ガラス系コーティング剤の耐久性と効果持続期間とは基本的には違うことです。
耐久性とは?
ガラスの膜そのものがいつまで残っているかということです。
効果持続期間とは?
ガラス系コーティング剤の機能又は機能層がいつまで残っているかと言うことです。
ガラス系コーティング剤の基本構成はシングルコートのものでも2層構造になっているものが多く、1層めがガラスの層・2層めが機能層で構成されます。
なかにはシングルコートの一層構造のなかに機能層に相当する混和剤がありガラス膜だけで機能するものもあります。
車磨き研究所のラインナップの中では、
このようなコーティング剤のメリットは、ガラス膜自体が撥水・親水・滑水の機能を付加されているために、ガラス膜自体がなくなるまでその機能が失われることはありません。
しかしデメリットもあり、二層構造のものに比べ機能自体は弱くなってしまいます。
ガラスの層は商品によってだいぶ硬度に差があり2H~9Hの硬さがあります。HというのはJIS規格の鉛筆の心の硬さを表すもので3H以上の硬度があれば塗装保護膜としての機能を持ちます。つまりスクラッチ等の傷がつくことを防ぐ効果があると言うことです。
ただし硬ければいいという訳ではありません、塗装というものは温度により伸縮しますので上に乗っているコーティング剤もその動きについていけなければひび割れを起こすこととなります。
ここで難しいのがひび割れを防ぐ為に有機バインダーを使用した商品ですと経年劣化によりくすみを起こすことです、また塗装の種類によっては化学反応を起こし塗装にダメージを入れてしまう可能性もあります。
9H以上を謳っている商品についてはまず有り得ないことです、単純に考えて炭素だけで構成されるダイヤモンドでさえ12Hの硬さですので液体状態のコーティング剤が固体化することで、
9H以上に膜性することは物理的に不可能です。
もし9H以上で製膜したとしたら、
車の鉄板や塗料の伸び縮みについていけずに蜘蛛の巣状のひび割れとなってしまいます。
ガラス層自体の耐久性は5~6年が大体寿命です、いくら硬くても摩擦により少しづつ薄くなりますし無機と表示されている商品でも10%程度は有機物が入っていますので劣化剥離の可能性もあります。
機能層とは撥水・親水・滑水の効果を発揮する部分です基本的にはガラス層の上に存在します。
シングルコートのものは化学反応によりガラス膜の上に自動的にポリマーやフッ素で膜を形成しますし、ダブルコートのものは2回目の塗りこみにより形成されます。
二層構造のほとんどの商品は機能層がガラス膜の上に乗っているだけなので耐久性は余りありません、機能層は大体1年が通常使用では効果限界です。
高級商品の中にはガラス膜と機能層が分子結合をしている商品もあり2~5年の耐久性があります。
ただしこの効果持続期間は使用環境特に洗車や保管の方法によってかなりの差が出ます、摩擦の強さやシャンプー剤の酸・アルカリ度などですが条件がよければ2~3倍ほど効果が持続することもあります。
ポリシザラン系のコーティング剤でしたら純粋なガラスに近いので機能層が剥離してもガラス膜自体が親水性なので微弱ではありますが親水効果は持続します。
重要なのは機能層自体がセルフクリーニング効果を持っているわけではありませんので、
汚れが乗ってしまえば撥水・親水・滑水効果は低下しますので洗車は必要となります。
一般的には撥水性のコーティング剤はフッ素を使用したものがほとんどですが、洗車をしても撥水が戻らない場合はすでに撥水を起こすためのフッ素が剥離した状態です。
この状態でいくらフッ素によるメインテナンスを行ってもガラス膜の上にただフッ素が乗っているだけなので、効果持続は一年以上は期待できません。
コーティング施工時に、
有償・無償などでついてくるメインテナンス剤はほとんどがこのようなものですし、施工店で行われる有償メインテナンスもこのレベルとあまり変わりはありません。
きちんとしたメインテナンスを行うにはガラス膜からの再コーティングをすることが必要です。
ただしメインテナンスとして鉄粉の除去を行うことはガラス膜の劣化を防ぎ耐久性を持続させる効果がありますが、
使用しているコーティング剤を溶かしてしまうこともありえますので注意が必要です。
施工店やディーラーによっては保証書等を発行しているところもありますが、これはガラス膜の残存についての保障であり機能層までを含めた保障ではありません、必ずメインテナンスについての条項が書かれているはずです。
車磨き研究所のコーティング剤の耐久性と効果持続期間
コーティング剤 | 製膜方法 | 製膜状態 | 保護膜機能 |
