2014年12月06日公開|アウディ
今年は意外と多くご来店いただいております、弊社地元のご新規のお客様です!
昨年新車でご購入され、ディーラーコーティングでキングシールコートを施行されているそうですが、どうも状態が芳しくないとのことで、弊社での再施工にお越しいただきました。
建前上は、弊社では他店施工車両のご入庫はご新規のお客様はお断り!
となっておりますが、このようにディーラー施工車両や、
弊社で作業内容が把握可能な施工店様や、弊社より施工内容が問合せ可能な場合は、
ご新規のお客様でも他店施工車両はお引き受け可能です。
さて、拝見してみてまず目に付くのは水染み。
ボディ全体にくまなく水染み付着してしまっています・・・
しかも、1年半しか経過していないにもかかわず、コーティングの機能はボデイの1/3位しか残っておりません?
過去にも数台同じディーラーでの販売車両で、同じコーティングしかも同じように黒のお車で、まったく似通った状態のお車の施工経験がありますが、
どうやらこのキングシールコートなるコーティング自体に問題もありそうです・・・
というのは、そもそもこのコーティング撥水でありますから、
当然撥水水滴の残留による水染みができるのは当然のことです。
そのような機能特性を持つコーティングを、
露天駐車車両の黒に施工すること自体がそもそもナンセンスなのですが、このディーラー撥水しかコーティングのラインナップがありませんから、売りたいのは理解できますが、
せめてリスク説明位はする義務はあるのでは?
少し前に、このキングシールコートの営業の方が弊社にいらっしゃったことがありましたので、このような事例があることをお伝えし、このようになる理由をお聞きしたことがありますが、
「施工店の施工方法に実は問題があることは、メーカーとして把握しています・・・」
「再三施工方法の改善を提案し、メーカーが定める脱脂方法を行うように指導しているのですが、改善して頂けません。」
「その為、この施工店はメーカーの正規ディーラーにはなっていないのです。」
とのことでした。
では、その脱脂方法の違いによりなぜこのように水染みが附着するのか?
ですが、メーカーによると、
「現在の脱脂方法は、シリコンオフ等によるドライ状態でのコンパウンドの拭き上げをしているだけですので、
コンパウンドに含まれる不純物(油脂系)は塗装表面に残ってしまっています。」
「その状態でコーティング剤を塗り込めば、不純物に弾かれたり、コーティング剤と混じり合ってしまうことで、きちんと塗装密着もできませんし、分子結合膜にもなっていないと思われます・・・」
「さらに、不純物の油脂が水に含まれるアルキル金属基等を吸着してしまうため、
水染み付着が激しくなっていると思います。」
と此処まで把握されているなら、そもそも販売しなければいいのに!
ですが、結局は後はどうなれコーティング剤さえ売れればいいというのが本音でしょう・・・
確かに、メーカーがおっしゃるように、多くの施工店というかほとんどが行っている脱脂方法、
シリコンオフによるドライ脱脂を弊社では行わないのはこのような問題があるからです。
弊社では、一度スプレー洗車を行い、ボディが濡れた状態で水溶性脱脂剤を塗り込み、その脱脂剤を流水洗車でスポンジで完全に洗い流します。
これにより、コンパウンドの不純物を完全に取り除きます!
この脱脂方法が完璧でありながら、なぜほとんどの施工店で行わないのか?
理由は簡単です。
磨きあがり→シリコンオフ脱脂→コーティング施工開始
脱脂作業にかかる時間は1時間以内!
磨きあがり→洗車・水性脱脂・洗車→拭き上げ→完全乾燥(ブロアー作業)→コーティング施工開始
磨きあがりからコーティング施工までにかかる時間は約3時間・・・
しかも脱脂に掛かる経費(資材費・水道料等)は、シリコンオフ脱脂の10倍はかかるでしょう・・・
つまり、完全なことをするにはどうすべきかはわかっていても、時間とコストが嵩むことを価格転嫁することが出来なければ、利益圧縮更には赤字仕事となってしまいます。
特に今回のようなディーラー依頼の外注仕事の場合は、エンドユーザーが支払っている金額はそれなりの金額でも、
仕切りがある中では施工店の受注価格はかなり厳しくなります・・・
そうなれば、施工店としてはコストダウン作業時間の短縮で対応せざろうありません。
この構図が当てはまらない、ディーラー内製は更に施工内容は問題外ですが、これはまた別の理由がりますので、ここはこの問題には触れません。
はっきり言えば、どのような場合(例外はあるかもしれませんが)においても、ディーラーや販売店以来のコーティングで高度な施工を求めること自体がナンセンス・・・
又、プロショップ(簡易施工店の含め)と言えども、施工内容は施工価格に比例すると仮定すれば、安価な施工料金できちんとした施工を望むこともナンセンス・・・
但し、高額施工だからと言って完璧な施工を行っているか?
