2014年10月21日公開|ホンダ
先日塗装ミストの飛散修理で施工させて頂いたアウディと同じ会社様の専務様のお車ですが、6月にお話を頂いてから3か月もお待ちいただきご入庫いただきました!
大変お持たせいたしました。
当初お聞きしていたお話では、専務様のお車さほど状態は酷くないとのことでしたが、入庫直前になり実は専務様のお車のほうが酷いかも?
というお話になり、保険会社と弊社は大わらわ・・・
というのは、社長様のアウディですら完全修理に200万円以上かかっています。
其れより酷いとなると幾らかかるの?
と、なりますから・・・
掛かるものはしょうがない!
と、保険会社も納得なのですが、問題はこのお車の簿価。
つまり車両の残存価格が修理上限となるのですが、何せ10年前のお車ですしかなりの不人気車種・・・
お車を拝見する前から、
修理を完全に行えば簿価を軽く超えることは火を見るよりも明らかです。
実際にお車をお持込み頂き現車確認をしてみると、ボンネット・フロントバンパー・右ヘッドライトカバー・左フロントフェインダー・左フロントドア・左リアドアのクリアーが溶けてしまっており、再塗装or交換の必要あり・・・
外装パーツのメッキ部品等にも飛散付着が見られます、つまり交換の必要あり・・・
これをすべて行ってしまうとこの段階で簿価越えです。
つまり、弊社が行う作業料金は出てこない・・・
其処に追い打ちをかける様に、専務様の修理内容希望は、
「ヘッドライトカバー片側だけ交換したら変だから、両側とも交換して!」
簿価越えしている所にさらに上積要求は無理・・・
何かを妥協するしかありません!
そこで、優先順位を決めて頂き、妥協できる部分を探します。
結果、
という優先順位になり、外装パーツの交換はすべてやめることとなりました。
これで作業内容が見積もり通りにいけばギリギリですが、
何らかの不具合が生じればアウトですが、こうなったら板金塗装工場と弊社で泣くしかありません・・・
何事も無い様にただ祈るだけ!
嫌な予感がしていましたが、案の定鉄粉の付着は凄いことになっています・・・
1パネルに数千の付着が見られます、ほぼ鉄粉に埋め尽くされていると言ってもいいかも?
ここまで行くと、クリーナーだけでは除去しきれず、かといって残った鉄粉をそのままに磨きを行えば確実のバフに巻き込んで傷を入れまくることになるでしょうねー
案の定、かなりの鉄粉が残っています・・・
やはりここまで鉄粉残りしていると、いきなり磨きとはいけませんので、弊社ではまず行う事のないトラップ粘土を使用して、残っている鉄粉を1つづつトラップ粘土で除去していきます!
この作業標準作業には含まれませんので、
恐れていた追加作業発生=簿価越え=ただ仕事
決定です・・・
しかし、これではことは収まりません。
本来の弊社の今回の磨きの対応理由は、ミスト除去及びそれによる傷の除去が目的となりますから01スタンダード磨きコース、さらに深い傷の入るトラップ粘土による傷を処理するとなると02スタンダード磨きコースに変更しなくてはなりません。
予算オーバーの所にさらにオーバー決定・・・
これも追加作業。
ボデイ下部には前から後ろまでピッチ・タールの付着が・・・
シャンプー洗車の段階である程度除去でき、
付着残りが軽度で磨き作業中のコンパウンド程度で除去できれば問題は無いのですが、この状態は長年放置され続けたことでクリアーを溶かし一体化してしまってきていますので、
磨き取りは無理・・・
こうなると、酸と研磨剤を含んだ専用のクリーナーで除去作業を行わなれればなりません。
このために、さらに30分以上の作業+ですので、当然追加作業・・・
後日お引き取り時にこのことをお聞きしてみると、
「前はクリーナーを使って何とかとろうと努力もしたのですが、だんだん取れにくくなったので、面倒になりここのところ放置していました・・・」
とのこと、そうでしょうねー
然し車もこのように、面倒くさくなり放置が進行すると余計に状態は悪化していきますから、余計に何もする気がしなくなる・・・
という悪循環に陥りますので、車は傷み意匠性は落ちまくり気持ちもなくなっていきます・・・
古女房みたい?
鉄粉付着やピッチ・タールの付着は酷かったですが、その割にはというか10年経過車にしては深い傷は少ないです!
これはお引き取り時に今までの管理方法をお聞きして納得。
ほぼ100%洗車機だそうです!
当然細かな洗車機によるスクラッチはあります・・・
↑の水銀灯の映り込みの写真がそうですが、艶がなく且つボケて見えますが、
これは細かな洗車スクラッチが折り重なっているためにボケを起こしているのでしょう。
ただしこのような傷は、手洗いで深くはいった傷に比べ今回のようなリセットの際には極端にハードな磨きを行わずとも、膜厚消費も抑えた中での処理が可能ですので、
洗車機管理のほうがメリットがある場合もあります!
というのは、このように93.3μしか膜厚が無い様な場合には、深い傷を多く入れてしまい03磨きコースが必要な場合、施工不能だったり再度のリセットはもう無理という事になりますが、この程度の深度の傷で済んでいれば02磨きコースでOKですので、
今回を含め2回は施工可能です!
但し、すでに10年お乗りですから、もう一回リセットしてまでお乗りになることは無いでしょうが?
