2016年06月21日公開|フォルクスワーゲン
弊社では初の現行ビートルですが、
ビートル自体此れで2台目でしかありません・・・
今回は、わざわざ静岡県よりお越し頂きました、
ご新規のお客様です!
弊社にいらしていただくこととなられたきっかけは、
強風に煽られ滑ってきた店舗看板との衝突です・・・
ボディダメージは少しですが、
右ドアにデント状の凹みが2箇所ですが、
塗装下地もでてしまっています。
ディーラーでの修理も検討されたそうですが、
どうも安易な修理をされてしまいそうで不安・・・
との事で、購入されて数年経過されていることもあり、
その修理とリセットを兼ねご来店いただいたそうです!
きっかけとなられた看板との事故では、
店舗側が非を認め賠償をしてくれるそうですので、
オーナー様のご負担は幸いにもありません!
その際の損害は上記したものだけではなく、タイヤも1本破損してしまわれたそうですが、
理由は判りませんが1台分の4本を新品交換してもらったとか?
但し、此れは要求してのことだとすると、
かなりの過剰請求です・・・
保険会社の賠償基準では確かに不足感は有りますが、
裁判等での賠償判決などでも賠償の基本は現況復帰であり減価償却も本来は考慮されます。
つまり、
タイヤのように特に消耗品の場合にはこの減価償却が問題です・・・
弊社では今までありませんが、聞くところによると事故修理で新品パーツは認められず、
減価償却を考慮して中古パーツ使用による修理を保険会社が要求してくることもあるそうですから・・・
然し、破損前の減価償却状態と中古パーツの減価償却の度合いが同一であることの証明は不可能ですので、
ほとんどの場合は新品パーツで認められます!
但し、ダイレクト系が主に行なっている保険会社指定修理工場などでの修理の場合は、
オーナー様の知らぬ間に中古パーツで修理がなされている場合が多々あるそうですので、
修理を行なう工場指定はご自身でなされたほうが無難です!
賠償協定終了後に中古パーツが使用されてることに気付き、其れに対してクレームを申し立てても、
まず再修理してもられる可能性は限りなく0ですから・・・
かなりクラシカルを意識した内装です。
きょうびダッシュボード上に3連メーターが付いていること自体かなり稀ですが、スポーツタイプでもないビートルにあえてこの様な装備をすることはメーカーの意図は?
同じようにリメイクであるフィアット500と比較してみた場合、車自体のできは別として、
センス的にはやはりイタリア人のほうが演出は的を得ています!
ドイツ人には、遊び心的センスは薄いのは国民性でしょうねー
内装パネルも、昔の鉄板むき出しを意識してでしょうがプラスチックトリムを多く取り入れていますが、
此れも個人的にはチープ感を感じてしまいます・・・
指紋や手油が目立ちやすくなっているだけ?
此れは又すごい鉄粉の溶け出し方です・・・
オーナー様的には、
車庫保管でボディカバーまで掛けられていらっしゃるそうですから、
程度には自身おありと思われますが、
此れだけの鉄粉付着をしていれば、
洗車の際にもこの鉄粉で相当傷を入れているでしょう・・・
恐らく一般の方で鉄粉付着に関して、
気になされている方は1%位しかいらっしゃらないでしょう。
弊社のお客様がたでさえ1割いないかも?
既に3年近く経過していてディープブラックパールエフェクトと言う濃色でありながら、
水染みはかなり少なく、
細かなイオンデポジットクレーターがある程度!
が、傷に関しては標準的な傷量ですが、
一寸深めの傷が多い・・・
保管は車庫保管だそうですが、
更に起毛付のボディカバーまで併用されているそうです!
此れに関しては、
私は結構否定派です・・・
と言うのは、スーパーカーのように乗るのが年に数回しかない場合には、
保管中に相当埃をかぶってしまいますので、
1回乗るごとに乗り出し前と乗り出し後の洗車をしての傷入れを防ぐ意味では有効と思いますが、
頻繁に使用する車でボディカバーを使用すると、
いかに高級ボディカバーであっても傷入れのリスクは増大して行きます・・・
しかも帰庫後の洗車を必ずしなければならなくなりますし。
ものぐさ太郎の私には、絶対無理・・・
このお車、
過去に磨きが行なわれているようです!
が、ルーフ後部にはダブルアクションポリッシャーによるガッツリ入ってしまった叩き傷が入っています・・・
恐らくダメージの深さからしてエアーポリッシャーと思われますが、
此れの完全除去は無理でしょう?
