2015年10月24日公開|BMW
弊社近くにある某大手会社の本社にお勤めの上級管理職の方ですが、
もうすぐ定年になられることを機会に、
旅行など奥様と老後を楽しまれるためにこのお車を購入されたそうです!
此方の会社の方には相当数ご利用いただいておりますが、
こちらのオーナー様はご新規でのご入庫です。
今回なぜ、このお車になされたのか?
ですが、御聞きするところ非常にお値段が安かった!
という事と、BMWのストレート6が好きだから。
という事だそうですが、
お値段が安いは特に輸入車購入の際の基準としては危険です・・・
ましてやBMWでは。
実際タイヤはひび割れを起こしており、弊社入庫前に交換されていますし、
走行距離はまだ2万キロですので、今後まだ相当乗ることは可能ですが、
8年経過車ですのでブッシュや補機類などの寿命は近いかもしれません・・・
よほど過去の整備記録簿が残っており、予防整備などがなされていればまだ安心ですが、
わりと足車として使われるドイツ車では、
そこまできちんとした管理をされてるお車は意外と少ないです。
比較的安全な輸入車の購入方法は、価格は割高ではありますがディーラー認定車、
もしくは専門店での購入ですが、この際でも格安車両は避けるべきです。
その際、できれば1オーナー車で法人使用車でないものを選びましょう!
一番危険なのは、一般的中古車販売店でオークションで購入してきた車・・・
オークションに流れてくる理由は色々ありますが、下取等で手に入ったものをあえて自社で販売せずに、利益の薄くなるオークションに流すという事は、
自社では売れないもしくは売ることにリスクがあるから・・・
という、最悪のシナリオの可能性も考慮する必要があるでしょう。
実際弊社の常連様方でも、価格優先でオークションを経過してきていると思われる車を購入されて、購入時安いことで浮いた金額の数倍もの修理費用に耐え切れず、
結局は手放しさらに大損・・・
という、パターン珍しくは有りません。
私が輸入車の中古車を購入する際の絶対基準は、
上記しているように1オーナーで修理履歴がハッキリしている物!
それでも、はっきり言って壊れます・・・
新車でさえ国産車では有りえないような壊れ方をするのが輸入車ですし、
その修理費用が高いのも輸入車です。
何らかの理由で輸入車を選択されるのでしょうが、
維持コストが非常にかかることだけは覚悟しておく必要は有ります!
其処に問題点を感じるのであれば、輸入車は選択されないほうが良いでしょう。
現実、私が数年前に新車購入された方から、
直接譲り受けた8万円のレンジローバー!
既に、今までで200万円近い修理費用が掛かっています・・・
然し、これは想定内ですのでさほど気にはなりません!
ランドクルーザーを選択すれば、間違いなくこんなことは起こりえませんが、レンジローバーの良さはランドクルーザーでは味わうことは不可能です。
つまり、これが味を求めることの代償!
これを無駄な出費と取るか?
必要な代償として受け入れられるのか?
の、違いが輸入車を乗り続けられるかの分水嶺のようなものでしょう。
先日、倶楽部メンバーが1961年製MGAのフルレストア済みを購入され、その足で自走で群馬から弊社まで持ってこられましたが、
既にその道中においてクラッチorミッションの不具合が出てきてしまいましが、当のご本人の発言は、
「まあ、こんなものでしょう!」
「これから徐々に様子を見ながら、直していくしかないでしょう。」
と、落ち込む様子は微塵もありませんし、販売された店舗に文句を言うつもりもなし!
極端ではありますが、このくらいの割り切りが輸入車に乗るには必要です。
先日やはり弊社が購入した1963年製のアングリアも、安心の為コンバーションしてあるはずのフェーエル電動ポンプが死亡して自走不能・・・
これを想定内とは言いませんが、こんなもんでしょう。
別段腹も立ちませんし、後悔もしていません!
割り切りですよ、割り切り・・・
恐らく販売前に素人磨きをしたのでしょう、痕跡がトップ部分にははっきり残っていますが、鉄粉クリナーをかけると、
溶け出した鉄粉がしたたり落ちてきます・・・
どうりで、磨き痕が傷だらけのはずです。
いつも購入された中古車を見て思うのですが、
何故販売店は鉄粉すら除去して販売しないのでしょう?