なるべく傷を増やさないようにトラップ粘土による鉄粉除去は全体にかけるのではなく、
1つ1つの鉄粉に対してスポット的に行いましたが、
あまりにも数が多かったためにかなりの粘土による傷入れが確認できます・・・
はっきりした線傷部分ではなく、番手の高いペーパーをかけたような曇った傷跡となります。
DIY等でトラップ粘土をお使いになられる方も多くいらっしゃるようですが、鉄粉噛み込の深い傷が入らなくとも、このような粘土の摩擦により入る曇り傷は必ず入りますので、施工を行えば確実に艶は減退していきます・・・
更にあまりしつこく行うと、その部分だけ柚子肌感も変化してしまうので、
部分再塗装したかのように見えてしまうかも?
新車時のホンダの塗装は密度が低いため磨きの際にコンパウンドの焼き付きが起こりやすく、
国産車の中では最も磨きにくいメーカーですが、このように何年も経過して塗装が劣化して圧縮されてくると密度が高くなるためと思われますが、コンパウンドの焼き付きはほとんど起こらなく、磨きやすくなります。
おかげでこれだけ面積が広く傷が多いにも拘らず、
意外と時間消費は少なくスムーズに磨き上げることができました!
結果、ルーフの水銀灯の映り込みのボケも改善され、
水銀灯内部の構造さえ分るだけのクリアーの透明性が出てきました!
当然側面のトラップ粘土による曇り状態もすべて除去でき、全体が黄味がかった白に見えていたお車も、本来の青味がかったすっきりした白に改善されました。
今回の磨きは、再塗装パネルは“01スタンダード磨きコース”、
既存パネルは“02スタンダード磨きコース”での施工となりましたが、既存パネル部分では一番最初の磨きとして行う傷取りのためのシングルポリッシャーとスポンジバフによるハードポリッシュで、
柔らかい塗装でありながら磨き傷が入らずほぼ1発で傷取りが可能でした!
これは、塗装劣化によるフレキシビリティーが失われつつあることが逆に磨きやすさにつながったようです。
但し、これはその状況に適した磨き方を選択することでなしえることで、
適材適所の方法を探し出すだけの経験値と知識は必要です!
とはいえ、所詮磨き程度のことにおいて、
職人技などという仰々しい評価にあたるものでは決してありません・・・
素人でも磨きのうまい方がいらっしゃるくらいですから。
然し、鋼師・刀鍛冶などは間違いなく素人ではいないでしょうから、
このような技術にのみ職人という言葉が当てはまるでしょう!
今回、6μの研磨により、既存パネルの残存膜厚は87.3μまで減少しましたので、同じようなリセットを行う必要が出た場合で、あと1回・・・
軽いリセットレベルでも2回が限界でしょう。
マツダや三菱を除く通常膜厚レベルのお車では、弊社では80μが研磨限界と想定しております。
最後の磨きとして、ドアカップなどの手磨きと、マフラーエンドを磨きますが、
意外やドアカップはあまり目立った傷はついていませんでした!
このお車を購入された際にはまだお子さんも小さかったでしょうが、お父様から続く車好きの家系?
なのでしょうか、ドアハンドル操作の際に皆さん気を付けられていたのでしょう。
これはかなり意外でした。
されど、マフラーエンドのステンレスの錆は相当です・・・
ここまで行くと使い古しのリューターフェルトバフでは荷が重いため、新品のバフに交換して磨き上げましたが、あまりの錆に新品のバフもアッというまに消耗してしまい1/3位は消費してしまいました。
通常であれば、これだけのバフ消費は10台はこなせるのですが、高い消耗パーツなだけに結構ショック・・・
とはいえ、ぴかぴかのマフラーエンドにリセットされましたので、それを見ると癒されます!
HONDA ホンダ エリシオン G/FF(DBA-RR1) コーティング終了
このお車も、先月修理させて頂いた社長様のアウディ同様コーティングは、弊社最高ランクの“グラスコート・アルテメット”での施工です!
社長様が取り扱っていらっしゃるクリスタルガラスコーティングから切り替えての施工ですが、販売されている社長様でさえ、
「アルティメットは汚れが付きずらく、極端な汚れ付着がしない!」
とかなりの高評価を頂いていますので、当然このお車も同じ効果が出ることでしょう!
お引き取り時のオーナー様のご感想は、
「これが自分の車とは思えないくらいきれいです!」
「車の色が白くなっている?」
と、かなりの御満足を頂けました。
実は数年前にご友人が弊社で新車施工いただいた際に、その際のビフォー・アフターをご覧になられていて、今回はどれほどの意匠性変化をするのか?
と、期待反面疑心暗鬼の部分もおありだったのかもしれませんが、これで評価は決定したようです!
近々で、奥様のお車の替え替えをご予定されているとのことで、その際の施工の打診を頂けました!
ありがとうございます。
社長・専務様共々ご依頼いただき、また大変長らくお待たせいたしまして申し訳ございませんでした。
奥様のお車も精一杯の施工をさせて頂きます。
またご丁寧に、社長様よりの御心づけまでご心配いただきましてありがとうございます。
よろしくお伝えください。
グラスコート・アルテメットは効果初期段階での管理が、その後の意匠性を左右しやすいですので、ご面倒ですが管理はちょっとこまめにお願いいたします。
車両クラス:クラスX
施工コース:
磨きコース=01スタンダード磨きコース(再塗装パネル下処理用磨き)
=02スタンダード磨きコース(既存パネルのトラップ粘土傷除去のための最低限の磨き)
コーティングコース=グラスコート・アルティメット ガラスコーティング
オプション施工1=鉄粉除去トラップ粘土
オプション施工2=ピッチ・タール除去
オプション施工3=ウインドウガラス付着塗装ミスト除去(ミディアムポリッシュ×フロント基本セット+リア基本セット+リアサイド2枚)
施工料金:保険会社支払の為非公開
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