それ以外にも、
シングルポリッシャーによる半円形の磨き傷も数は少ないですが各所に散在しています・・・
このような磨き傷が残っていることは良い事ではありませんが、
現在巷の多くのコーティング屋さんのように、
ダブルアクションポリッシャーだけの艶出し磨きではなく、
シングルポリッシャーを使用した塗装肌の下処理から行なう磨きがなされているだけ、
きちんとした磨きを行なおうとした証拠ではあります。
但し、この様な磨き傷が残った状態ということは、
使用しているコンパウンドが傷隠蔽タイプなのか?
照明環境が不十分で傷が見えていないのか?
と言う問題は有りますが・・・
今回ご依頼の磨きコースは“02スタンダード・ソフト磨きコース”ですが、
基本研磨厚は6μですが研磨終了してみても傷ははっきり残ってしまっています・・・
この段階ではっきり傷が確認できると言うことは、
まだ傷の深さは10μ近くあると思われます?
扱いが簡単と言われるダブルアクションポリッシャーですが、ポリッシャー自体の回転力が低かったり作業者がダブルアクションポリッシャーの特性とリスクを理解していない場合、
この様な快復困難な傷を入れてしまうリスクがあります・・・
この傷を完全除去しようとするには、
弊社のオプション磨きであるスポット磨きを行なう必要がありますが、問題は膜厚・・・
今までの経験上言えるのは、フォルクスワーゲングループ(アウディ等も含め)のパール塗装は、
クリアー分の膜厚がかなり薄い。
つまり、規定磨きで6μ更に+10μの磨きを行なった場合、安全残存クリアーが確保可能なのかが?
です。
ですので、スポット磨きを行なうとすると、
ダメな場合は再塗装する覚悟が必要となってしまいます・・・
現実的判断では、
この傷は目をつぶる必要が有ります。
側面も傷それなりにありますが、
傷の方向が一定していないので、
洗車の際の傷だけではなく、
ほかの要因でも傷を入れてしまっているでしょう?
私の予想では、
これらはボディカバーの掛け剥ぎで付いていると予測・・・
比較的傷の長さが長いものが多いのも、
其れを裏付けます。
車両点検時に、現状の傷の状態からして、
「02スタンダード・ソフト磨きコースであれば恐らく傷残りは1割・・・」
「03スタンダード磨きコースであれば2~3%位まで減らせると思います!」
と、
ご説明して納得の上02スタンダード・ソフト磨きコースとして頂きました!
予想通り1割近くは傷が残りましたが、
予想よりはかなり少なくすみました!
然し、前記したように長い傷が比較的深い傷であった為に、
周囲の傷が完全除去されてしまうと、
残存した傷が思いのほか目立ちます・・・
此れがまだ黒でなければほとんど気にならないのでしょうが、
黒を選ばれてしまった以上此れは諦めるしかありません・・・
ですので、私は乗用車やスポーツカーでは生涯黒を買ったこともなし、
これからも買うことは無い理由!
ボンネットにも50cmくらいの長さの傷が5本ほど残ってしまいます・・・
傷の方向は前後方向一直線ですので、
この様な傷は洗車では付きませんから、此れもボディシートでしょう?
傷の深さ断面形状からして、
原因は恐らく砂・・・
いくら起毛があっても、
逆に起毛に砂などが入り込むリスクがあります!
駐車中に埃が乗ることを嫌うか?
傷が入るリスクを嫌うか?
此れは個人の感覚ですので、良し悪しではありませんが、私は傷を避けます。
私の場合で言えば、
埃を落とす程度の洗車であればほぼ100%傷を入れない洗車短時間で可能ですが、
入ってしまった傷を磨くとなるとそれ以上の手間が必要ですから、
単に楽なほうを選択しているともいえますが・・・
Vokswagen フォルクスワーゲン ザビートル ターボ(16CPL)
コーティング終了
右ドアの凹みと下地が出てしまっている箇所の修理は、
の2パターンが想定されましたが、
オーナー様のご希望は1です。
理由は、
「2のパターンならあえて弊社にお願いする必要も無い・・・」
との事でしたが、この理由私には?
と言うのは、
確かに1のほうが技術的には難易度は高いですが、
2の場合も塗装範囲が広がることでリスク度は高まりますので、
どちらにしても高技術力のあるところのほうが良いと思うのですが?
結果は1の方法でOKでした!
デント屋さんの行うデントは、
凹みをなるべく狭所で散らし判りづらくするレベルに止まりますが、
板金屋さんのデントではできる限り、
伸びてしまったパネルを広範囲に広げることで完璧に近い現状復帰を目指します。
そのため、散らす範囲が広がってしまえば、色暈しを行なう余裕度が失われてしまい隣接パネルでの色暈しの必要性が出てしまいますが、今回は相当慎重に作業をしてくださったようで、
狭い範囲での散らしでパテも使わず収まったそうです!
