2017年04月09日公開|ポルシェ
ご新規のお客様ですが、
既に昨年初冬にご来店になられこのタイミングでのご予約を頂いておりました!
但し、事前のお見積もり時点でのお車の状態は15年経過していると言っても、
かなり悲惨と言う状態でした・・・
その為、
お見積もり金額は恐ろしい金額となってしまったため、
「流石にここまでの金額では施工なさらないであろう・・・」
と思いきや、
「綺麗にするにはこの磨きが必要なのですか?」
「この下のレベルでは無理ですか?」
との質問に、
「イオンデポジットクレーターも全体に出来てしまっていますし、
それなりの仕上げにするのはこれが最低レベルの磨きコースの選択となります!」
とお答えすると、
「そうですか、ではこれで予約をお願いします!」
との事でした。
正直私がビックリ!!!
お聞きしてみると、
このお車のほかにフェラーリの458イタリアもお持ちだとか。
「この車の仕上がりが良ければ、フェラーリもお願いいします!」
との事でしたが、過去経験上この時点でこの様なお話が出た場合、
まずそのようなご依頼が有った例は無いですから、
これは当てにしないようにいたします・・・
このお車は、
996シリーズの最終販売時期の1年間だけ販売された特別モデルで、
エンジンはGT2用のエンジンが装着されていながら、
ミッションはATのみと言う一風変わった組み合わせのお車ですが、
通常のターボよりも400万円以上高い当時としてはかなりの高額車です!
これも過去経験からして、
この様な高額車車輌をお持ちの方は意外と弊社などでは施工はなされません・・・
と言うのは、
この様なお金持ちの方の考え方に、
誰が見てもお金を使っていることが明確なパーツなどには大枚を消費しますが、
磨きやコーティングなど価格価値判断が人それぞれな事にはお金は使われません。
其れと、この様なお車は日常的にお乗りにはなりませんので、
お車自体がそもそも痛まないと言うことも有ります!
こちらのオーナー様は違いますが、この様なお金の持ちの方は買い替えサイクルが早く、
傷が目立つようになる前に車を変えてしまうということも大きな理由でしょう。
然しこちらのオーナー様は、
このお車で15年フェラーリで10年、
足車のベンツE55も10年近くお乗りだそうですから、
私の嫌いなスーパーカーフリークとはだいぶ違われ、
気に入られたものは年式に拘わらず長くお乗りになられるところは、
私の考え方や嗜好性と似ているようです!
ですから、今回もご依頼を頂けたのでしょう。
このスカッドプレートが只者ではない証!
エンブレムにはターボのエンブレムしかないですが、エンジンがGT2用エンジンであることは、馬力的には30PSのみの違いですが、
シリンダーブロックからターボとは異なりますからまったくの別物といえます。
外観上も、リアウイングやフロントリップなど専用のエアロも装備されていますが、
これは相当詳しい方で無いと判別は無理でしょう・・・
この様な控えめな特別モデル感は、
私は好きですねー
これ見よがしの外装モデファイは成り上がり的で悪趣味ですので、
私は大嫌い・・・
内装もグレーレザーにグレーカーペットと、この頃の高額スポーツカー特にポルシェでは定番の内装色統一されていますが、
グレーの選択は一寸地味すぎる感もしてしまいます・・・
但し、今のスポーツカーのようにやれカラーステッチだのカラーパイピングだのの無い落ち着いた内装は、
大人のスポーツカーといった感じで好きです!
経年年数と現状程度から見て、
予想では恐ろしい量の鉄粉が溶け出すのではないか?
との予測は、
意図も簡単に覆りました。
鉄粉付着は非常に少量です!
やはり、ほとんど車庫の肥やしとなっていて乗られていないのでしょう。
当時のディーラー営業マンとたまたま入庫時に話す機会がありましたが、
「車検の度にバッテリー完全に上がっていたから、ほとんど乗っていないと思うよ。」
との事でした。
ただ、
そうなると何故此処までボディの状態が悪いのか?
今迄弊社入庫されてきたお車の中で、
1・2を争うほどの水染み付着です・・・
一部イオンデポジットクレータも確認できます。
トップ部分はあまりの水染みの付着に、
傷すら見えなくなってしまっています・・・
何故此処までのことになってしまっているのだろう?
これお引取りの時に解りました!
お住まいの地区は水質が非常に問題がある地域ですが、
それだけでも問題なところに、
洗車はいつも温水でなされていたそうですので、
不純物濃度が高いところに温水使用をしてしまえば、
不純物は水から分離してこのように塗装面に張り付いていってしまいます・・・
ポットにこびり付くカルキと同じです。
この状態ですので、
水染みだけを除去するのであれば02磨きコースでもある程度にはなるでしょうが、
完全に水染みが除去しきれるか?
