2010年12月08日|マイスターブログ
先日とあるコーティング屋さんで修行され独立開業をしようとしている方とお目にかかりました。
話は当然磨きやコーティングの話となり開業された際の集客の仕方などいろいろなお話をお聞きしました。
お勤めだったコーティング屋さんのお話で驚いたことがいくつもありました。
まずはその忙しさと集客能力の高さです。
一日約四台の入庫があり、そのほとんどがエンドのお客様で業販は少ないとのことでした。
県外ではありますがお店のあるところは人口もそれほど多くなくこれほどの集客ができることはすごいの一言です。
ただし施工日程をお聞きして見ると、1日から1日半で終了しているとのことでしたので磨きはどうしているのかと疑問になりお聞きすると、
「ギアポリッシャーでスポンジバフを一回かけるだけです。」
とのことでしたので傷の処理はしないのだなと思い、次に脱脂の話になり、
「車磨き研究所では脱脂剤を使い洗車しながら脱脂を行いますが、脱脂剤にバインダーの能力もあるのでガラスコーティングの密着も上がるんですよ!」
とお話しすると、驚いたように、
「え、コーティングの前に洗車をするのですか?」
ときかれるので、
「え、洗車はしないのですか?
ではどうやって脱脂をされているのですか?」
とお聞きすると、
「シリコンオフでクロスで拭いて脱脂しています、洗車は磨き前しかしません。」
とのお答えでした。
正直驚きました。
シリコンオフだけで脱脂ができていると思われているようです。
確かに板金塗装後でガラスコーティングを施工せずに納車するならばこれで十分だと思いますが、ガラスコーティングを施工する場合コンパウンドの油分や混和剤の成分が残ってしまっているとガラスコーティングは密着することができません。
最悪ガラスコーティングが硬化しないこともあります、過去にその様な車を何台か見たこともあります。
確かにシリコンオフはコンパウンドの成分を溶かすことは可能ですが、完全にその溶けた成分をふき取りきることはできませんので脱脂しなければいけない成分を移動させているだけになってしまいます。
ほとんどのコーティング屋さんは車磨き研究所のようにガラスコーティング専用の脱脂剤はお使いにはなっていないようですが、磨き終わったら洗車をされて拭き上げてからシリコンオフなどで再度脱脂をされているようです。
これでしたらほとんどの成分は水でまず洗い流され、多少残った程度の成分でしたらシリコンオフ等でも完全に処理することができると思います。
このコーティング屋さんの場合施工日程がタイトなため洗車をしていては時間が足りなくなってしまうためこのような方法をとられていると思います。
使用されているガラスコーティング剤の銘柄をお聞きするとエシュロンをお使いだとのことでしたので、コーティング剤自体はいいものですし本来耐久性もある商品ですが、この脱脂方法だとおそらくコーティング剤の寿命よりかなり早く剥離してしまうと思います。
場合によっては残留成分と反応を起こして白濁化してくる恐れもあります。
これではせっかくの高級コーティング剤のエシュロンもポリマーコーティングと大差ないものとなってしまいます。
まあ考え方によってはこれで価格が3万円程度ならしょうがないかと思えるところもありますが、それ以上の価格となるとコーティング効果や耐久性などを考えると非常に高いものとなってしまいます。
ガラスコーティングとはどんなにすばらしいガラスコーティング剤を使用しても、どれだけすばらしい磨きをしてあっても、高価な設備が整っていても、脱脂がきちんと行われていなければ今挙げたすばらしい三点の能力は発揮されません。
脱脂はガラスコーティングの要です。
ガラスコーティング剤の銘柄を気にするよりまずは施工店に脱脂の施工方法を確認したほうがいいですよ!
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