どうせ磨く手間をかけるのであれば、
鉄粉除去して磨いた方が確実に綺麗になりますし、
鉄粉を巻き込んだ磨き傷も入らないのに。
そこまで、考えが及ばないのか?
単に、そこまでするのが面倒臭いのか?
個人的印象ですが、こうゆう販売店からは買わないほうが良い!
というのは、きちんとしたことをするのが前提ではなく、
小手先でごまかすことを選択していることになりますので、
車両整備も同じ視点で行われている可能性が高いのでは?
ボディ外観は購入価格からすると妥当とも言えますが、自分なら購入をすのか?
というと、非常に微妙なところです。
というのは、トップ部分の水染み進化の
“イオンデポジットクレーター”がものすごい・・・
ここまで多く存在しているのも、弊社入庫車両では稀です。
オーナー様が当初予定されていた弊社施工費では、艶を上げることはできても、
塗装の根本的改善は全くできません・・・
但し、そうはいっても御予算をWスコアーにしてまで完璧を期すことも、
購入価格を考えれば無駄なこととなってしまいますので、妥協案が必要です。
そこでご提案したのが、トップのみ“04スタンダード磨きコース”で磨き、
イオンデポジットクレーターを少しでもなくすこと!
本当は、05磨きコースのほうが、
この様なイオンデポジットクレーターの除去には有効ですが、
04磨きコースに較べ膜厚消費が大きいため、
このお車は部分的に膜厚不足が懸念されるためにリスクが大きくなります・・・
又、05磨きコースでは柚子肌をほぼ完全に消し去ってしまうため、BMWの様な曲面性が低い車では意匠性が塗り壁のようになってしまい、
デザインとのちぐはぐ感が起きてしまいます・・・
上記したように肌感も大きく変わりますので、トップのみの施工では、
隣接パネルとの意匠性のバランスが取れなくなります。
この様な理由により、あえて04スタンダード磨きコースといたしました。
エッジ部分にダメージを与えないようにマスキングで保護を施し、#3.000のペーパーをできるだけ斑の無い様に掛けます。
この際、一気に研磨せずに細かく拭き取りを行いながら繰り返しますが、これは削り粉やごみなどの噛み込で新たな傷を入れることを避けるためです。
このころのBMWは、高硬度耐擦りクリアーが使用はされていますが、現在の他社の高硬度耐擦りクリアーに比べさほど固くありませんので、
ペーパーが滑ってしまいかからない・・・
という、苦労は無いだけましです。
やはり側面も相当の傷です・・・
洗車傷のみならず、↑↑の写真のように走行中に擦ったのか?
擦られたのか?
と、いうような傷はここ以外にも数か所ありますし、
フロントバンパー下部も派手に擦っています・・・
更に、フロントガラス上部のモールも付いていません。
トップ部分の酷いイオンデポジットクレーターや、上記している再塗装や修理を必要とする部分の修理費用を合算すれば、70万円ほどかかる可能性がありますから、それらを考慮して購入価格を考えると、逆にかなり高価な買い物をしてしまったという見方もできるでしょう・・・
実は弊社のアングリアも先日リアデフケースよりオイル漏れがあり、点検してみると過去に修理されている溶接部分からデフオイルが滲んでいます・・・
修理にはリアのホーシングを外す必要がありますので、修理費用は10万円ほどかかるでしょうし、修理に行くにも自走はできませんから陸送費もかかりますので、
それまで足せば20万円ほどの損害です。
然し弊社はキャリアは持っていますから、
休みの日に自分で持っていけば燃料・高速代の実費だけですし、
懇意にしている所から購入していますので修理代は無料!