と言うと?
ですし、
イオンデポジットクレーターに関してはまず除去は無理です・・・
この現状からして最低でも03磨きコースが必要ですが、
完璧を期すのであれば04磨きコースとなりますが、
オーナー様のご依頼は“03パーフェクト磨きコース”となりました!
但し、03磨きコースは目標研磨厚が10μですので、
これを越えた深度のダメージは残りますし、
バフとコンパウンドによる除去が不可能なダメージには対処できません・・・
ご予算に多少余裕がまだあられれば、
04スタンダード磨きコースにするか?
改善不能個所のみスポット磨きを追加するか?
と言う選択肢もありますが、現時点でも相当の金額になってしまっておりますので、
流石にこのお勧めは出来ませんでした・・・
側面はトップほど水染みに覆われてはいませんので、
逆に傷のすごさが判ります・・・
走行距離もさほどではなく、したがって洗車も頻繁には行なっておらず当然車庫保管で手洗い洗車であるにも関わらず、
何故此処まで線傷が入ってしまうのか?
洗車後の拭き上げも早々時間ををかけて行なわずすばやく拭き上げているとの事でしたが、
其れなのに何故此処まで水染みができてしまうのか?
恐らく根本的洗車方法に相当大きな間違いがあるでしょう・・・
DIYにて水洗い手洗い洗車→WAX
だそうですが、
洗車で傷入れ+WAX掛けでも傷入れ+乗り出しの乾拭きで傷入れ+WAXで水染み付着
予測ではこんな感じでしょうか?
前記したように、
洗車時使用の水道水の水質の悪さ+温水使用
も更に状況を悪化させています・・・
矢印の部分の水染みですが、これは水染みに見えますが、
既にこの垂れ痕の形でクリアーが溶けてしまっています・・・
つまり棒状のイオンデポジットクレーターとなってしまっています。
これは流石に見た事はありません・・・
此処まで水によるダメージを受けると言うことは、
水道水のPHは相当酸性かアルカリ性に振られていることでしょう・・・
このレベルの水質で洗車をするのであれば、
最低でも浄水器はつけなければ同じことの繰り返しとなるでしょう。
傷は9割方以上除去できました!
縦についていた棒状イオンデポジットクレーターも、
大何処は処理出来ましたが、
目を凝らしてよく見ると、
何となく痕跡は残ってしまっています・・・
これが03磨きコースの限界で、
04磨きコース若しくはスポット磨きを行なっていれば、
完全になったことでしょう!
弊社施工時でも、
この水ダレはクォーターにあるエアーダクト下端部より、
いつまでもタラタラ水が垂れてきていましたので、
一度ダクトを外してパッキンを交換しないと、
又同じことが起きてしまうでしょう・・・
9μの研磨となりましたが、トップ部分の傷とイオンデポジットクレータの、
ほとんどは処理出来ましたが、
私の目から見ると約8~9割の回復率という感じです。
が、お持込いただいたときの状態からすれば、
別の個体といえるほど回復はしていると思います!
この996型ポルシェは通称涙目と言われるヘッドライト形状から、
歴代ポルシェの中では一番人気が無いモデルですが、
ターボにしてはリアフェンダーの張り出しも今一な為其処も不人気の理由と思われます・・・
よく言われるのが、
「年式以上に古い車のような印象がする・・・」
ですが、お持込時のように激しいダメージを受けた状態ですと、
更にその印象に拍車がかかってしまいます・・・
然し、幾ら一般的には不人気車種でも、
外観エクステリアが新車並になっていればその印象も大きく変わります!
現に弊社施行車輌で996型GT3が有りますが、
先日も弊社に立ち寄られた際拝見しましたけれど、綺麗に管理がなされているため、
996型でも十分カッコイイ印象を受けました。
私が思うに、個体デザインの良し悪しは新車時には大きな要因になりますが、ある程度オールドタイマーとなってからは、
デザインよりも個体の綺麗さの方がその車の印象を左右すると思います!
例えば私の所有するジャガー308型ですが、
この頃のジャガーは独特の形の為好き嫌いはかなりはっきりはしていますが、
現状においても新車以上に新車の状態が保たれている為、
ジャガー自体が嫌いなお客様が御覧になられても、
「これはカッコイイねー」
と、評価していただけていますから!
PORSCHE ポルシェ 996ターボ ハイパフォーマンスエディション4WD
(996E64)コーティング終了
私なりには大変身を遂げれた渾身の1台と感じています!
が、残念なことにAピラー下端部及びCピラー上端部~ルーフサイドシェル部分は完全にクリアーがやられてしまっており、
03磨きコースでは根本的改善には至りませんでした・・・
この部分を完全に改善するには、一度#1.200のペーパーを部分的に掛け更に#2.000#3.000とペーパー処理を重ね、
その後スポット磨きでペーパー目を処理していく方法が必要でした!
