレゼントするのです!」
との、親孝行です。
基本デザインは50年間近くも変わらぬ世界でもまれなお車です。
しかも、輸出は全く考慮されておらず、ある意味採算度外視で生産されている、基本的トヨタの儲け主義からは考えられない車です。
もともとは、関東自動車工業というコーチビルダーだった会社が生産を受け持ってきましたが、悲しいかな2012年には完全なトヨタ子会社にされてしまいました・・・
こうなってしまうと、おそらくセンチュリーの歴史の終焉も近いのでしょう。
ニッサンもかつてはプリンス・ロイヤルという御料車も生産し、プレジデントというVIPカーもありましたが、経営合理化の御旗の下生産中止となってしまいました・・・
現在御料車として、センチュリー・ロイヤルが使用されてはいますが、ベースとなるセンチュリー自体が需要が激減してきています。
かつては、政府公用車や国会議員などや、民間高級役員ご用達でしたが、経費節減や時代の変遷によりこれら本来のユーザー層も、レクサスLSやアルファードなどに切り替わってきています。
メルセデスのマイバッハすら生産を中止するご時世ですから、トヨタなら当然決断するでしょうねー
今の時代本物が求められてはいない?
それを端的に示すのが、経費節減と言いながらセンチュリーより価格的には高価なLS600hなど似非VIPカーは売れていますからねー
ベントレーもフライングスーパーなど、
価格に比べると非常に貧素な車が富裕層には大人気!
本物の持つ風合いや品質・素材よりも、パッと見の派手さやフェイクな高級感のほうがうける成金趣味的指向性に代わってきてしまっています・・・
もう本物と言えるのは、パンガーニくらいですかねー
車体にトヨタのロゴマークは一切ありません!
トヨタでないことに価値があり。
ブランドマークは鳳凰!
古くは中国神話が発祥と言われる架空の鳥ですが、宇治平等院鳳凰堂など皇室と深いかかわりもある、日本を代表する宝飾シンボルです。
縁起のいい話ではありませんが、センチュリーは霊柩車にも人気がありますが、この鳳凰のマークが亡くなった故人を黄泉の国に導いてくれるような雰囲気を感じさせてくれます。
国産乗用車としては唯一無二のV12気筒エンジンです!
意外と排気量は少なく5.000ccですが、これはベースエンジンが直6エンジンでそれをつなぎ合わせている構造のためです。
流石にこれだけのために新設計はできませんからねー
しかし、この構造のおかげで、仮に片バンクに故障が起きても、
残りの片バンクで走行が可能となっています。
シューファードリブンカーとしては必要不可欠な機能です!
エンジン始動時も普通のエンジンとは違い、長いクランキングののちなめらかなフィーリングの回転をし始めます。
今はなくなってしまった、
ジャガーの名機と言われるHE V12エンジンのようなシルキーさです!
今のコスト優先・ECO優先のダウンサイジングエンジンしか知らないお子ちゃまたちにはこの価値分らないでしょうねー
後席のセンタートンネルに設置された操作パネルすごい機能満載です!
それらを包み込んでいるローズウッドもカンナ引き薄皮ウッドではなく、ほぼ無垢材と言えます。
元関東自動車工業は、もともとは高級内装を専門に製作していた会社ですので、このような高級家具のような仕上げが可能です!
どうせなら、日本の伝統工芸漆塗りだったら更に感激ものなのですがねー
運転席後方からは、オプションのテーブルが装備されていますが、
これだけで15万円以上の価格です!
食事用というよりは、ワーク用でしょう。
助手席背もたれは、中央部分が後方に倒れ、後部座席の乗員は足をまっすぐに前に伸ばし、かつ乗車シートをリクライニングすればほとんどベット状態となります!
航空機のファーストシート並です。
しかし面白いことに、このようなショーファードリブンカーの代表ロールスロイスにはこのような装備は基本的にはありません・・・
当然スペースは恐ろしく広いのですが、乗車姿勢はほとんど椅子に座っているかのごときです。
これはロールスロイスに乗車するのは主にパーティーなどに出席するためですので、パーティードレスを傷めないため、強制的に姿勢を正せるようにだそうです。
また乗車範囲は50km以内の想定で、
それ以上は自家用ヘリやジェットという庶民には理解不能な考え方に基づいているそうです・・・
オプションのハーフシルクシートカバーが装着されていますが、この価格も10万円弱!
ケミカルシルクというエンブロイダリーレースですが、編み込み方の雰囲気は中国の緞通シルクと似ています。
このシルクは当然本物ですが、エンブロイダリーレースのメリットは家庭での洗濯も可能ということです。
今はほとんど見かけなくなったシルクレースのシートカバーですが、
センチュリーは世界で一番似合う車では?
