2015年03月30日公開|トヨタ
約1年半ほど前に施工いただきましたプレミアム会員様のお父様のお車ですが、今回は相当神経を使われて管理なされ、高齢にも拘らず御自身でも手洗い洗車をなさっておられたほどだそうですが、どうやらそれが逆に仇となってしまわれたような・・・
残念ながら全面くまなく傷だらけです・・・
今までは、このような車格でありながら露天駐車でしたが、この度車庫を新築なされたこともあり、
「せっかくだからリセットしよう!」
という事で、今回の御入庫となりました。
以前の施工では、
弊社トップエンドコーティングのグラスコート・アルティメットを施工いただいておりましたが、本来であれば車庫保管車では10年物耐久性を維持でき、多少の傷であれば、
コーティングを残したままのメインテナンス磨きも3回ほど施工可能なはずなのですが、今回ご入庫の状態では既にそのようなレベルではありませんでした・・・
コーティングの効果はまだ残っているのですが。
問題は傷だけではなく、同じような過酷なダメージはトップ部分の水染みです。
既にイオンデポジットクレーターに進化してしまっていて、コーティングには食い込んでしまっています・・・
これが一般的耐久性レベルのコーティングであれば、
確実に塗装面すらイオンデポジットクレーターに覆われていたことでしょうが、高膜厚・高硬度のおかげで、
ほとんどのイオンデポジットクレーターはコーティング範囲内に収まっていることでしょう!
但し、グラスコート・アルテメットを選択されたことは、
こちらのオーナー様には適さなかったと思われます。
この様な条件ですと、
逆にこのコーティングはデメリット部分の比重が増してしまいます・・・
高級コーティングであるがゆえに、機能補足添加剤が一切入っていない為、
管理にはそれなりのテクニックが必要です。
ご入庫前に一度今回の施工内容を決定していましたが、現車を拝見してみると、
「02磨きコースではちょっと厳しいでしょう・・・」
「傷とイオンデポジットをあらかた処理するには、03磨きコースが必要です!」
となり、
今回の磨きは“03パーフェクト磨きコース”となりました!
10μを研磨目標とする磨きとなりますが、現状180μの膜厚を示しておりますが、この膜厚にはグラスコートアルティメットの残存分が4μくらいはありますから、
現実の塗装研磨厚は6μ程度となるでしょう。
これはボンネットにあった、非常に深い傷が集中している部分ですが、
おそらく鳥糞が完全固着している所を傷を入れてしまうことは気になさらずに、
無理やり擦り取ったのでしょう・・・
殆どの鳥糞には、砂や土 食べた昆虫の硬い殻等が含まれていますので、擦り取ろうとすれば必ずこのようになってしまいます。
ご入庫された際に、
「深いダメージの部分はスポット磨きで処理してください!」
との御指示を頂いておりましたが、この部分には行いません。
というのは、あまりにも傷が深すぎ、スポット磨きを行ってもさほどの改善は望めない・・・
と、施工前において予想できたからです。
この様な傷は、知らない間に入っていたという傷とは違い、
ご自身でリスクを顧みずに付けてしまったものですので、完全に“自業自得”と言えます・・・
避けることはできる行為ですが、
きちんとした処理方法を行う事の面倒くささからの結果ですので、これを教訓としていただきたいですねー
右クォーターのプレスライン上部の傷←とプレスライン直下の傷→ですが、給油口付近ですので恐らく給油時の給油ノズルやホースまたは外したキャップなどで付けてしまったものでしょう。
その為非常にこれも深い傷です・・・
このお車に限らず、深い傷の多い場所です。
GSマンは、このような傷入れをしないように気を付けて作業を行っていると思いがちですが、意外と適当です・・・
ホースが車体に接触していても気にしないところも多いですし、そこはそれなりに神経使っていてもホースと車体の間にタオルをはさんで見たり等、
傷というものに関しての意識レベルは低いと言えます。
大事にしているお車や、高額車両などは、
フルサービスのGSではなくセルフGSに行かれたほうが無難です!