然しこの方法のスポット磨きは1区画10.800円かかり、
最低でも6区画となってしまうため追加で64.800円もの金額が必要となってしまうため、
事前に追加施工のご許可もいただいておりませんでしたので、
流石にご案内は出来ませんでした・・・
この様な場合、
後出しじゃんけんの様でなかなかご連絡はしづらいものです。
お引取りにはご夫婦でお見えになられましたが、ご感想は奥様から、
「何か色が薄くなったように見えるのですが・・・」
と、
かなりショックなご感想を頂きましたが、
これは今までの状態が長く続いていた為、
水染みと傷に覆われ艶引けしていたことで、
濃紺に見えていたのでしょう。
あまりにも長く深刻なダメージ状態を見慣れてしまっていたことにより、
新車時の色の記憶が無くなってしまっておいでなのでしょう・・・
正直なところ、開口一番、
「おー、綺麗になったねー」
と、
言って頂けるものと思い込んでいただけにかなりショックです・・・
この感想からして、
恐らくご満足はいただけなかったことと思いますので、
お持込時言われていたフェラーリの施工依頼はいただけないことでしょう。
これは個人の個々の感性による受け止め方ですので、
幾ら私が良い出来であると思ってもそうは感じられないことはしょうがありません・・・
今回のご指定頂いたコーティングは、
“グラスコート・アルティメット ハイブライテンズ”弊社取り扱いコーティングの、
最高ランクのコーティングです!
このコーティングをお選び頂いた最大の理由は、
超撥水でありながら水染みが非常にできにくいことのようですが、
幾ら車庫保管車と言ってもこの様な濃色車にはやはりリスクです・・・
前記していますように、
水道水質にも大きな問題がありますし、
洗車方法にも大きな問題があるはずですので、
洗車には相当の注意と改善が必要です!
又雨天などに濡れた状態でお帰りになられた際にも、
その日のうちは無理としても、
近日中には一度洗車で水染みが固着しないようにして頂く必要が有ります。
コーティングは確かに高性能なものを施工しておけば、コーティング自体の塗装保護機能は高いですので、
そう簡単に直接的塗装ダメージが入ることは防げますが、
これは単にコーティング自体が犠牲皮膜となっていることですので、
コーティング自体がダメージを受けることによって意匠性は低下してしまいます・・・
つまり、
幾ら高性能のコーティングを施工しても、
きちんとした管理がなされなければ、
それなりにダメージは受けると言うことです。
但し、
このコーティングの硬度は試験硬度で9Hもありますので、
今までのように洗車での傷入れはたやすくは起こりません!
逆にこの様な高硬度コーティングを施工なされた場合、
洗車機洗車に切り替えられたほうがダメージは防げる可能性は高いでしょう。
実際私の足車のベンツE430は、
違うコーティングではありますが同じく硬度9Hのコーティングが施工してあり、
此処5年くらいは洗車はオンリー洗車機ですが、
ほとんど洗車スクラッチは入っておりません!
しかも、
洗車機洗車終了時にブロアー運転を1回追加して頂いていますので、
拭き上げもしていませんが、
逆にこの方が拭き上げ時間がかからない分水染みも一切できていません。
これは管理方法の真逆的考え方です!
この度は大変なる高額施工をご依頼いただき、ありがとうございました。
奥様のご感想以外あまりご感想はお聞きできませんでしたが、ご期待には沿うことが出来ませんでしたでしょうか。
本音といたしまして、自分的には驚異的回復は果たせたと思っておりますが、評価自体はオーナー様がするものですので、ご満足いただけなかったとすればこれは私の力不足としか言えません。
お引渡し時もご説明はいたしましたが、水道水質は大きな問題ですので、出来れば浄水器を付けるか、洗車終了時に精製水をかけていただけば大分状況は改善されると思います。
降雨時に洗車するのも効果有りますが、これは一寸大変ですね。
折角のプレミアムカーですので、今後はしっかり管理なされて、大事にお乗りください。
機会がございましたら、私どものツーリング倶楽部イベントにもぜひご参加ください。
会員クラス:正会員登録
車輌クラス:クラスX-3
施工コース:
コーティングコース=グラスコート・アルティメット ハイブライテンズ ガラスコーティング
磨きコース=03パーフェクト磨きコース(ダメージ深刻使用過程車向け=ハードな傷取り磨き・超鏡面仕上げ)
施工金額:515.736円税込み(代車使用無し割引-5%・輸入車割増磨き+10%・濃色車割り増し磨きランク1+20%・車体形状割増磨き+20% 適応)
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