2011年06月12日|マイスターブログ
先日ある変わったお問い合わせがメールでありました。
冬にとあるコーティング屋さんで何かわからないコーティングを施工されたそうです。
その際コーティング屋さんから、
「たまにはWAXをかけてくださいね!」
と言われたそうです。
お客様は素直に先日WAXをわざわざお求めになりDIYでWAX掛けを行ったそうですが、翌日の朝車を見てみるとボンネットに斑になった曇りが出来ていたそうです。
補修しようと施工店に出向きシャンプー洗車とトラップ粘土で曇りを取ってもらおうとしましたが結果は芳しくなかったようです。
そしてショックでネットを調べ問い合わせを弊社にいただいたようです。
これありえないことと思いませんか?
これはプロの施工店としては通常ありえないことです!
1.お客様にどのようなコーティングを施工したかの説明も無い。
これではお客様は日常の管理やお手入れをどのようにしたらいいかも解かりませんし、当然施工証明や保証書も無いことになります。
数万円払ってこれでは、スタンドの洗車機に因るポリマーのようなレベルの対応です。
2.コーティングにWAXをかけてのメンテを勧める。
この段階では施工されたコーティング剤がポリマーなのかフッ素なのかガラスコーティングなのかはわかりませんが、どちらにしてもコーティング施工車にWAXで手入れをするように進めるなど言語道断です!
仮にポリマーだとしましょう、ほとんどは油脂系もしくはガラス繊維系のものですがどちらにしても有機系のものとなります。
それに対してまったく違う成分のWAXを掛ければ化学反応を起こしたり弾きを起こすのは当たり前のことです。
なかには無機系ポリマーもありますが、このクラスの商品を使われる施工店ならこの様なバカな発言はされないでしょう。
フッ素であれば場合によってはフッ素結合の隙間を生めてより撥水を高めるために、専用のシリコンオイルを塗りこむことはありえますが、やはりWAXを使用することなどありえません。
この場合い化学反応は起こすことは考えられませんが、そもそもフッ素は撥柚性がありますから石油油脂のWAXは弾かれて曇りになることは当たり前のことです。
ガラスコーティングの撥水性のものであれば水を弾くように設計されているのですからWAXを弾いてしまうのは当たり前です。
親水性であれば仮に弾きが無かったとしてもWAXは撥水性ですから浸水機能は失われることとなります。
どちらにしてもメインテナンスとしてありえないことです!
3.曇りを取るのにトラップ粘土を使用する。
施工店さんもあせっていたのかもしれません、車は多少古いといってもポルシェだそうですから!
シャンプー洗車はわかります、確かにそれでWAXが落ちれば万事解決ですし、もしだめだとしてもその後作業が必要となりますから無駄にはなりません。
問題はその後のトラップ粘土です。
そもそもトラップ粘土の使用用途とその特性すらわかっていないようです!
この様な状態の補修にトラップ粘土は何の役にも立たないどころかただ傷を増やしていくだけです。
トラップ粘土は鉄粉や塗装ミストなどをからめとって行くためのもので、WAXのように膜性のものを剥ぎ取ることはまったくできるものではありません。
ちょっと考えれば簡単にわかることで、この程度で斑や曇りになったWAXが落ちるのであれば洗車機に一回入れればWAXは落ちてしまうことになります。
いくらWAXに耐久性が無いといってもこれほど簡単に剥離はしません。
これは仮定の話ですが、ことによるとポルシェの状態があまりによくなく手入れがされていないようなので、
「たまにはWAXくらい掛けたほうがいいですよ。」
といったことが、
「コーティングにWAXをたまには掛けた方がいいですよ。」
と誤解を生んだのかもしれません。
そうだとすればまだ話は納得できる範囲です、
ただだとしても説明不足であることは間違いありませんが。
最悪なのは1.2.3.が通常のこのコーティング屋さんの対応・考え方・知識だとすると恐ろしいことです。
一時カービューティープロなどが大流行し、巷ににわかコーティング店が連立していた時代ならともかく、この時代にこの様な低レベルのコーティング店があることは大変驚きでした。
コーティング店には許認可や免許制度などは存在しません、大手フランチャイズでさえ1~2日の講習でお金さえ払えば加盟できるところがほとんどです。
つまりこの業界は開店資金さえあれば誰でも営業は可能な世界なのです。
素人でも開店してしまえばプロショップです!
コーティング業界もいまは大変な不況に見舞われていますから質の低いお店はかなり減ってきてはいると思いますが、この様なお店が少しかもしれませんが存在していることもまた事実のようです。
大事なお車を預けそれなりの金額を支払われてのことなのでお店選びは慎重にされてください!
失敗しないためには最低でもどのような作業をして、どのような薬剤を使用するのかをきちんと説明を受け、さらに書面でそれらを裏付けるものを頂ける所にすることです。
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