磨きとは傷の置き換えによる微細化により見えていた傷を見えないレベルまで処理を行なっていく作業です。
プロが行なう磨きはポリッシャー・バフ・コンパウンドを使用して作業を行ないますが、最近このなかでもコンパウンドについて大きな変化が出始めてきています。
それは磨けない車と磨けない職人が増えてきていることが原因となってきています!
磨けない車とは?
磨けない職人とは?
これらのことが複合的原因となって磨きの世界のコンパウンドに大きな変化が生まれてきています。
この様な変化はだいぶ前にもありました。
そのときはコーティングと言うとほとんどは油脂系のポリマーやWAXが主流でしたので、コンパウンドにはシリコンオイルが多く含まれる傷をシリコンで埋めてしまうものが主流でしたが、これは紫外線や洗車などにより比較的短時間でその効果は無くなっていき傷が見えるようになってしまいました。
しかし当時は塗装も軟らかくコーティングにも耐久性が無かったため、使用過程で付いた傷なのか磨き残しの傷なのかの判断がつきにくかったと言う背景があります。
しかし塗料も徐々に硬くなり、メタリック塗装が主流となってきたことによりクリアーのある2コート塗装が主流となり、コーティングも樹脂系・無機系ポリマーなどが出始めガラスコーティングも登場してきます。
そうなると今までの誤魔化しでは通用しなくなりシリコンタイプからノンシリコンタイプのコンパウンドに切り替わりました。
今ではシリコンタイプのコンパウンドは見かけることもなくなりました。
その後数年前には塗料の水性化に合わせ油性コンパウンドから水性コンパウンドに流行がありましたが、クリアー自体が一部メーカーを除き油性のままなのと、水性コンパウンド自体のメリットが希薄なことで今はその変化はは止まっているようです。
その様なコンパウンドの変遷をたどるなか今最大の磨けないとの理由から大きな変化が出てきています。
率直に言うと最悪の変化といえます!
端的に言うのであれば“傷を隠してオーライの時代”に逆戻りです。
但し技術は進歩しているので昔ほど単純ではなく巧妙になってきています。
しかし原理は変らずあくまで傷を隠すことが目的です!
冒頭で触れた傷を見えなくする作業は徐々に傷を微細化していかなくてはいけませんが、これは経験と知識が必要な作業でそう簡単には身に付く物ではありません。
さらに段階的に作業を進めていかなければならないために非常に時間がかかってしまいます。
そこに持ってきて塗装は硬くなるは、スクラッチシールドのような特殊な塗料が現れてくるはで、さらに作業性が悪化する一方です。
此処で問題になってくるのが採算性の悪化です!
ただでさえ競合の激しい業界です、価格競争の波に飲み込まれ、日々お客様の求めるクオリティーも高くなっていきます。
こうした市場の中コンパウンドメーカーの出した結論は傷を埋めて隠す方法です!
しかも傷を生めた成分が取れないように脱脂を行なわずコーティングを施工するように指導しています。
成分はセルロース繊維やアクリル繊維・ウレタン繊維などを配合することでかなりの耐久性も実現してきました。
又研磨剤にも形や大きさ素材などの違うものを配合することにより何回も磨くこと無く一回で粗磨きから仕上げ磨きまでができるようになっています。
多くのメーカーからサンプルが送られてきます、使ってみると確かに傷は見えなくはなっていますが、ただそれだけのことです。
仕上がり自体はきちんと磨き上げたものと比べた場合比較になりません!
塗装の上に薄膜化した樹脂の膜があるので、
当然光の反射の仕方が変りますから究極の艶には到達は出来ません。
問題はこの樹脂膜自体にそれなりの耐久性があることです!
今までのように数ヶ月で化けの皮ははげず,条件がよければ数年持つ事も考えられます。
しかしこの樹脂も紫外線やエンカル・酸性雨などにより劣化していきますから、徐々に曇りを生み始め最終的にはコーティングもろとも剥離と言うことになってしまいます。
確かにそのタイミングがコーティングの寿命と一致するならば問題は無いともいえますが私にはそれだから良しとは思えません。
最大の問題はこのことよりも今以上にプロの技術が育たなくなってしまいます。
そりゃーそうです、磨けなくても傷は勝手に隠れて行ってくれるのですから!
これでは磨き屋もGSも塗装屋も仕上がりはたいした違いはなくなってしまいます。
日本の伝統技術が消えかかっているように磨きの技術も風前の灯になっていくのでしょうか?
車磨き研究所は従来の磨きのスタイルを変えることはありません!
あくまで技術と知識と手間を駆使して誠心誠意、
お客様のお車を磨き上げて仕上げていきます。