というのも、100%ではありませんが・・・
さて、弊社はどうなのでしょうか?
ご覧のように、水染み付着えらいことになっています・・・
弊社の撥水コーティング施工車両では、ここまでの状態になったお車は見たことはありません。
但し、気がついたのは、
このような水染みボディだけではありません。
ウインドウやメッキにも相当激しい水染みが出来てしまっています・・・
という事は?
この状態、コーティングだけのせいではないのでは?
と、いう事です。
つまり管理上のオーナー様責任・・・
露天駐車であることや、洗車時の方法や、洗車で使用している水質等々。
前記したように、このコーティング施工車両で露天駐車・黒のお車で条件一致しているお車とさらに条件一致がありました。
洗車時の拭き上げに相当時間経過してしまい行うことで、水に乾かれてしまったり、場合によっては拭き上げはしない自然乾燥・・・
これでは、コーティング機能・性能云々以前の問題として、
この様になるのは当たり前・・・
と、なってしまいます。
但し、水質に関しては、同様な状態になられてしまったオーナー様方に比べ、こちらのオーナー様のお住まいのエリアは水質的には其処まで問題水質のエリアではありませんので、失礼ながら管理方法が更に劣悪という予測になってしまいます・・・
幸いだったのは、ここまで塗装を埋め尽くすまでの水染み付着でありながら、
イオンデポジットクレータに発達している部分は一部だったことです!
もう半年早くいらして頂いていれば、イオンデポジットクレーターにはならずに済んでいたかもしれません?
更に、今回のご入庫より半年後であったならば、
ほとんどの水染みがイオンデポジットクレーター化してしまっていて、通常の磨きではリセット不能で、05磨きコースが必要になっていたかも?
磨き始めてみて、先日施工のゲレンデバーゲンと同じように、水染みにより隠されていた傷が露出してきます・・・
同じくシングルポリッシャー傷です。
但し、この傷は新車時の艶出し磨きで付いたもので、
決してハードな磨き傷ではありませんので、磨ききれない・・・
と、言う事は無いでしょう!
但し、これ以外に洗車時に付けたものと思われる相当深い傷、
しかも長さも相当長いものも水染みに隠れてしまっていたものが磨きにより露出してきます・・・
これだけハードに水染みに覆われてしまえば、線傷も隠されてしまうでしょうねー
今回の磨きのコースは、総予算15万円といことから、
“02スタンダード磨きコース”ですが、そもそもこのコースの対象となるお車は、程度良好使用過程車となりますから、正直かなりリセットには研磨能力不足は否めません・・・
以前同じような状況に陥っていたカイエンターボは現行04磨きコースでやっとでしたから。
02スタンダード磨きコースの設定研磨厚は6μですが、このお車の状態からして、水染みで2~3μ+既存コーティング0~1μが余計ですから、実質塗装研磨できるのは2~4μとなりますから、01スタンダード磨きコースと研磨厚は変わらなくなってしまうため、
ガッツリ入れられてしまった線傷はまず除去は不可能です・・・
というよりも、これだけ硬く形成されてしまった水染み自体も除去しきれるのかが?
の、レベルです・・・
実際磨き始めてみると、現在弊社で手持ちの高硬度輸入車用塗装の02スタンダードファーストカット用コンパウンド2種類で試してみましたが、水染みはかなり残ります・・・
これではだめと、03スタンダードウールファーストカット用コンパウンドで試してみますが、
水染みは除去できますがガッツリシングルポリッシャー傷が研磨力が強すぎ入ってしまいます。
これでは、残りの磨き段階で弊社が設定している仕上がり段階には到達はできないでしょう・・・
正直困り果て、オーナー様にご連絡いたし、03磨きコースへのコースアップをお願いしようか迷っている所に、今回もGOODタイミングで、以前から開発依頼してありました、メルセデスベンツ及びフェラーリのセラミックナノクリアー用コンパウンドが完成し、初期ロッドが納入されました!