今回施工をお受けする際、
「まさか板金塗装だけでなく、磨き&コーティングも相手からの賠償では?」
と感じたのですが、実はそうでした・・・
確かに弊社でも保険会社に対しては、
再塗装パネル隣接まで賠償範囲として施工はいたしますが、
車両全体というのは100%認められません・・・
此れ裁判であっても、
逆に120%認められません。
今回相手方は現金賠償のようですので此れで揉めるのを恐れて受け入れているのでしょうが、
もし自管賠等の他者賠償保険を申請した場合であれば絶対認められない・・・
つまり完全な過剰賠償です・・・
磨きの全体的印象は、
上手くは磨くことはできましたがどうも私はフォルクスワーゲンの塗装は苦手・・・
ドイツ車はどこのメーカー(BMWは別)も塗装の方向的には似ていますが、 どうもフォルクスワーゲンの傷のエッジの切れが思ったようには行きません。
他社の場合と比較するとコンパウンドのぬめりが残りやすく、
ドライアップしにくい・・・
イメージ的には、コンパウンドの混和剤の成分が弾かれている様な?
この印象、コーティングにもいえます・・・
拭き上がりが重い。
今回のご希望のコーティングは、
“マーベラスフィニッシュ・チタンコンビネーション×光触媒ボディコーティング”となましたが、
黒のお車の場合、
光触媒の主成分である酸化チタン結晶の光彩現象が目立ちやすいと言う特徴があります!
ですので、
202の様なソリッドブラックでは基本的にはお勧めはしておりませんが、
このお車のようにパール塗装ですと、
その光彩現象によりよりパールの反射が強くなった印象を与えます。
此れは好みの問題ですので、特徴をお話したところ、
其れはそれでOKということで決定となりました。
ベースコートとなるマーベラスフィニッシュ・チタンコンビネーションは、
塗りこみ→拭き上げ
行程後、軽く精製水をスプレーした後特殊なクロスを使って水分感が完全になくなりドライになるまで繰り返し拭き込みます。
この作業で更なるコーティング表面の滑面性を上げるのですが、
前記したようにこの作業においてコーティング表面のざらつきが無くなるのに、
フォルクスワーゲンの塗装は非常に時間が掛かる・・・
何故そうなるのかは、はっきりした理由はいまだに判りませんが、推測できることは有ります!
塗料・塗装特性上の問題ですが、確実な予測ではない為、あえて此処では明言は避けます・・・
一昼夜のブランクを置いて光触媒ボディコーティングをスプレーコートで行ないます。
弊社の使用するボディ用光触媒は、
限界まで酸化チタン結晶を小さくすることで、
活性表面積を稼ぐと共に酸化チタンの意匠性特性である光彩現象を抑えています!
又酸化チタンの持つ特性として、
超親水性能によりベースコートの親水性能を上回る親水性を作り出します。
此れにより、汚れの付着が起きても、流水が汚れの下に入り込もうとすることで、
流れる水の力で汚れが落ちやすくなります!
更に、酸化チタンの持つ最大の特性である紫外線の力による酸化還元反応により、
付着しようとする有機物汚れを分解しますので、
ベースコートの滑面性による付着阻害力と共に、
頑固な汚れの付着を防ぐこととなります!
但し、
光触媒コーティングは分子結合膜でも架橋結合膜でもなく、
分子間結合引力で膜化しているので、
摩擦に対しての耐久性はさほど高いとは言えませんので、
洗車機の連続使用や摩擦の激しいような雑な手洗い洗車は、
コーティングの寿命に影響を与えてしまいますので、
注意は必要です。
この度は遠方よりわざわざお越しいただき、ありがとうございました。
又、此処のところの板金塗装工場と弊社の混雑の為、非常に長期間のお預かりとなってしまうことをご了承いただき助かりました。
弊社では施工の機会の少ないビートルでしたが、形状的にも特殊ですので磨きの方法も研究しながらでしたが、良い経験をさせて頂きました。
これからも、お大事になされて良い状態でお乗りいただけることを願っております。
ありがとうございました。
車両クラス:クラスM
施工コース:
コーティングコース=マーベラスフィニッシュ・チタンコンビネーション ガラスコーティング+光触媒ボディコーティング
磨きコース=02スタンダード・ソフト磨きコース(程度良好使用過程車向け=傷取り・鏡面仕上げ)
外注施工=板金塗装(右ドア=中央部デント板金・周囲色暈し・パネル全体クリアー吹き)
施工料金:293.699円税込み(輸入車割り増し磨き+10パーセント・濃色車割り増し磨きランク1+20パーセント 適応・外注施工費込み)
メーカー別
月別バックナンバー