この質問はよく質問されることがありますし、同業者の間でも意見が分かれるところです。
よく言われることに冬ー特に雪国では秋以降のコーティングは避けて春に施工したほうがいいという意見があります、これは本当でしょうか?
冬に施工しないほうがいいという理由の真偽:
【1】雪のずり落ちなどでコーティングに傷が入ったり剥離する可能性が高い。
車磨き研究所の見解:
1)ガラスのコーティングの場合でいえばクリアーより通常の商品でも約2倍の膜強度がありますからそう簡単には傷が入ったり剥離は起こりにくいです、要は管理のしかたです。少なくともクリアーに傷が入ることは防げます。
2)ポリマーではそのとおりだと思います。
3)光触媒もポリマーほどではないですが可能性は高くなります。
4)光触媒×ガラスコーティング(以降Wコートと表記します)の場合は光触媒が単体コーティングに比べ約2倍の密着力を持つためにほとんど剥離の可能性はありません。
【2】エンカルなどでコーティングが傷んでしまう。
車磨き研究所の見解:
1)きちんとしたガラスコーティングであればエンカルによってガラス膜自体が溶かされてしまうことはありません、しかし機能層が有機物で構成されているタイプは酸によって機能低下をすることはありますが、メインテナンスによって回復させることが出来ます。それよりも塗装自体が直接酸に曝されることから守れることもことも重要です。
2)ポリマーのような有機性のコーティング剤では酸により簡単に破壊されますし塗装を守る機能も皆無です。
3)光触媒コーティングの場合はエンカル程度の酸では何の影響もでません、光触媒は耐薬品性においてコーティングでは右に出るものはありませんが、塗装をエンカルから守る機能はガラスコーティングのほうが上と思います。
4)Wコートの場合親水性の機能になりますが、これはガラスコーティングでの機能よりも光触媒の酸化チタンでの機能ですので親水機能においても影響はありません。
【3】コーティングがきちんと固まらない、強い膜性にならない。
車磨き研究所の見解:
1)ある意味当たっていますが、これは施工環境・設備と施工方法それと選択するコーティング剤により全く影響を受けることなく施工できます。
施工環境屋外:(最低気温が15度以下になる場合)
すべてのコーティン剤でまともなコーティングは絶対無理です、ガラスコーティング剤であれば加水分解反応が設計どうりに行われないため膜を形成することも出来ない可能性がありますし、ポリマーであれば分子結合組成が破壊されてしまう可能性もあります、光触媒は溶媒が水の為乾燥時間が遅すぎ又は凍結してしまうと幕を作る為の整列をすることができなくなってしまいます。
施工環境屋内:(空調・暖房設備がありクロースドできる場合)
室内温度が20度以上湿度管理が出来・防塵シャッター(冬は埃が多い為)と空気集塵機などが完備されていれば、季節を問わず同条件での施工が可能ですので問題はありません、ただしコーティング終了後もインターバル(養生)時間内は施行中の環境を持続する必要性があります。
車磨き研究所は1年を通して同じ室内環境で施工できる設備となっております。
施工方法屋外:(最低気温が15度以下になる場合)
最低限のレベルでの施工も不可能です。
施工方法屋内:(最低気温が20度~10度位になる場合)
各コーティング剤とも施工は可能ですが仕上がりは温度管理等をされているものに比べると劣る可能性が高くなります、少しでもそれを避ける為にガラスコーティングや光触媒の場合は中波赤外線ヒーターで過熱等の処理の必要がありますし、湿度管理が出来ない場合にはインターバルの時間等を調整する必要があります。
コーティング剤の選択:
ガラスコーティング剤の場合冬季施工方法がきちんと明確化されているものや、施工気温に応じて設計を変更してある商品を選べるものもあります、ほとんどは上級商品に限られレギュラータイプではほとんどないと思います。
ポリマーや光触媒では環境に適応した商品はないと思います。
2)納車後の洗車等は1ヶ月間は注意が必要です、ガラスコーティングや光触媒は納車段階では最高強度には達していないため夏場に比べるとインターバルの期間が永く必要になりますので冬季施工は不利な部分です。
【4】鉄粉等が刺さってしまいコーティングが傷んでしまう。
車磨き研究所の見解:
1)昔は確かにチェーンやスパイクタイヤを使用していたので冬季の鉄粉の量は非常に多かったと思いますが、今はトラックでもほとんどスタッドレスタイヤを使用しているので冬季だから鉄粉の量が多いことはないと思います。
2)ガラスコーティングできちんとした商品であれば4H以上の膜硬度がありますからほとんど鉄粉は刺さらないと思います、実際車磨き研究所におこしになるお客様で過去にガラスコーティングを施工してあるお車の場合はほとんど鉄粉の食い込みのあるお車はありません。
3)ポリマーの場合は鉄粉に関して防御性は全くありませんし、鉄粉クリーナー等を使用してクリーニングをすればポリマーコーティングは解けてしまいます。
4)光触媒コーティングもボデイに対しては鉄粉には防御性はありませんがコーティングには影響はありませんし、鉄粉クリーナーを使用してもコーティングに影響が出ることはありません。
【5】冬はどうせ車がすぐ汚れるのでキレイニしてもしょうがない。
車磨き研究所の見解:
1)確かに冬は霜や解けた雪・誇りによってほかの季節とは比べ物にならないくらい車は汚れますが、それだけ塗装にもダメージを受けています。
塗装に受けたダメージを回復する為にはかなりきちんとお金をかけて磨きをするか最悪塗装をしなおさなければいけなくなる可能性がありますので、コーティングにより塗装を守ってやることのほうが賢明だと思います。
2)塗料の中には金属が必ず含まれています、メタリックの場合は当然ソリッドやパールに比較して何倍もの金属が入っています。
エンカル等の水溶化した酸はクリアーを通り越しベースカラーに含まれる金属を腐食させますので塗装は非常に傷みやすい状態にあります、塗装内部から破壊が進行しますので傷みが進行してしまうと外部的処置コーティングや磨きでは回復することはできなくなります。
ガラスコーティングは非常に細かいナノ分子により膜を形成している為に酸の塗装への入り込みを防ぐ効果がありますので塗装を守る効果があります、ただしガラスコーティングでもガラス繊維素系のコーティング剤は膜というより網の状態ですので酸から塗装を守る効果はほとんど期待できません。
3)冬は確かに車は非常に汚れやすくしかも頑固な汚れになりやすい季節です、エンカルが混じった汚れは乾燥しますとなかなか洗車するのも大変ですし、頑固な洗車の仕方をすると汚れの粒子が大きいので傷をつけてしまう可能性が非常に高くなります。
4)ガラスコーティングを施工してある場合は塗装だけの状態に比べて表面に滑面ができている事と、撥水または親水の機能によって汚れが付着しにくくなっている為汚れにくい上に洗車の手間が非常に軽減されます。
5)ポリマーコーティングの場合は酸によりコーティングが溶かされ一体化してしまう可能性がありますので、逆に頑固な汚れになる可能性がありますが短期的には多少の塗装防御効果はあるかもしれません。
6)光触媒コーティングの場合は汚れが付着しても汚れの成分の中の有機物を分解していくので強い付着になりにくく比較的簡単に洗車することが出来ますが、コーティングに光が届かないほど厚い汚れになってしまうと光触媒反応ができない為セルフクリーニング効果は期待できなくなってしまいます。
車磨き研究所が考えるコーティングに適した季節とは?
1)きちんとした作業環境と作業設備・正しいコーティング剤の選択があれば季節は関係ないと思います。
この三つの条件がそろわない場合は冬季やその直前での施工は避けたほうが無難だと思います。
同じように梅雨時で湿度の高いときや盛夏の気温が非常に高いときも設備や環境が整っていない場合にはコーティング剤の製膜過程に影響が出るため完全な施工は望めないので避けたほうが無難です。
2)新たにお車を購入された場合には季節云々よりもなるべく早めのコーティングをされることをお勧めします裸の塗装は日々痛んでいきます。
3)今お乗りのお車の場合はすでに塗装にダメージを受けておりますので1日でも早い施工をお勧めいたします。
4)ポリマーコーティングの場合は寿命が短いですしコーティング膜自体の保護機能が期待できないため冬季に施工されることはあまり有用ではないと思います。
冬季はまめに洗車をされるほうがポリマーコーティングをされるより塗装に影響も少なくランニングコストも低くすむと思います。
コーティングを施工するに当たって重要なのは季節では無く作業環境と設備です、これが整備されていなければ1年中いつの時期でも完全なコーティングは難しいと思います。