このコンパウンドは、通常の欧州車の高硬度塗装よりさらに固い、
セラミック塗装を研磨しつつポリッシャー傷を入れずに磨き上げるという、今までのコンパウンドからすると相反する作用を同一方向にだけ向けるという、
今までのコンパウンド概念を覆すマジックのようなコンパウンドです。
これを可能にしたのは、コンパウンドのもっともポピュラーな研磨剤である酸化アルミナ自体の素材合成の方法だそうです。
今までの通常の酸化アルミナは、一定のストレスがかかると、
研磨粒子が割れてしまいましたが、
この粒子はフレキシビリティーが高いため研磨終了まで割れてしまうことはないそうです!
それに合わせて、混和剤の摩擦軽減剤を新開発したことにより、
塗装面の摩擦熱発生を抑制することで、上記の割れない研磨粒子との相乗効果で、
03磨きコース用ウールバフで使用するコンパウンド並みの研磨力を持ちながら、02磨きコースのファーストカットで使用するコンパウンドよりもポリッシャー傷が入らずに磨くことが可能になります。
当然、傷を隠すような成分は含まれませんから、その場しのぎのコンパウンドではありません!
更にはこのコンパウンド、磨きあがりでのぬめりの残り方が特殊なため、
専用の拭き上げクロスが必要となり、この拭き上げクロス自体が、
通常の拭き上げクロスの10倍もの価格です・・・
当然コンパウンドも、既存の02ファーストカット用コンパウンドの4倍の価格です・・・
正直、これだけ高価格となってしまうと、現状の磨きコースでの使用にはコストオーバーとなってしまいますので、現在これらを使用する場合の新磨きコースの設定を検討中ですが、
新年1月中には新メニュー発表の予定です!
ただし今回は、モニター施行という事で、通常の02スタンダード磨きコースとして行います。
側面ですら、ここまで水染みに1年半程度で陥ることは通常考えられません・・・
恐らく、コーティングやポリマー・WAX等未施工で、同じ期間一切手を掛けずに露天放置した車両よりも、
数倍のダメージを受けているでしょう。
前記したように、こうなってしまった原因は、
1にオーナー様の洗車管理の間違い・・・
2に新車施工時のコーティング・・・
どちらも、なるべくしてなった人災といえる?
このお車施行中に納品された新コンパウンドのおかげで、ここまできれいに水染みが除去できました!
私より古くから磨きに携わられている、いわゆる重鎮と言われるような方々の多くは、
自身の積み上げられた技術に絶対の自信をお持ちですので、私のように科学の新技術の取入れや、新たな磨きシステムの組み合わせをすることはあまり積極的ではありません。
逆に、私のような未熟者は、技術に絶対的自信が持てないために、
新たな技術の取入れを積極的に行い、開いている技術差を埋めるしか方法がありません・・・
つまり私ごとき磨きは、
技術=2割
磨き器財・資材=8割
と、なります。
技術は使用してもただですが、化学的新技術や新システムには多額の投資が必要なのが、玉に傷・・・
未熟者で一匹オオカミ(猿)の宿命か?
何とか、大方の水染みはトップ部分も除去できました!
然し、パネル中央部分にはすでにイオンデポジットクレーターになってしまっている部分もありましたので、このような部分はクレーターエッジを丸く処理することで、
目立ちにくくはなりましたが、いくら新コンパウンドと言えども、
根本的に研磨膜厚により深い症状の根本解決は不可能です。
これは物理的なものですので、限られた研磨膜厚内での処理は無理・・・
ですので、前記したように、
洗車で入れてしまった線傷もある程度は残ってしまっています・・・
この洗車傷に関しては、お引き取りの際にオーナー様に見て頂きましたが、
まさかご自身の手洗い洗車でここまでの傷入れをしていたことには、
「全く気付いていませんでした・・・」
とのことでしたが、これもこれだけの水染み付着をしてしまっていれば、目立つのは水染みですので、相当なハードな傷入れをしていても気付かないでしょうねー
つまり、お車の状態が悪ければ、さらにダメージを入れていることにすら気づかないという事です。
Audi アウディ A3 1.4T (8PACAX) コーティング終了
お持込み頂いた時と比較すれば、別物の程度に生まれ変わりました!
本来のアウディのファントムブラックパールの色が蘇りました。
施行前の状態と比較すると、現段階での査定金額で30万円は違いは出たのでは?
と、感じますねー
但し、このように細いリブとなっているような部分は、バフの強い研磨力を発揮できる部分を当てることが出来ない為、強い付着や食い込みをし始めているような部分は完全除去はできません・・・
このような細かの部分までの除去を望まれる場合は、03・04などのコースアップではなく、
スポット磨きによる追加施工で対応となります!