私の知り合いの、スーパーカー系のお車や超高額車両にお乗りの方ほど、
フルサービスのGSは避けています。
事前に注意をしたり、作業を横で監視したりも方法ですが、
これもちょっといやらしいですからねー
左の傷は“スポット磨き”を行なっても一部残ってしまいました・・・
20μ近く研磨をしていますが、
それでも写真で判るようにまだ相当の深さで残ってしまっています。
給油時の物とは断定はできませんが確率的には高いでしょうから、このように磨き処理では完全にできないような傷入れを防ぐためにも、やはりセルフGSのほうが無難でしょう!
但し、ご自身のほうが作業的に不安であられる場合もあるでしょうから、
その場合はきっちり指示監視をするしかありません。
下側の傷は、
傷幅はありますがが逆に傷幅があることで深い傷には至っていませんでしたので、
これはスポット磨きにて完全処理できました!
傷の雰囲気からして、ホースの擦り付けでは?
と、想像されます。
フロントドアにもあります深ーい傷が・・・
一見下地到達してしまっているかに見えますが、スポット磨きを行ってどうか?
爪に引っかかりのあるレベルの深い傷ではありましたが、処理完了!
見た目的には下地到達したようにも見えましたが、傷断面が極端に荒れていたため、光の反射の仕方でそのように見えていただけのようです。
この手の傷も多いです。
「この傷は再塗装しかないか?」
と思ってしまう前に、一度スポット磨きを試してみるのも手ではないでしょうか?
全く状況改善がなされない場合は、料金は頂きませんので!
左フロントドアは、深い傷が多すぎます・・・
しかも長いものは1m近いものまであります。
息子さん曰く、
「自宅の植栽が結構車にはタイトなところにありますから、そこで擦る付けているのでしょう・・・」
とのことでしたが、確かに長いものはそうでしょうが、それだけでは無い様な?
冬季は植栽の葉が落ち、枝がもろに露出していますので、
葉がある時とは違い深い傷が簡単に入ってしまいます・・・
また寒さにより枝自体のフレキシビリティーも低下していますからなおさらです。
其処に着雪して氷になっていたりすれば、さらに最悪ですし・・・
このパネルは、本来であればスポット磨き4~6区画分は行わなければ処理ができないほど、
パネル全体にわたって深い傷が拡散されてしまっておりましたので、一番目立つ深い傷だけを処理するつもりが、結局はそれ以外の付近の傷も気になり、
スポット磨きの範囲が広がって行ってしまいました・・・
とはいえ、1パネルで4~6か所分のスポット磨きの追加料金もご案内しにくいので、
此処は1か所分という事で残りはサービス施工です!
通常はここまでのサービスはいくら常連様とはいえ行わないのですが、
此れにはちょっと事情が・・・
これにつきましては後程。
切りがないほど深い傷・傷・傷・・・
左リアドアもこの通りです。
フロントドアから続く傷もあります・・・
→の傷は、03磨きコースの傷取り用ウールバフを行っても、
しっかり自己主張している立派な傷。
という事で、これもスポット磨き・・・
ここまで1台のお車に対してスポット磨きを行ったのは初めてです・・・
気になり始めてしまうと、ついつい延長線上で施工範囲が広がって行ってしまいます。
これが202でなければ、ここまで必要にスポット磨きで追い続けることはしないのですが、
いかにせよこの塗装は傷が目立ってくれるので、ついつい追い続けることに・・・
結果、ハマリにはまって当初の磨き作業時間を3日もオーバーする羽目に。
←側は傷取り用ウールバフによるファーストポリッシュ施行中。
右側は全くの未施工部分。
明らかに傷や艶が違ってきているのが一目瞭然です!
この段階ではそう見えます。
が・・・
其処を私は見間違っていた・・・
磨き前の傷と艶退けに目を奪われてしまい、
それをいかに処理するかに気が行き過ぎてしまい、このファーストポリッシュでの、
ウールバフダメージをよく検証せずに次の磨き工程に移行してしまったために、この後に行う4段階の磨き行程の3段階目と4段階目になって問題発覚・・・
というのは、今回メーカーよりこのような、
耐擦り塗装専用に開発されたというコンパウンドとバフを使用して磨きを進めてきましたが、これらの物が今までの物とは、
全く違った特性を持つことに途中まで気がつかずに進行してきてしまいました。
結果、仕上げ磨きの工程中に今までに行ってきていた、
磨きによりランダム傷が入りそれがコンパウンド特性で隠されていることにきづく羽目に・・・
急遽これは不味いと工程を戻して磨き直すことといたしましたが、納車日時と以降の他車工程を考えるととても1からのやり直しの時間はないために、
2段階目からのやり直しを試みましたが、
ある程度にはなれども残念ながら完璧には程遠い。
イオンデポジットクレーターは99%は完全除去はできました!