納車から2か月弱しかたっていないのに、
すでに相当のダメージを受けてしまっています・・・
お聞きしてみると、駐車条件は完全露天・・・
洗車はGSでの手洗い・・・
傷もそこそこありますが、問題は水染みです。
すでにトップ部分は、イオンデポジットクレーターとなってしまっています・・・
注意深く観察していくと、淵やリブにWAXかすが付着していますので、
GSにて手がけWAXが施工されているようですが、
どうもこれがこのイオンデポジットクレーターの大きな原因のようです。
GS等で使用されるWAXは間違いなく石油系WAX・・・
艶や光沢は出ても、塗装にとっては“百害あって一利なし”なのです。
WAXでのメインテナンスを行うには、
ザイモールやスイスワックスのような100%植物油脂WAXでない限りは、
塗装を劣化させているだけの思い込みメインテナンスとなってしまいます。
ちなみにカルナバ配合を謳っているシュワラスターWAXも、ただの石油系WAXでしかありません・・・
このセンチュリーの202は、トヨタ202という塗装色と同一ではありません!
神威・エタナールブラックと呼ばれる特殊塗装です。
通常のトヨタ202はサフェーサーを除き2コートの3ウエット塗装ですが、センチュリーに関しては、5層コートの塗装方法をとり毎回焼き付けを行う従来の塗装方法が行われています。
更には、中研ぎも行われているために、非常に柚子肌も抑えられています!
そのため、174μという非常に厚い膜厚でありながら、
場所による膜厚変化も輸入車(アメ車や低価格車を除く)並みに抑えられています。
同じ202であっても、トヨタはその車両クラスにより塗料自体の成分は変更されており、センチュリーに関しては、レクサスよりもさらに上の最高ランクの塗料が使用されています。
ただし、補修を受ける際は補修用塗料にランク分けは国産塗料メーカーには無い様ですので、こだわられる場合は輸入塗料を使われて補修したほうがより良い補修が可能だそうです。
今回の磨きコースのご依頼は、“旧02パーフェクト磨きコース(新01パーフェクト磨きコース同等)”でしたが、本来は新02パーフェクト磨きコースを施工したほうがより完璧を期すことが可能でしたが、残念ながらご予算オーバー・・・
そのため一部傷残りは目をつぶらざろうえませんでした・・・
しかし、パーフェクトコースですので、
悪魔の塗装と言われる202であっても一切のオーロラの発生はありません!
白丸部分、鳥糞もしくは虫糞による酸化痕跡です・・・
これは通常の磨きではコースのいかんを問わず、処理は不可能です。
100%処理が可能かは断言はできませんが、
部分傷取り磨きの“インジェクション磨き”でしたら処理が可能な場合もございます。
ただし、施工にあたりましては、かなりの条件および制約がございますので、施工をご希望の場合には詳細を現車確認させていただいた上での検討となります。
これはルーフサイドのシェル部分の磨ききれない水染み痕跡です・・・
普通、このような部分は角度があるために水染みは付きにくい部分ですが、
おそらくWAXを施工したがために水染みが発生したと思われます。
塗装に隣接してモールがあるために、通常コースで使用するバフではこのような部分には強いプレスがかけれないため、
完全除去はダメージの深い水染みの場合できません・・・
これを除去するためには、部分傷取り磨きの“スポット磨き”が必要となります!
↑白丸はイオンデポジット痕跡・・・
矢印は洗車によりつけられてしまった深い線傷・・・
↓赤丸もイオンデポジット痕跡ですが、これはウォッシャーノズル付近の物ですが、ウインドウウォッシャーにはアルコールが含まれているため、
そのアルコールが施工してあるWAXを溶かすため、
そこに強いイオンデポジットを作り出してしまいます。
これはポリマー施工車両にも多くみられる現象です・・・
高純度シリカコーティング施工車両は、アルコールによりコーティングは溶解されませんが、アルコールにより付着不純物が溶かされそれが痕跡付着して、水染みを作り出すことはありますが、コーティングが犠牲被膜となるために、
このような塗装に直接害を及ぼすようなイオンデポジットにはなりにくくなります。
TOYOTA トヨタ センチュリー コーティング終了
202神威・エタナールブラック見事に艶を発散しております!
今回磨き段階で判ったこと、おそらくメーカーライン出荷時に行われていること思われますが、塗装の最終仕上げ時に磨きが入っており、
その際最終的にブラックフッ素系かブラックコンパウンドが使用されています。
バフに黒い着色を起こし、バフウォッシャーを使用すると灰色の洗い水が出てきます・・・
完全研磨で傷・オーロラが処理できないための処置でしょうが、
国産メーカーではトヨタの新車だけに見られる症状です!