グラスコートアルティメット | シングルコート | 分子結合・厚膜 | 無し |
マーベラスプレミアムハイブリッド | シングルコート | 分子結合 | 無し |
マーベラスプレミアムヴァンキッシュ | シングルコート | 分子結合・厚膜 | 無し |
マーベラスプレミアム | シングルコート | 分子結合 | 無し |
マーベラススーパー | ダブルコート | 分子結合・二層構造 | 有 |
マーベラススノーガード | シングルコート | 分子結合 | 無し |
マーベラスチタンコンビネーション | シングルコート | 分子結合 | 無し |
マーベラスフィニッシュ | シングルコート | 架橋結合 | 無し |
ハイモースコート | ダブルコート | 分子結合・二層構造 | 無し |
エクセレントプレミアムハイブリッド | シングルコート | 分子結合 | 無し |
エクセレントプレミアムヴァンキッシュ | シングルコート | 分子結合・特殊電化 | 無し |
エクセレントプレミアム | シングルコート | 分子結合 | 無し |
エクセレントフィニッシュ | ダブルコート | 弱分子結合・二層構造 | 無し |
エクセレントスノーガード | シングルコート | 分子結合 | 無し |
エクセレントライト | シングルコート | 2層構造 | 無し |
エクセレントスパーク | シングルコート | 分子結合 | 無し |
ブリリアントプレミアムヴァンキッシュ | シングルコート | 分子結合・厚膜 | 無し |
ブリリアントプレミアムハイブリッド | ダブルコート | 分子結合・二層構造 | 有 |
ブリリアントプレミアム | シングルコート | 分子結合・グラデーション製膜 | 有 |
G'ZOX ハイドロフィニッシュ | シングルコート | 分子結合 | 無し |
コーティング剤 | ガラス膜耐久性 | 機能層効果持続期間 | 機能層メインテナンスの必要 |
グラスコートアルティメット | 10年程度 | 10年程度 | 無し |
マーベラスプレミアムハイブリッド | 5年以上 | 5年以上 | 無し |
マーベラスプレミアムヴァンキッシュ | 7年程度 | 7年程度 | 無し |
マーベラスプレミアム | 5年以上 | 5年以上 | 無し |
マーベラススーパー | 3年以上 | 3年以上 | 無し |
マーベラススノーガード | 3年以上 | 3年以上 | 無し |
マーベラスチタンコンビネーション | 3年以上 | 3年以上 | 無し |
マーベラスフィニッシュ | 2年程度 | 2年程度 | 無し |
ハイモースコート | 5年以上 | 5年程度 | セルフメンテナンス |
エクセレントプレミアムハイブリッド | 5年以上 | 5年以上 | 無し |
エクセレントプレミアムバンキッシュ | 5年以上 | 5年以上 | 無し |
エクセレントプレミアム | 5年以上 | 5年以上 | 無し |
エクセレントフィニッシュ | 5年以内 | 1年以上 | 必用 |
エクセレントスノーガード | 3年以上 | 3年以上 | 無し |
エクセレントライト | 3年程度 | 1年以上 | 必用 |
エクセレントスパーク | 3年以上 | 3年以上 | 無し |
ブリリアントプレミアムヴァンキッシュ | 7年程度 | 7年程度 | 無し |
ブリリアントプレミアムハイブリッド | 5年以上 | 5年以上 | 場合により必要 |
ブリリアントプレミアム | 5年程度 | 5年程度 | 場合により必要 |
G'ZOX ハイドロフィニッシュ | 5年程度 | 5年程度 | 必要(セルフメインテナンス可) |
注)
車磨き研究所でのラインナップは、大きく分けるとコーティング剤の耐久性を重視したものと、艶を重視したものとの二種類となります。
価格が安く艶を重視したものは、機能層とガラス膜との密着が弱いためどうしても機能層の復活メインテナンスが必要となります。
逆に高価格のものは機能層がガラス膜と分子結合をしているので、機能層の耐久性は高くなり基本的にはノーメインテナンスでも大丈夫です。
端的にいうとコーティング剤は価格が高い商品ほどガラス膜内の無機質純度が高いため硬い膜になりガラス膜自体の耐久性も高くなり、機能層も分子結合しているので機能層も高耐久となります。
また艶に関してもガラス膜内の純度が高いため透明性が高くなり艶感が増します、撥水性のコーティング剤で機能層にフッ素を使用している場合は、
より高価なフッ素を使用することでやはり透明感が増してきます。
単純なことですが“高価格商品ほどトータル性能は優れてくる”ということになります。