残りの1%は完全に塗装クレーターとなり、
これはすでにペーパーを掛けてすら除去不能なほど食い込みを起こしてしまっていますので、
これはすでに磨きでの処理範囲を超えてしまっています・・・
今回の失敗は此処にも起因しています。
つまり、イオンデポジットクレーターを必要に処理しようとした無理な磨きにも原因があります。
其処で入れている、研磨傷を甘く見ていた・・・
その為、コンパウンドの持つ傷隠ぺい性をよく検証せずに工程を進めたことが、
途中からの引き返し程度では完璧にできないことを引き起こしてしまいました。
↑→の写真には細かな傷がランダムに存在していますが、これがその結果・・・
オーロラ傷等はありませんし、
全体の傷量も艶も施行前と比較すれば格段に改善はされてはいますが、処理できない傷残りではなく、磨き工程での傷入れの磨き残しですので、
磨き屋としては恥ずかしい限りでの仕上がりです。
言訳のしようもございません・・・
TOYOTA トヨタ センチュリー(G Z G 5 0 - A E T G K)
コーティング終了
こうやって写真で見る限り相当にきれいなのですが・・・
晴天状態で自然光点検してみても、
傷残りとよほど光の条件が合わなければその傷は見えないのですが、
見える時には見える、というような仕上がりでは当然完璧とは言えません。
お引き取り時にもお客様にはそのことをお伝えし、
「お引き取り後、もし傷が気になるようでしたら、
後日再入庫を頂き再施工をさせて頂きたい。」
「当然料金は頂きません!」
とは、お伝えいたしましたがお客様は、
「あの状態から果たして改善などできるのだろうか?」
「と、思いつつ依頼していて、ここまで回復しているだけでも予想以上ですので、その必要は有りません!」
と、仰って頂けたのですが・・・
そうは言いましても、オーナー様が入れてしまわれた傷がコース範囲内では磨き取れずに残っているのとは今回は違い、その傷を除去する際にその傷をランダム化してしまっていたり、
ポリッシング自体で傷を入れていますので、
これはお客様にとって許容範囲であるか否かとは別問題として、
私自身が仕事として情けないので、再施工をさせて頂きたい!
これ正直な気持ちです。
以前の施工でのコーティングは、
保管環境や管理条件など様々な意味であまりいい選択とは言えなかったという教訓から、今回は一気に発想を転換して、リスクともなりかねない要因もありますが、
保管環境が完全車庫保管が可能になりましたので、
手洗い洗車もなるべくやめて洗車機洗車をメインとする管理に切り替えるという発想転換を決断されました。
その結果選ばれたコーティングは、
“エクセレントフィニッシュ・プレミアム ヴァンキッシュ”という弊社では今まで避けてきている、202のような濃色車に対しての撥水コーティングです!
前記したように、基本的には202に対しての洗車機洗車は、
細かなヘアースクラッチが目立ってしまう・・・
というリスクも抱えますが、今回の施工前の傷入れ状態を考えれば、幾ら細かな傷が入ると言っても今までの手洗い洗車のような、
コーティングを軽く通り越してしまうようなダメージの深い傷は入りませんので、塗装自体が受けるダメージとしてはこのような発想転換のほうがこのお車には合っているでしょう!
またこのような選択を後押ししたのは、どのような完璧な管理を目指したり、より良いコーティングを選択したとしても、どのみち202の傷を包み隠さず見せてしまう特性上、
長期美観を維持することは日常使用においては困難であるという事を割り切り、
1年ごとの施工リセットにされることを前提とされました。
そうなると余計に、洗車機により傷が多くはいるリスクがあったとしても、
リセット時の傷ダメージはコーティング範囲内には確実に収まっているはずですので、
リセットレベルは軽度で済みます!