価格だけで、遠隔地やましてや知らない店舗から購入してしまうと、こうはいきませんので輸入車の購入は価格判断は選択肢の最後とした方が無難です。
トップ以外の磨きのコースは、
“02スタンダード・ソフト磨きコース”ですが、このコースでの基本的定義は、程度の悪い新車or程度良好使用過程車向けですので、
このお車の程度からすると無理があります・・・
本来であれば、03スタンダード磨きコースが一番適当ではありますが、すでにトップ部分を04スタンダード磨きコースとしたことで、大幅に御予算はオーバーしていますので、
流石にそこまでの出費はできない為、妥協です。
磨き屋としては、あまりスッキリとはしませんが、
完璧さばかりを追い続けて金銭的に無理をすることの方が問題ですので、できる限りの努力をしてダメな部分は納得するしかないでしょう・・・
洗車傷的な物や、使用において付いてしまったような傷は殆ど除去できましたが、↑の写真の様な擦ったのか擦られたのか?
のような傷は、少なくすることや目立ちにくくすることはできましたが、
除去までには至りませんでした・・・
この様な部分だけ、スポット磨きで対処するという選択肢もなくは無いですが、このお車過去に相当磨きが行われているようで、場所によっては80μ台の膜厚の部分もありますので、そこまで追い込んだ施工も危険といえば危険です。
新車から弊社で管理してきている車であれば、
施工履歴は弊社のデーターで確認できますので安全施工が可能ですが、
中古車購入されてきたお車は膜厚計確認とそれに元ずく予想でしか対応できませんから、相当のリスクを伴いますので無理はできません。
中には、あの店この店と、施工や修理を転々と変えていかれる方もいらっしゃいますが、
これはよりハイクオリティーを求められてのことでしょうが、私の今までの経験や周囲を見ていても結果として其れが良い方に繋がったという事は稀です・・・
特にメカニックなどは横つながりも強いですので、噂や情報が入り避けられることもありますし、人のやった仕事のしりぬぐいをすることも嫌います。
私の知人でも、クレームや店舗を転々としすぎたことで、
地元付近では既にどこも入庫拒否となってしまった方もいらっしゃいます・・・
本人に悪気が無いのは判るのですが、受ける側の視点はまた違いますので、
さじ加減が難しいですねー
トップ部分ボンネット・ルーフ・トランクは04スタンダード磨きコースでの施工でしたので、
13μもの膜厚消費を必要としましたが、
この消費膜厚スポット磨きでの消費膜厚と同等です。
9割がたの改善はできましたが、
残り1割ほどの不具合部分のダメージは残ってしまいました・・・
イオンデポジットクレーターも、残っているものは更に同じくらいの研磨をしたとしても、とれきれるかは?
ですし、極端に深い線傷も同じです・・・
つまり、
これ以上の改善を追求するのは意味のない膜厚消費となる可能性のほうが高いかも?
けれど、当初のイオンデポジットクレーターの悲惨な状態と、磨き傷に覆われて曇り切っていた塗装の状態からすれば、“起死回生”の回復と言えるでしょう!
費用対効果としては、十分に価値を感じるレベルにはなっていると思います。
然し、巷では磨きを行わないコーティング専門店が増えていますし、
磨きを行ったとしても軽度の研磨しか行なえないところが多いようですが、そのようなプロ店ではこのようなハードダメージのお車の施工依頼を受けたらどうするのか?
興味あるところです。
BMW ビーエムダブリュー 323i(VB23)コーティング終了
コーティングも終了してみると、私の眼には別の車?
と感じるほど、良い意匠性になったと思います!
但し、欲を言えばどうやればこれだけ深い線傷入れられるの?
というような、線傷残りがボンネットとトランクにはありますので、オーナー様のご予算が許せばそこだけは本当は何とかしたかった・・・
全体意匠性が極端に上がっただけに、私には目についてしまいます。
御引き取り見えられたオーナー様は、
「この1週間楽しみで、今日が待ち遠しかった!」
と、相当期待をされていらっしゃったようですが、ご覧になられてのご感想のほとんどは、
「オー」
でした。
恐らく、御満足されて頂けているとお顔を拝見している限りは思います。
今回の御依頼コーティングは、
“マーベラスフィニッシュ・プレミアム ヴァンキッシュ”輸入車専用で、
国産車施工不可という高硬度・高膜厚の親水性コーティングです!