然し、スポット磨きは長さもしくは面積単位での追加となりますので、この車のように広範囲に及ぶ場合は、かなりの追加料金となってしまいます・・・
そうならないように、コース範囲内においてできるだけの除去は目指しますが、物理的に限度を超える部分に関しては、ご容赦ください。
今回のコーティングは、新車時施工のコーティング機能の選択の失敗を鑑みて、当然撥水コーティングの選択はいたしません。
予算目いっぱい、多少のオーバーとはなりましたが、選択いただいたのは
“マーベラスフィニッシュ・プレミアム”当然親水性コーティングです!
このコーティングの特徴は、ベースとなるシリカコーティングに添加剤として親水促進剤、主成分酸化チタンを多量に混和させることで、酸化チタンの持つ超親水機能を付加させたものです!
光触媒コーティングも酸化チタンですが、それと大きく違うのは、アモルファスという非結晶状態の為非常に細かな状態ですので光彩現象も起こしませんし、酸化還元力も持たないため、コーティングとしてのデメリットとはなりません。
一寸解説が難しすぎですね。
簡単に言えば、安価に無機物混和剤によりコーティング自体にデメリットを生じさせることなく、親水機能と耐久性能を強化させたコストパフォーマンスに優れたコーティングです!
ただし今回は、予算の関係もあられたのか?
露天駐車車両・黒でありながら、レジントップコートのご依頼は有られませんでしたので、お引き取り後1か月間のコーティング製膜不安定期間の管理は特に注意が必要です!
傷・水染み・エンカル等々・・・
当然、コーティング自体は新車施工時より大幅にリスク改善はできましたが、
問題はオーナー様の日常管理です!
露天駐車に関しては、簡単に改善することは無理なことですので、ここはスルーするとしても、問題は洗車です。
今までは御自身での手洗い洗車ですが、ここに問題があり・・・
まずは洗われている地面の状態ですが、砂利敷きですので、洗車時の水跳ねにごみや砂などがボデイに附着しそれを引きずって、深い傷入れを引き起こしている可能性が高いので、基本的には自宅での洗車は舗装でもしない限りは止めるべきです。
では手洗い洗車にこだわって、洗車場でご自身の手洗い。
これも、ホースでの洗車はできずスプレーのみとなりますので、十分な洗浄はできませんので、水染みを引き起こす原因になるでしょう・・・
どうしても手洗いにこだわるならば、あとはGSによる手洗い依頼となりますが、オーナー様お住まいの町には、
正直まともと思われるレベルで丁寧に手洗い洗車してくれるGSは皆無です・・・
これは弊社の常連様が、町内のGSを転々と試された結果、
2.000万円級の高級車でさえ線傷だらけにされましたからこれもなしでしょう。
そうなると、残る選択肢は洗車機!
だだし、この今回お選びいただきましたコーティングは、
洗車機対応もしくは専用コーティングではありませんので、多少のリスクは伴います・・・
が、洗車機のほうが深い傷が入る可能性は有りませんし、
短時間で終了するために水染みの出来るリスクも軽減されます!
然し、布やスポンジブラシの摩擦で付くヘアースクラッチは濃色車の場合は多少は目立つかもしれませんが、
これもより新しく布やスポンジブラシが傷んだり汚れたりしていないものを選ぶことで、相当軽減できるでしょう。
親しいGSや、追加料金を払うことで、
車を洗う前にまず洗車機自体の下洗いを1回して頂くとか、拭き上げはしてもらわず、
その分ブロアーを複数回してもらい拭き上げ時の傷入れのリスクを回避するなどすれば、
さらにヘアースクラッチも軽減できるでしょう!
今回の施工で、また新車時のような姿に戻ることができましたので、この状態が維持出来るように工夫してみてください。
ウインドウの状態もかなり深刻なレベルに至ってきておりますので、此処も何らかの対象は早めに考えられた方がよろしいでしょう。
あと1年ほど、この状態を放置すれば、ウインドウ自体も水染みに溶かされクレーター化してしまう可能性が高いです。
この度は施工いただきまして、ありがとうございました。
車両クラス:クラスM
施工コース:
コーティングコース=マーベラスフィニッシュ・プレミアム ガラスコーティング
磨きコース=02スタンダード磨きコース(本来程度良好使用過程車向け・ミディアムな傷取り鏡面磨き)
施工料金:151.477円税込(代車使用無し割引-5%・輸入車割増磨き+10%・濃色車割増磨き+20% 適応)
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