今回のように、03磨きコースまでのことは必要なく、01磨きコースで十分対応可能でしょう!
管理状態が良好であれば、このコーティングはベースコートと機能トップコートとのWコートですので、トップコートのみ01スーパーライトで除去してベースコートを残したまま、
トップコートのみ再施工という安価な方法でのリセットも可能な可能性も出てきます。
但し、これには今回のような深い傷入れを洗車でしてしまわないという事が大前提にはなりますが・・・
問題は此処で、今回お車の車内清掃をしている際に気づいたのは、おそらくオーナー様自身が手洗い洗車されている際に使われているのは、
洗車・拭き上げともにどうもタオル・・・
これでは傷は防ぎようがありません。
オーナー様は高齢なため、昔の感覚からすれば確かにタオルというのも理解できます。
実際私の親戚でも、高齢者の方は1.000万円級の高級車にも拘らず、平気でタオルならまだましで、洗車ブラシで当たり前に洗っていることも一人や二人ではありませんからねー
此処で面白いのは、洗車に関しては我々から見ると有りえないほどの無神経さですが、
毛羽たきだけは10~20万円近くするものを使われる拘りです?
確かに安い毛羽たきは、洗車機以上に傷を入れますので、いいものを使うに越したことはありませんが、バランスが微妙に違っているような?
恐らく、気になられる傷に関しての認識が違うのでしょう。
今回、“レジントップコート・コクーンSTD”の御依頼もいただいておりましたが、御依頼いただいている際には気に留めなかったのですが、コーティング施工の際にふと気付きました!
今回のエクセレントフィニッシュ・プレミアム ヴァンキッシュは摩擦を加えることにより、
-電荷を帯びることで撥水力を高めますので、レジントップコート・コクーンSTDを施工する際に拭き上げをすれば、必然的に摩擦を起こしますから、
撥水力が高まりコクーンが弾かれ斑が出来てしまうのでは?
と、言う恐れがあることに・・・
お客様にはこのことをご連絡して、
「斑が発生するようでしたら、施工は止めます・・・」
と、ご了解を頂きいざ施工してみると、これが意外に何事も起きないどころか、
他のコーティングよりも乗りがよく一切拭き上げ斑すら出てきません!
202の場合は特に、ザイモールWAXでの単独施工でさえも斑感の発生はしやすいのに、これは超意外な展開でした。
これよくよく考えてみると、摩擦発生により電荷を帯び撥水力が出現するまでは、このコーティング完全に無機能です。
又、摩擦発生と同時に瞬間的に撥水を起こすわけではありませんから、無機能状態でのコクーンの施工となる訳ですので、確かにコクーンの乗りや仕上げには影響は出ないはずです!
冷静に考えれば、施行中にこのようなことに気づいても良い様なものですが、
磨きの失敗により精神状態が不安定だったのでしょう、
冷静な物理的判断に欠けていました・・・
やはりこの仕事、メンタル的な要因に左右されやすいことを、今回再認識いたしました。
常に平常心の確保が重要!
たび重なる施工の御依頼、ありがとうございます。
にも拘らず、完璧とは言い難い仕上がりになってしまい申し訳ございません。
お伝えいたしましたように、仕上がり感に少しでも違和感を感じられるようでしたら、再施工はいたしますので、ご遠慮なくお申し付けください。
但し、完璧を期したいので、現予約が埋まっている中での押し込み施工だけは避けたいですので、まだ予約が無い空いているタイミングでお受けさせて頂きたいですので、お時間のブランクはご了承ください。
お父様とご相談ください。
会員クラス:プレミアム会員
車両クラス:クラスX
施工コース:
コーティングコース=エクセレントフィニッシュ・プレミアム ヴァンキッシュ ガラスコーティング
磨きコース=03パーフェクト磨きコース(ダメージレベルの高い使用過程車向け・強度のダメージ除去&鏡面超艶出し磨き)
オプション施工1=部分傷取り磨き(スポット磨き×4か所・約8か所分サービス施工)
オプション施工2=レジントップコート・コクーンSTD
施工料金:268.152円税込(プレミアム会員再施工割引-30%・ソリッド塗装割増磨き+10%・濃色車割増磨きランク1+20%・耐擦り塗装割増磨き+20% 適応)
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