一時はこのコーティングもかなり人気がありましたが、その当時はレジントップコート・コクーンがメーカーキャンペーンで無料でしたので、
多分価格のお得感で人気があったのでしょうが、オプション扱いとなってからは、
めっきりご依頼は無くなっていました・・・
今はそれよりもう1ランク低い、
ブリリアントフィニッシュ・プレミアム ハイブリッドが絶大な人気ですが、
恐らくレジントップコート・コクーンをオプション追加しても、
ヴァンキッシュクラス位の予算で収まるからというのが、大きな理由でしょう。
どちらが良いのか?
これは結構ご質問としては多いのですが、
これは結構返答としては難しい・・・
あえて言うのであれば、価格だけの判断でいえば、
硬度・膜厚はほぼ同等ですので、
当然安いブリリアントフィニッシュ・プレミアム ハイブリッドのほうがお得ですが、機能が親水と疎水・滑水と全く違いますので、そこに好みの違いが出てくるでしょう。
又、コーティング主材料の違いにより、艶感が全く違ってきます・・・
マーベラスフィニッシュ・プレミアム ヴァンキッシュは弊社コーティングラインナップでいうと、グラスコート・アルティメットと似た、
あまりコーティングの存在感を主張しない自然な艶・意匠性ですが、反してブリリアントフィニッシュ・プレミアム ハイブリッドは独特の艶感で、
コーティングの存在感を主張しまくります!
これは、個々の好みの問題で評価は全く違ってくるでしょう。
私に個人的見解としては、
BMWのようにプレスラインが強く平面的なお車には、マーベラスフィニッシュ・プレミアム ヴァンキッシュ。
ポルシェのように曲面構成されているお車には、ブリリアントフィニッシュ・プレミアム ハイブリッド。
が、合っていると感じますが、あくまで好みの問題ですねー
其れと、露天駐車車両や濃色車ではすでに定番の施工となり、
この様なお客様方のほぼ90%以上は施行されている、
“レジントップコート・コクーンSTD”もご依頼いただきました!
このレジントップコート・コクーンがラインナップするまでは、本物のシリカコーティングの施工経験の浅い方は、
施工後水染みを初期の段階で作ってしまい“ガッカリ”という事もたびたびありましたが、最近ではこのようなお話はとんと聞くことが無くなりました。
ごくたまにですが、洗車中に手を放してしまい、
水道水に乾かれてしまい初期の水染みを作ってしまうというような、
“うっかり”でもない限りは、
レジン効果により施工直後の水染みリスクの低減には相当貢献できているようです!
但し、レジントップコート・コクーンを施行してあるからと言って、
1か月間まったく洗車をしないとか、
洗車時の素早い拭き上げをする必要が無い、などという事ではありません。
あくまでも、最低限のきちんとした管理をされている中で、リスク低減の助けになるものですので、
過信は禁物です!
この度は、遠方より何度もお越しいただきまして、ありがとうございました。
また弊社の代車の都合で、お引き取り時間の前倒しにもご協力いただき、感謝いたしております。
御帰りの際に言われていました、レザーメインテナンス商品は常時在庫はございますので、お仕事のついでの際にでもお立ち寄りください。
また、スタッドレスタイヤ用ホイルの件ですが、コーティングをなさる前提でしたら、再塗装品は避けられた方が無難かもしれません。
かといって、またあまり無駄遣いにはならないようには、お気を付け下さい。
車輛クラス:クラスM
施工コース:
コーティングコース=マーベラスフィニッシュ・プレミアム ヴァンキッシュ ガラスコーティング
磨きコース1=04スタンダード磨きコース(柚子肌を残したヘビーダメージ除去の超鏡面磨き=ボンネット・ルーフ・トランク)
磨きコース2=02スタンダード・ソフト磨きコース(本来程度良好新車向け・傷取り鏡面仕上げ=上記以外範囲)
オプション施工=レジントップコート・コクーンSTD
施行料金:216.797円税込(輸入車割増磨き+10%・濃色車割増磨きランク1+20% 適応・有料道路代別途バック)
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