幾ら良い色だろうと、
生産しているメーカーですら完全仕上げがごまかしなしでできない塗装色・塗装はいかがなものでしょう?
絶対ごまかしなしで磨けない塗装というわけではありませんが、
問題は傷の隠ぺい性が全くない塗装色と、トヨタ耐擦りクリアーの最悪の組み合わせということです。
職人により意見は分かれるかもしれませんが、
私からするとニッサンスクラッチシールドのソリッドブラックのほうが難易度は低いと思います。
ではなぜ弊社ではハードな磨きを行っても、傷の処理とオーラの制御が可能なのか?
これには複合的要因がありますが、使用するポリッシャーの組み合わせと、それに各々合わせるコンパウンドのシステム化が大きな要因です。
ただしこれだけではだめで、一番重要なのはとにかく時間をかけてゆっくり磨き上げることです!
急げば塗装に熱が入り、磨けたと思っても実は熱により傷が隠されているだけで、塗装が低温になると、いわゆる戻り傷というものが出現してきてしまいます。
このような磨き方では何回同じことを繰り返しても、
状況は改善されるどころではなくやればやるほど塗装は壊されていってしまいます・・・
つまり202のようなデリケートな塗装はとにかく時間をかけて磨くしかありません!
そのため、ご新規のお客様の202は基本的にはお引き受けはいたしておりません。
というのも、上記のような理由により、実際施工してみないと費やされる時間消費が読めません。
つまり、ご約束いたした日程で仕上げることができるかが確約できないため、
お引渡し日程が確約できないためです。
このような理由をなかなかご新規のお客様にはご理解いただくことは難しいため、
トラブルを防ぐためにも基本的にはお断りいたしております。
また、施工価格的にも時間消費が多いため施工価格は高額となってしまうため、弊社施工レベルと施工価格のバランスを口頭でご説明いたすことが困難なため、
あいまいな納得の上で施工させていただくことを未然に防ぐためですので、ご了承ください。
今回お選びいただいたコーティングは、“グラスコート・アルティメット”弊社最高ランクのガラスコーティングです!
こちらのお客様はすでに複数台施工いただいておりますが、アルティメットの施工は初となります。
「GSでの人任せの管理のためより高耐久なものを!」
とのご要望と、
「最高の艶を!」
とのご要望により、アルティメットとなりました。
さて、お引き取り時のご感想は、このような高額施工に対していかがでしょうか?
正直、ちょっとビビりながらのご対面・・・
結果は、
「すごいねー」
「何とも言えない艶ですねー」
ご満足いただけたようです!
今まで施工させていただいているお車はすべて、“レジントップコート・コクーン”を施工させていただいております。
その効果をご自身で検証されていらっしゃるため、当然こちらのセンチュリーにも施工してあります!
このような、濃色車である上に露天駐車車両ですので、コクーンは必需品です。
トップコート・コクーンは直接的に意匠性や塗装保護を目的としたものではありませんが、ガラスコーティング初期製膜時のトラブル、水染みの初期付着を防ぐ大切な役割を担ってくれる犠牲被膜となります。
こまめなメインテナンスが実行不可能な場合や、
粗悪な管理状態の場合には大きなアドバンテージとなります!
コクーンは1か月以内でその役割を終了して、自然剥離いたします。
そうすると、露出したアルティメットは無機能コーティング剤ですので、ご希望があれば弊社会員様限定の“機能選択トップコートカメレオン”が施工可能となります!
このほかにも、ザイモールWAXによる更なる艶の追及も可能です。
カメレオンには3種類の機能のご選択が可能となります。
ただし、アンダーコートとの分子結合はいたしませんので、耐久性的には1年を目安としていただくこととなります。
しかし、考え方によって、
1年ごとに違う機能を簡単に低価格でお楽しみいただくことが可能とも言えます!
このたびは、貴重なお車を施工させて頂きましてありがとうございました。
大変貴重な勉強ができました。
お父様にもよろしくお伝えください。
PS:秋のツーリングは残念ながらご参加いただけませんでしたが、次回イベント(初冬のBBQ大会・忘年会・2014年春ツーリングなど)ご都合がおつきになられましたら、ぜひご参加ください。
お待ちいたしております。
会員クラス:準会員(ご紹介者は正会員)登録
車両クラス:クラスX-1
施工コース:
コーティングコース=グラスコート・アルティメット
磨きコース=旧02パーフェクト磨きコース(新01パーフェクト同等)
オプション施工=レジントップコート・コクーン
施工料金:249.043円税込(御紹介割引-10%・代車使用なし割引-10%・ソリッド塗装割増磨き+10%・濃色車割増磨き旧ランク1+15%・旧特殊塗装割増磨き+30% 適応)
メーカー別
月別バックナンバー